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19世紀の終り近くに書かれた原書「Bushido」はこの翻訳本の解説でも書かれているようにその副題が「The Spirit of the Samurai」となっている。
これは当時まだ世界から理解されていない、いやその情報すらも殆どなかった日本という国の世界への紹介本という位置付けもできる。しかし一般的な紹介本ではなくその「Spirit」つまり「魂」という不変はところを伝えたいといった翁の強い気持が込められている。
まだまだ偏見と差別で覆われた日本人と日本文化に対する西洋社会に対し、俺達の文化は西洋に勝るとも劣らない確りとしたものだと言わんばかりの厚い気持ちが伝わってくる。またそれを実証すべく武士道の考えを多くの西洋思想と対比することでより分かりやすく書かれている。
一方でそれは明治維新という日本史の中でも恐らく最大のパラダイムシフトを生き抜いた男が自分たちのアイデンティティーを失いかけた自分たち自身に魂を蘇らそうと熱く語り掛ける本でもある。
1930年代に入ると国の帝国主義の道具として利用ることもあった「武士道」が戦後のアメリカ主導の新たなパラダイムシフトの後、20世紀後半を通して作り上げられた「魂」なき日本経済がバブル崩壊というショック療法でまた己を探求しだした国民からまた求められているのは全く偶然ではないだろう。
21世紀という新しい時代の中で、僕たちが求める指針となるべく夜空に燦然と輝く北斗七星のように光っている。
ただ、「武士道」はまだ思想や宗教という完成形を迎えてはいないのではないだろうか。しかしそこにある日本人魂は本物だ。その心と魂をこれから育て上げることは現代そして未来に生きる僕たちの勤めではないだろうか。
そんな強き思いを感じさせられた名著である。
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