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目の中に入った異物や汚れを洗い流すために使う、洗眼薬という市販薬があります。小林製薬の「アイボン」がその代表的な商品です。 私も使ったことがありますが、アイボンで目を洗うとすっきりして気持ちがいいんですね。目にゴミが入ったとき・花粉症で眼が痒くてどうしようもない時などに大変重宝する良い薬だと思います。 ところがこのアイボン、使っているうちにその爽快感・スッキリ感が癖になってしまい、1日に何十回も使用している 「アイボン中毒、略してボン中」 とでも言えるような状態の方がいるんですね。 先日、「目の調子が悪くてアイボンを1日に20~30回くらいしていたのに、治らないので来た」という患者様が来院されました。目を拝見すると、 黒目(角膜)にたくさんの傷(上の写真で水色に濃く染まっている部分)が入ってしまっています。 これはアイボンのしすぎで、ムチン層という黒目の表面を守って涙の状態を安定させる大事な物質が洗い流されてしまったことによるものです。例えて言うなら、 アカスリし過ぎて皮膚がズル剥けて真っ赤っ赤 というような状態ですね。 また、我々の涙には「ばい菌をやっつける天然成分」が元々入っています。アイボンをしすぎるとこの大切な天然成分も流れてしまい、逆にばい菌への抵抗力が減ってしまうこともあるので注意が必要です。 さて、この患者様にはアイボンを中止し点眼薬を処方したところ、1週間後には、 症状はほぼ改善しました。 アイボンは良いお薬ですが、使いすぎるとこのようにかえって逆効果になることもあります。なので、アイボンを使うときには用法・用量(1日3~6回)を必ず守るようにして下さいね。
2010.05.08
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お料理、特に揚げ物などをしていて天ぷら油が眼に入りかけたことはありませんか?高温の油が眼に入ったらどうなってしまうのかちょっと心配ですよね。 ところが人間というのは良く出来たもので、現実にはなかなか油が眼に入ることはありません。危険を察知して瞬間的に眼を閉じるので、「眼に入った!」と思っても実際はまぶたに油が当たっただけということが多いんですね。 先日もある患者様が「天ぷら作っていたら揚げ油が目に入った。滅茶苦茶痛いので飛んできた」といって来院されました。私が「意外と本当に眼に油が入ることはないんですけどね。良く診せて頂きましょう」と拝見すると、、、、、、 油、本当に眼に入っていました。ちょっと珍しいですね。上の写真で緑色に丸く変色している部分がそうなのですが、高温の油が当たって黒目(角膜)に炎症・点状の細かな密度の高い傷に加えて一部上皮欠損を起こしています。黒目は非常に敏感な部分なので、このくらいの傷でもかなり強い痛みが出ることがあります。 目薬と眼軟膏を処方して本日再診して頂いたのですが、 ほとんど治っていて私もホッとしました。 このくらいの傷だったらすぐ治るには治る訳ですが、かなり強い痛みが出るのは事実なので、皆様も料理中には油が目に入らないように十分注意してくださいね。
2009.10.19
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さて2010年12月の発売以来、今や日本人の国民病とまで言われる「ドライアイ」の治療を革命的に進歩させた参天製薬の名薬、ジクアス点眼液。 このジクアス点眼液は従来型のヒアルロン酸の点眼薬(商品名で言うとヒアレインやティアバランス)よりも明らかに効果が強い、目の表面の傷を改善する力が高い、ドライアイ分野では15年振りの待望の大型新薬だったわけですが、発売後の売上高の順調な伸長(現在年間75億円)がジクアスが非凡なお薬であったことを明白に証明しています。 ところで ジクアス はその薬理作用上、目の細胞からの水分とムチンという物質の分泌を促進するので、点眼後に目を潤す効果が強いお薬です。そのため多くの方が苦しんでいる [ソフトコンタクトレンズ装用中の目の渇き] に抜群な効果を発揮する のですが、残念ながら今まではソフトコンタクトレンズの上からは「原則として」点眼することが出来ませんでした。 それはジクアスが防腐剤としてベンザルコニウム塩化物というものを使用していたからです。このベンザルコニウム塩化物(我々の業界では「塩ベコ(えんべこ)」と略す)は非常に防腐剤としての効力が強い反面、角膜(くろめ)の表面を荒らしたり、ソフトコンタクトレンズを劣化させたりするという副作用があったのです。ただこの塩ベコを使わずに目薬を作るのには非常に高い技術力と費用が必要なので、特に安いジェネリック医薬品には大量で高濃度の塩ベコがべっとりと含まれているのが実情です。 さて今回ジクアス点眼液は製品改良により、 この悪の元凶である「塩ベコ」を取り除くことに成功 しました。 それによって、 ソフトコンタクトレンズの上からも安全に点眼が出来るようになりました。 ジクアス×ソフトコンタクトレンズのコラボレーションは非常に目が潤いますので、コンタクトレンズ使用中のドライアイ患者様にとっての大きな福音と思います。 素晴らしい製品改良 ですね。 我々眼科専門医が世界トップレベルの眼科医療を提供できているのは、この参天製薬に代表される日本の点眼薬メーカーの高い技術力に負うところが大きい のです。本当に感謝・感謝ですね。
