星とカワセミ好きのブログ

2021.06.23
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カテゴリ: 本、雑誌、記録
作家の田辺聖子さんですが、1964年に芥川賞を受賞され、多くの小説、随筆を書かれました。2019年6月6日、91歳で亡くなられました。

2021年6月8日の朝日新聞1面に、田辺聖子さんが第二次世界大戦の終戦前後に記した日記が見つかったとの記事がありました。社会面にはより詳しい記事がありましたが、驚いたのは、田辺聖子さんの日記で1965年8月15日の終戦時の部分が写真で紹介されていた事です。
その日は筆圧が違い、「何事ぞ! 悲憤慷慨(ひふんこうがい)その極を知らず」と、日本が戦争に負けた日の心情がそのまま文字に現れている感じがしました。

偶然にも、社会面の田辺聖子さんの日記記事の隣は、「A級戦犯 太平洋に散骨」という記事が並んでいました。「日本の戦争指導者を裁いた極東国際軍事裁判でA級戦犯となった7人への死刑が1948年に執行された直後、火葬された遺骨を米軍将校が太平洋に散骨した、との報告が記載された米公文書が見つかった。米軍占領下でのA級戦犯の遺骨の扱いが詳しく記された貴重な資料だ」というリードの記事がありました。東条元首相など7人の骨は、米軍の連絡機に積まれ、太平洋上を横浜の東約30マイルまで進む、米少佐が広範囲に散骨したことが書かれていました。

2021年6月9日付朝日新聞の文化欄に、田辺聖子さんの日記について記事があり、作家・小川洋子さんは田辺聖子さんの日記を読んで、「アンネの日記」を思い出したと書かれています。

2021年6月10日付朝日新聞の広告欄に、「文藝春秋 7月特別号」として、「田辺聖子『十八歳の日の記録』独占掲載」と紹介されていたので、早速本屋で購入して読みました。
1945年4月1日から1946年12月31日までの日記ですが、終戦前から終戦後の田辺さんの出来事、心情が綴られています。学校生活、グンゼ工場での労働、焼夷弾で家が焼けた事、終戦、父親の死、母親の苦労、通学定期券が盗まれた事、クラスで首席になったことなどが書かれています。文章の中に、作家になりたいが、なれるだろうかという不安が記されており、心の揺れが出ています。

日記の中で、田辺聖子さんが「エスガイの子」という小説を当時書いたと記されていました。「エスガイ」とは何だろうと疑問に思っていましたが、「文藝春秋2021年7月号 p330」に、ノンフィクション作家の梯久美子(かけはしくみこ)さんの『十八歳にして田辺聖子はすでに田辺聖子だった』という記事があり、その中で「小説の執筆にいそしむ余裕があった。『エスガイの子』という小説を完成させたことが書かれているが、エスガイとはテムジン(ジンギスカン)の父の名である」とあり、「エスガイ」の意味が分かりました。

田辺聖子さんの「十八歳の日の日記」を読んでみると、田辺さんは作家になるのが当然であった人だなあと思いました。書くことが好きで、見た事、考えた事が自然と文章に現れてくる人なのでしょう。



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文藝春秋 2021年7月特別号  
「田辺聖子『十八歳の日の記録』」 





↑ p240~241。
田辺聖子『十八歳の日の記録』昭和20年4月ヨリ。
ー若き日は過ぎ去り易いーけれども多彩であり、豊なる収穫がある。それ故に、”若き日”は尊い。
「空襲」、「敗戦」、「父の死」、「夢」を鮮烈に綴った76年前の日記発見。

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↓ 2021年6月8日付 朝日新聞1面。
「田辺聖子さん 戦争刻んだ日記」







↓ 社会面。「田辺聖子さん 終戦前後 時代見つめる目」/「A級戦犯 太平洋に散骨」








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↓ 2021年6月9日付 朝日新聞 文化欄 「自立した女性とは 少女の模索」
「田辺聖子さん日記 後の作品への視点」


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↓ 2021年6月10日付 朝日新聞 文藝春秋2021年7月特別号 広告





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↑ 「私の大阪八景/田辺聖子/角川文庫」
以前読んでいた田辺聖子さんの小説は、古本屋に売ってしまい、今手元に残しているのはこの本。





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最終更新日  2021.08.14 04:47:10
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