2015.12.21
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さて当院では新型白内障手術機械のインフィニティを購入したところですが、今日は製造販売元の日本アルコン社のサージカル担当の方にお願いして、A-Vit(エービット:前部硝子体切除)の勉強会をしました。 このA-Vitというのは、白内障手術時に後嚢破損(こうのうはそん)という合併症が起こった場合にトラブル処理に使う機械です。登場頻度は極めて低いのですが、だからこそ事前の入念な準備が必要なんですね。 本物のセットを開けて、インフィニティに接続して使用してみます。 このインフィニティには、アキュラスという硝子体(しょうしたい:目の奥のドロドロした物質)切除用の本格的で切れ味の良いカッターをつなぐことが出来ます。しかも25Gという極めて細い最新型の物が使えます。傷口を拡大せずに小さな切開創から使用できるので患者様の負担も軽いんですね。 ただ、インフィニティで唯一問題なのは、A-Vit使用時に毎回「Vitrectomy Cut I/A」モードを選び直さなくてはならないことです。元々の設定が「Vitrectomy I/A Cut」モードになっており、これを修正できないんですね。 A-Vit時には、必ずCut→I/Aモードを最初に使用する必要があります。I/A→Cutモードを先に使うと網膜はく離などの重い合併症に繋がることがあるので要注意なんですね。 素晴らしいマシンであるインフィニティがこんな単純なおかしな設定を修正できないというのは不思議な気がするのですが、サージカル担当の方によると「アメリカでは専門が別れているので、白内障手術専門医は本当に白内障しかしない。トラブルが発生して追加のA-Vitが必要になるとそのまま硝子体手術専門医に送るシステムになっておりあまりA-Vitを使わないので、多分そのせいで細かい設定に大らかで気にならないのでしょう。」ということでした。 うーんなるほど、機械を通してその国の医療システムが透けて見えると言うことなんですね。とっても勉強になりました。
2011.10.13
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まだまだ蒸し暑い時期が続きますね。草刈り等の農作業も多く、「目にゴミが入った」などの訴えで受診される患者様が多い季節です。 さて、この目の中なのですが、実に様々な異物が入り込みます。今日はどのようなものが入るのか、いくつかその内の珍しい事例を見て頂きましょう。 ↑ この患者様は以前も紹介したことがありますが、農作業中に田んぼで転んでその時に目にヒルが食い付いてしまいました。非常にすばしっこく逃げるので摘出するのが大変でした。 ↑ この患者様はみかんの摘果作業中に目にゴミが入り「洗っても何してもどうしても取れない」との訴えで受診されました。それもそのはず、蟻が目から振り落とされないように結膜(白目)に足を深く刺してしがみついたまま絶命していました。このありんこも引っぺがすのが大変でした。 ↑ この患者様は、「まぶたの裏で何かがもぞもぞ動いている!」との訴えで来院されました。上まぶたをめくって調べて見ると、ショウジョウバエと思われる2ミリ大の虫が目の中で既に絶命していました。 このように、目の中と言うのは様々な異物が入り込みます。自力ではなかなか取れないもの、取るのが危険なものもあります。ですので、「あれ?何か目にゴミが入ったぞ。」という時には、是非気軽にお近くの眼科専門医を受診するようにしてくださいね。
2012.09.01
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さて日本人では40歳以上の20人に1人(5%)、70歳以上では7人に1人(14%)の有病率ということで、非常にありふれた病気であると同時に、「失明に直結する!」という「とても怖いイメージ」があるために、多くの方から「恐れられている」病気である緑内障。 当ブログでもこれまでに様々な角度から取り上げてきましたが、この緑内障は「超慢性疾患」で進行がとてもゆっくりな病気なので、実際には発病から失明に至るまでには30年以上という時間的な猶予が与えられた、真面目に治療に取り組む患者様にとってはある意味で「優しい病気」でもあります。 そして治療の基本は、眼圧を下げるための点眼治療です。何故かというと、眼圧を下げることによって緑内障の進行を遅らせて目の健康寿命を延ばすことが出来ることは、既に質の高い多くの論文から明らかになっているからです。治療法としては他に手術も色々とありますが、結局はどれも眼圧を下げるためだけの物なので、目薬の治療だけで病気がコントロールできるのであればそれに越したことはありません。何も好き好んで痛い思いをする必要はないですからね。 そして実際全国にはとてもたくさんの緑内障点眼薬を使用していらっしゃる患者様がいます。緑内障は決して「良くなる」ことはない病気なので、世界最高レベルの高齢化がこれからも類を見ないスピードで進展するここ日本では緑内障患者様の数はこれからも増える一方です。もしかすると、このブログに辿り着いた方の中には既に緑内障の治療中の患者様もいるかもしれませんね。 そこで今日はこれまでと視点を変えて、緑内障点眼薬の世界を広く見渡してみることにしましょう。これはとても大切な視点です。何故かというと、この数年緑内障の分野では新薬ラッシュが続き、使えるお薬が爆発的に増え、その結果として以前とは比べ物にならないくらいに処方パターンが増えているからです。 それではまずはその全体像をお示ししましょう。 す、すごい量ですね。20年前には「僅かに数種類」しかなかった緑内障点眼薬は、いつの間にかこのような「爆発的な進化」を遂げているのです。そして私達眼科専門医は、これらの全てのお薬の長所・短所・有効な組合せ方を学び続けながら、毎日の診療に当たっているんですね。(続く)
2019.03.09
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さて2010年12月の発売以来、今や日本人の国民病とまで言われる「ドライアイ」の治療を革命的に進歩させた参天製薬の名薬にして、発売7年が経過した今もベストセラー街道をばく進する、ジクアス点眼液。 このジクアス点眼液はその薬理作用上、目の細胞からの水分とムチンという物質の分泌を促進するので、点眼後に涙の量を増やしてくれます。そしてその「うるおい効果」が点眼後約1時間も持続するという、画期的で優れものの目薬です。 その為、「ジクアスが無いともう生活が成り立たない。」と仰られる患者様もたくさんいらっしゃるくらいに大人気のお薬なのですが、ベストセラーで売り上げが多い(2018年3月期で見て、1年間で128億円)が故に、逆にクレームが目立つ点眼薬でもあります。 そしてそのクレームの中で断トツに多いのが、 ジクアスを点眼すると、その後で半透明のネバネバした目やにがたくさん出てきて気持ち悪い というものです。この「ジクアス点眼後に目やにが出る」という患者様からの訴えは非常に多く、私が1週間外来をしていると、最低でも1、2回は聞きます。 これは一体何なのでしょうか? ジクアスの何か危険な副作用なのでしょうか? 今日はこの「ジクアス点眼後の目やに」の正体について、私が眼科専門医として分かりやすく回答しましょう。 先ほども書いたように、ジクアスを点眼すると目の表面からムチンという物質が放出されます。これは納豆の様にネバネバしたものなのですが、この ジクアスの効果で出てきたムチンが、目の表面の常在菌をトラップしてトリモチのように絡めとって「目やに」として出てくる のです。 つまり、 ジクアス点眼後の目やには、お薬が効いている証拠 でもあるということなんですね。 ちなみに、このジクアス点眼後の目やには、無構造でバクテリアなどをトラップしたものであり、炎症細胞はほとんど認められない、いわば無害なものであることが専門的な研究によって既に分かっています。 以上をまとめると、 ジクアス点眼後の目やにに対してはそれほど神経質になる必要はない と思います。ただドライアイ治療ではジクアス以外にも有力な選択肢はたくさんありますので、どうしても不快で気になる場合には違う点眼薬に変えればそれで済む話でもあります。 なので、どうしても気になる方は、是非気軽に次回の外来で私達眼科専門医に相談してくださいね。
2018.06.11
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黒目と白目の境目がどんどん白くなってきたのですが大丈夫ですか? と言う質問を患者様から受けることが良くあります。そうですね、大体1ヶ月に数回は聞かれます。今日はこの問題について考えて見ましょう。 まず結論から言うと、これは 老人環(ろうじんかん senile ring) というものです。「お年のせい」ということですね。加齢によって脂質が沈着して黒目の周りが白っぽくなったものですが、通常は視力低下に繋がったりはしないので気にしなくて大丈夫です。 それではこの老人環が一体どのようなものなのかを具体的に一緒に見ておきましょう。 上の写真で水色の矢印で示したのが老人環です。ちょっと分かりにくいので色を塗ってみましょう。 緑色に塗った所が老人環です。黒目(角膜)の隅っこなので視力などには影響はないので心配しなくてもいいんですね。 そしてこの老人環、70歳以上だと大体80%くらいの方に存在します。なので、 目の白髪 くらいに思って頂いて良いと思いますね。
2016.06.21
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しばらく前にテレビのバラエティ番組を見ていると、「人間の視力の限界はどのくらいなのか?」を、視力が良いので有名なアフリカのマサイ族の元に出かけて調べるという企画をやっていました。 前提として眼科専門医として基本的な事項を説明すると、人間が持っているレンズ(水晶体)の光学的限界からは視力4.0程度が、また光を感じる網膜の視細胞の密度からもその程度が限界であろうとされています。 では、果たしてその実際はどうだったのでしょうか? 以下に番組の内容を引用しながら見て行きましょう。 なんと視力5.0はあっさりとクリア。アフリカの人たちは遠くの獲物を見つけなくてはならないので、人間が持っている能力の限界まで使い切っているのでしょうね。 次はなんと視力20.0!に挑戦です。 まさかの視力20.0もクリアでした。また、以前の別のテレビ番組でも、視力8.0 の方が紹介されていました。ただ、日本人で視力検査をすると3.0以上の方はほとんどいないと言われています。育った環境によっては人間は驚異的な能力を発揮できる、ということでしょうね。
2012.09.11
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さてシリーズでお送りしている 緑内障点眼薬の世界。 今日は前回のチモプトール点眼液に続いて、緑内障治療の第2選択剤である、 ベータ遮断薬 の世界を引き続き見ていきましょう。 ベータ遮断薬2回目となるとなる今回は、ミケラン点眼液 (一般名 カルテオロール塩酸塩) です。 ただ実際には製剤的な工夫で1日1回点眼で済むように工夫されたミケランLA点眼液がそのほとんどのシェアを占めています。 なので以下はこのミケランLAについての説明です。 さてこのミケランLA点眼液は、ベータ遮断薬の中でのシェアは前回紹介した チモプトール点眼液 よりも低いのですが、個人的には圧倒的に優れていると考えています。その理由は、1. チモプトール(XE)よりも角膜障害が少ない。2. 点し心地が良くて使いやすい。3. 長期使用でも効果が減弱しにくい。 という大きな長所があるからです。 そのため当院では以前からこのベータ遮断薬では圧倒的にミケランLA点眼液を多く処方していますが、全国的に見るとチモプトール点眼液の方がシェアは上です。 いい薬が必ずしも売れるとは限らないのが、我々医療業界の7不思議の1つ なんですね。(続く)
2019.09.10
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さてそれでは今回からは、広い広い緑内障点眼薬の世界を個別に見ていきましょう。 初回となる今回は、何といってもプロスタグランジン関連薬です。 効き方としては、主にぶどう膜強膜流出路からの房水(ぼうすい : 眼球を充たす体液のこと。眼圧を保つと共に角膜・水晶体の栄養補給の役目を果たしている。房水は毛様体という組織で作られ、主にシュレム管を通過し眼外に排出される。)流出促進作用となります。 さてこのプロスタグランジン関連薬は、現在緑内障治療の第一選択薬(ファーストライン)として使用されています。緑内障と診断された方は、まずはざっくりとこのエリアから目薬を処方されるということです。 その理由は何と言っても「眼圧が良く下がるから。」です。緑内障の目薬は何と言っても「眼圧が下がってナンボ。」なので、眼圧が下がらない=効かないのではてんでお話にならないのです。またこの系統のお薬には「全身的な副作用がなく、安全で使用しやすい。」という長所もあります。 その一方で、これらのプロスタグランジン関連薬には、点眼によって目の周りが落ち窪んだり、黒くなったり、毛が生えたりという、患者様に非常に嫌がられている、 PAP(眼窩周囲症状 Prostaglandin associated periorbitopathy)と呼ばれている副作用 があります。 これを防ぐためには、目薬を点眼後に濡らしたティッシュでふき取るか、目を閉じて洗眼するのが有効なのですが、どんなに気を付けていてもPAPが出現してしまう患者様も残念ながら多いです。 この副作用をものすごく、死ぬほど嫌がっている患者様というのは実にたくさんいらっしゃいますし、特に女性の方は嫌います。 大切な「目力」に影響してしまうので当然 ですね。なので、このPAPが強く出た場合や患者様の拒否反応が強い場合には違う系統の目薬を検討することになります。ただ逆に言うと、このPAPが気にならない場合には、 プロスタグランジン関連薬は、無敵に、夢の様に良いお薬 ということも出来ます。とにかく良く効きますからね。 それでは次回からは、このプロスタグランジン関連薬の世界を個別に見ていきましょう。(続く)
2019.03.12
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現在緑内障の治療では「プロスタグランジン関連薬」という系統のお薬を第一選択薬として使います。眼圧(眼の血圧)を下げる効果が一番強いからですが下に示すのがその代表的な薬(プロスト系)です。 上の写真の中で、左端の 「キサラタン点眼液」 が発売されたのが1999年、この薬の登場が緑内障治療を劇的に変えたといわれる、当時まさに画期的な新薬でした。ちなみに私が眼科医になったのも1999年のことで、それで我々は「キサラタン世代」と呼ばれています。 キサラタンはあまりに画期的なお薬だったためにその後何年もライバルが現れませんでした。数年前からようやく「トラバタンズ点眼液」、「タプロス点眼液」という同系統の薬が発売されたのですが、その薬の効果はキサラタンとほぼ同等で、「もっと眼圧の下がる」キレの良い薬の発売が望まれていました。 10月第一週に 「ルミガン点眼液」 という新薬が発売になるのですが、 この薬は前述の「キサラタン」に対して有意差を付けて眼圧が下がるというデータが出ています。 簡単にいえば 「過去最高の効き目の薬」 ということです。その理由を下の図に示していますが、分かりやすく言えば 「患部に直接ガツンと効く」 ということになります。 ただ、良いお薬には当然副作用もあります。このルミガンは今までの薬よりも 強烈に目が充血する と言われています。早速当院のスタッフにお願いして実験してみました。 右目だけにさしたのですが、 明らかに左目 より強く充血していますね。ただ、肝心の眼圧の方は、 13.7→8.7と確かに良く下がっています。これは期待できそうですね。! この期待の新薬、ルミガン点眼液、発売と同時に当院でも採用します。少しでも緑内障患者様の不安が減ってくれたらと思いますし、私も発売を心待ちにしています。
2009.08.21
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先日の日記の続きです。有効な治療法が無いと言われる難病、網膜色素変性症ですが、実は数年前から散発的に「ウノプロストンという目薬が効果がある」という論文を目にするようになりました。 論文によると著しく自覚症状が改善した患者様が実際にいるということです。これはウノプロストンが持つ、網膜の神経節細胞のグルタミン酸障害に対する保護作用によるものではないか?と推察されていますが、まだはっきりしたことは分かっていません。 ↑ これがそのウノプロストンです。実際には「レスキュラ点眼液」という名前の緑内障・高眼圧治療薬です。 このレスキュラ、10年以上前にはベストセラー薬として一世を風靡したこともあったのですが、「点眼時に非常にしみる」、「角膜(黒目)の上皮障害を高率に起こす」、「眼圧下降効果が弱い」などの弱点があり、他の緑内障新薬に負けて現在では処方されることが非常に少なくなってきています。 ところが薬の作用と言うのは不思議なもので、今また新たな病気に効く可能性が浮上しているわけです。緑内障を合併している網膜色素変性症の患者様には当然保険診療の範囲内で処方することが可能な目薬なので、私はここ数年網膜色素変性症がある方には、このレスキュラ点眼液について説明をし希望の方には実際に処方もしてきました。 「この薬はしみるのでイヤ」という方ももちろんいらっしゃいましたが、継続されている方の中に「レスキュラさし始めてから、なんだか視界が明るく良く見えるようになった」と、自覚症状の改善を認める患者様も実際にいらっしゃいます。 なので、私は自分自身の経験から「レスキュラには網膜色素変性症の治療薬となる可能性がある」のではないか?と感じています。 また実際にこのレスキュラ、現在開発元のアールテックウエノ社が、少し濃度を変更して(未確認データですが25%濃度を上げているという説もあります)、オキュセバ点眼液と言う名前で、網膜色素変性症の治療薬として治験中 でもあります。 医学の世界は常に少しづつ進歩しています。昨日治らなかった病気も明日には治ることもあります。私は八幡浜地域の皆様に全国レベルの最新で安全な眼科医療を提供し続けることが出来るように、これからも毎日の勉強を欠かさずに努力していきたいと考えています。
2010.07.25
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さて今日は新型の眼圧測定装置である二デック社のNT-530P のどこが凄いのかを御説明申し上げましょう。一言でいえば、眼圧と角膜厚(かくまくこう:黒目の厚さの事)を同時に測定できて、測った角膜厚によって正しい眼圧を補正して算出してくれるのが凄いのです。 はい、何言っているのかチンプンカンプンですね。(笑) 分かりやすく解説しましょう。我々人間の角膜の分厚さと言うのは平均すると545マイクロメートル(1ミリの約半分)なのですが、実際にはかなりの個人差があります。つまり分厚い方も薄い方もいるのです。そして従来型の角膜厚を測定しないタイプの眼圧計だと、角膜が厚い方は実際よりも眼圧が高く、そして薄い方は低く表示されてしまうことが分かっていました。 このNT-530Pでは瞬時の測定でそれを補正して表示してくれるのです。具体的に見てみましょう。 この患者様で言うと測定値(AVG)は右が14左が15ですが、角膜厚が右548マイクロメートル、左599マイクロメートルと左目が平均よりはやや分厚い目をされています。なのでそれを補正した眼圧値(COR)は右14、左13となります。 そしてこのNT-530Pがその真価を発揮するのが近視矯正手術のレーシック術後の患者様です。レーシックと言うのは角膜を薄く削って近視を治す術式なので、従来型の眼圧計だと極端に低く測定されてしまうからです。実例を見てみましょう。 この患者様は都会のチェーン店展開をしているレーシッククリニックで両眼の手術を受けられています。眼圧の測定値(AVG)は右が6、左が5と非常に低い(正常値は10~19です)ですが、これはレーシックで角膜をかなり削っていて右が390マイクロメートル、左に至っては320マイクロメートルしかないため、それで非常に低く測定されてしまったのです。角膜厚で補正をかけるとその真実の姿(COR)は右が13、左が15となります。物凄い差ですね。もしもこの患者様が将来緑内障を発症し、そして従来型のマシンで眼圧を測定されるとすると本当の眼圧よりも大幅に低い数値が出ることになり、それで的確な治療が行えないという可能性すらあるんですね。 このNT-530Pを導入して私には1つ衝撃的だったことがありました。以前から「眼圧は非常に低いところで安定しているのにも関わらずどんどんと緑内障が進行してしまう患者様」というのが一定数いらっしゃったのですが、そういった方の多くは実際には角膜厚がかなり薄くてそれで従来型のマシンでは測定値が低く出ていたのです。つまり、実際には眼圧が十分には下がっておらず本当はもう少し強力な治療が必要だったかもしれない、ということなんですね。 このようにNT-530Pは驚異の能力を持ったマシンなのです。この3代目のお利口な眼圧計と共に私はご機嫌な診察の日々を過ごしています。
2015.07.29
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今や日本の国民病とも言われる、緑内障。この緑内障で現在唯一その効果がはっきりしている治療法は「眼圧を下げる」ことだけなのですが、その治療には様々な系統の目薬が使われます。 現在、効果が最強とされているのは、「プロスタグランジン関連薬」と呼ばれる目薬です。具体的には、 上記の左から順番に、 日本が世界に誇る点眼薬メーカー参天製薬の自社開発で、副作用が少なくて瞳に優しいタプロス 効果長持ちでバランスとキレの良い、日本アルコン社の名作点眼薬のトラバタンズ そして1999年の発売が世界の緑内障治療を変えたと言われる、ファイザー社の歴史的名薬キサラタン 効果も、そして副作用も最強の「最後の切り札」的存在の千寿製薬のルミガン などがあるのですが、どのプロスタグランジン関連薬にも共通する「副作用」があります。具体的には、充血する、動物園に出かけたわけでもないのに目の周りがパンダみたいに黒くなる(色素沈着)、目薬がこぼれるとそこに毛が生える(養毛剤作用)あたりです。 そして、この副作用がイヤで点眼をやめてしまう患者様が後を立たないのですが、最近興味深い論文を見つけました。 「眼圧下降は、結膜充血の程度と強く相関する」というものです。この論文によると、 点眼後に充血する人ほど眼圧が良く下がっている、ということでした。 これは我々眼科専門医の臨床的実感とも良く一致します。また上記のルミガン点眼液という、現在緑内障点眼薬の中で効果最強の目薬が強烈に充血するのも、「なるほど、やっぱり。」と思わせるものがあります。 なので、緑内障でプロスタグランジン関連薬を使用されている患者様で充血が気になっている方は、 充血してると言うことは、薬がそれだけ効いているということだ と考えてみてくださいね。
2011.07.28
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さてここからはセミナーで印象に残った話、勉強になったことを自分のメモ代わりに書いていきます。 患者様の多くは「目には癌は出来ない」と思われているのですが、実は目にも癌は発生します。もちろんその頻度は高くはないのですが0ではないんですね。セミナーではその「眼腫瘍」の講義があったので、具体的にそのポイントを見ておきましょう。 一番良くあるのは、 この脂腺癌(しせんがん)です。まぶたにあるマイボーム腺の出口が詰まって慢性的な炎症が起き、その結果肉芽腫という塊ができる霰粒腫(さんりゅうしゅ)と非常に良く似ているので要注意なんですね。 私も実際数年前のことですが、「何度も何度もめいぼができて、色々な眼科で切ってもらったけど治らない。」という患者様が来院され、念のために外科的に切った後で病理検査に回した所やはりこの脂腺癌だったということがありました。高齢の方で何度もめいぼが再発する、と言う場合は常に悪性腫瘍の可能性を念頭に置かないといけないんですね。 それ以外でも、体のどこかに癌がありそれが目に転移してきた、眼底(がんてい)に茶褐色や薄い黄色の淡いさりげない病変が広がる「転移性脈絡膜(みゃくらくまく)悪性腫瘍」や 治りにくい結膜炎と区別が付きにくい、サーモンピンク色の鮮やかな腫瘤が広がる「結膜悪性リンパ腫」などもたまにあります。 これらの眼の悪性腫瘍はなかなか発見しにくいのですが、早期であれば局所の腫瘍摘出や放射線療法、化学療法で済む場合も多いので、眼科専門医として幅の広い豊富な知識を保ち、これらを決して見逃さないように努力していかなくてはならないと決意を新たにしました。(続く)
2012.06.10
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血管に富んだ組織が角膜(黒目)の真ん中に向かって侵入してくる、翼状片(よくじょうへん)という病気があります。 はっきりとした病因は不明なのですが、紫外線(太陽の光)や慢性的な機械刺激などが原因になると言われており、「みかんと魚の街」で、紫外線にさらされることの多い八幡浜市では非常にたくさんの方がこの翼状片になっています。 この翼状片、進行した場合は手術しか治療法がないのですが、単純に切除しただけでは50%!という高率で再発することが知られており、なおかつ悪いことに再発した場合は「より凶悪にパワーアップして進行」します。 そのため初回手術が非常に大切で、私は「有茎結膜弁移植」という手法で極力再発しないような丁寧な手術を手がけています。上の写真の患者様の術後はこのようになります。 ただ、どんなに丁寧に手術をしても再発する方はします。そのためずいぶん昔には再発予防のために切った後、そこに抗がん剤を塗って再発を抑える手術法が多く取られていました。ところが、この術式を受けられた方のなかに10年以上経って、 その抗がん剤を塗った部位が弱くなってしまう合併症が頻繁に見られるようになりました。 なので、私は現在では初回手術ではこの抗がん剤を使用しないことにしています。(再発した場合は使用することはあります) 手術というのは、した後もずっと患者様の状態に責任を持たなくてはならないものなので、「長い眼で見て一番有利」という術式を常に追い求めていこうと考えています。
2009.09.11
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さて、「目の周りに塗るだけでそれがじわじわ滲みて目の中のかゆみが取れる」という魔法のような世界初の機序を持った、アレジオン眼瞼クリーム。 こちらが実際の製剤になります。 ノズルがめちゃ細いです。目の周りにちょっとだけ塗るものなので、あまりクリームが多く出過ぎないようにと言う配慮だと思います。日本ナンバーワンの眼科薬メーカーの参天製薬のお薬と言うのは、使いやすいようにいつも隅々まで細やかな配慮がされているんですね。 院長が寝る前に塗ってみました。実際にアレルギー持ちなのですが、次の日の朝の目のかゆみが明らかに少なくなっていました。これはやはり効能が期待できそうです。 このアレジオン眼瞼クリーム、専門的に言うと、瞼(まぶた)の皮膚を通過して目の玉(眼球)と白目(結膜)に届いてかゆみを取ってくれると言うものです。 ただこれを実際に製品化するには極めて高度な製剤技術が必要で、「薬を溶かす技術が世界一」の参天製薬だからこそ実現できた薬だろうと思います。おそらく他の後発メーカーには至難だろうと思いますし、参天製薬のレベルの高さに眼科専門医として改めて感嘆しました。 今のところ、発売は5月下旬と噂されています。実際に世に出る日が楽しみですね。
2024.05.14
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当院では、眼科手術補助薬のトリアムシノロンアセトニド(商品名マキュエイド硝子体内注用40mg)を採用しました。 このマキュエイドは「硝子体(しょうしたい)手術時の硝子体可視化」に用いるものです。具体的には白内障手術時に後嚢破損(こうのうはそん)という合併症が起こった場合に使用します。 後嚢破損が起こると、硝子体という目の奥の組織をうまく処理しないといけないのですが、この硝子体というのは透明から半透明のゲル状のものであるためなかなか見えにくいという問題があります。今までは経験と勘と処理する機械が硝子体を吸い込む音などを頼りに対処していたのですが、このマキュエイドを振り掛けると見えなかった硝子体が可視化されるので、より確実に安全に硝子体を処理できるようになります。 本当はこのマキュエイドが登場しないのが一番良いのですが、手術と言うのは「常に何があるか分からない」ものですし、これからも万全の備えを持って白内障手術に臨んで行きたいと考えています。
2011.09.06
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さて2月4日(土)、初日に非常に勉強になったのは「強膜炎の薬物療法」、「強膜炎の外科的治療」という2つのプログラムでした。 強膜というのは、眼球そのものを形作っている丈夫で文字通り「強い膜」で、普段は白い色をしています。そして、この膜に炎症が起きている状態を強膜炎といいます。 症状としては、強い充血と痛みです。強膜炎の充血は比較的深いところで発生してるので、黒っぽい赤色に見えるのが特徴です。充血している部分は押すと痛みを感じます。この「痛い」というのが強膜炎の最大の特色であり、しかもその痛みは患者様によっては「鉛筆を目に刺されたよりも痛い」と言うほど激烈です。具体的に実際の患者様の状態を見て頂きましょう。 この強膜炎はリウマチなどの自分で自分自身を攻撃してしまう自己免疫疾患に合併することが多いですが、色々調べても結局原因が分からないことも良くあります。 そして、これだけ医学が進歩した現在でも治療に難渋することが多く、最悪の場合は強膜が溶けて(壊死して)穴が開いてしまうことさえあるのです。そのためこの強膜炎と言うのは、我々眼科専門医にとってはその知識量・経験・状況判断力・決断力を問われる非常に厳しい病気なのです。 今回のプログラムではこの強膜炎について様々な角度から勉強することが出来ました。 ↑ このように強膜炎の原因疾患というのは無数にあり、それがこの病気の治療を難しくしています。 ↑ そして、上のスライドにあるとおり、「とにかく痛い」こと、これが困るんですね。 ↑ そして、目薬だけであっさり治る症例から、内科的・外科的治療を総動員して何とか治った症例、どうしても治せない症例まで、その予後は本当に千差万別です。 ↑ 治療法は一応のフローチャートはありますが、これがまた一筋縄ではいかないのです。 ↑ これは重症例の写真ですが、激烈な炎症で強膜が溶けてしまい、その奥のぶどう膜という茶色い組織が出てきてしまっています。 ↑ こうなると、強膜パッチ術といって、他の方の献眼された目を持ってきて弱いところに貼るという外科的な治療をするというのが教科書に書いてある定説なのですが、 ↑ うかつにこのパッチ術に手を出すと、パッチをしても次から次へと溶けてしまってまた穴が開き、「合計したら数個分の目をパッチに使ってしまった!」というような凄まじい状況におちいることがあるので、「うかつに外科的治療に踏み切らないことが大切である」ことが解説されました。 重症例の治療法の実際を聞くことが出来て、本当に勉強になりました。(続く)
2012.03.23
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シリーズでお送りしている「緑内障点眼薬の世界」。 これまでに現在第一選択薬(ファーストライン)として使用されているプロスタグランジン関連薬の紹介が終了しました。 続いては、第2章 ベータ(β)遮断薬 です。 この系統のお薬は、効き方としては主に房水(ぼうすい : 眼球を充たす体液のこと。眼圧を保つと共に角膜・水晶体の栄養補給の役目を果たしている。房水は毛様体という組織で作られ、主にシュレム管を通過し眼外に排出される。)産生抑制作用となります。 ベータ遮断薬は前回までに紹介したプロスタグランジン関連薬とは効き方が全く違うので、両者を併用するとより大きな眼圧下降効果が期待できますし、実際の臨床でも多用されています。 さてベータ遮断薬は、現在緑内障治療の第二選択薬(セカンドライン)として使用されています。第一選択薬(ファーストライン)のプロスタグランジン関連薬だけでは効果不十分だったり、もしくはその副作用で使えない場合などに検討される薬剤ということですね。 このベータ遮断薬は、キサラタンに代表されるプロスタグランジン関連薬が登場するまでは長い間第一選択薬の地位に君臨していました。その理由は何と言っても「眼圧がまずまず良く下がるから。」です。緑内障の目薬は何と言っても「眼圧が下がってナンボ。」なんですね。 ベータ遮断薬には、PAP(眼窩周囲症状 Prostaglandin associated periorbitopathy)のような眼局所の副作用はありませんが、その一方で、気管支ぜんそくや重い心臓病がある患者様には使用することが出来ません。 高齢の緑内障患者様の中には「自分で自分の病気を把握しきれていない」ケースもあり、それがこのベータ遮断薬処方の難しさに繋がっています。ただ逆に言うと、全身状態が良好で問題なく使える患者様にとっては「安全に使える、歴史のある良いお薬」でもあります。 それでは次回からは、このベータ遮断薬を詳しく見ていきましょう。(続く)
2019.07.11
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緑内障患者様の基本的な検査として、「見える範囲を調べる」視野検査というものがあるのですが、当院ではその検査装置の3代目として最新鋭のマシンとなる日本のコーワ社のAP-7700を導入しました。 前回は、 2015年に当時の最新マシンである同じコーワ社のAP-7000を入れていた のですが、ちょっとあまりにも休みなく酷使し過ぎたせいかボロボロになってしまって不具合があったのと、AP-7700をデモで使わせて貰ったら滅茶苦茶パワーアップしていてびっくりするくらいに最高だったので、思い切って買い換える形となりました。 このAP-7700は実際には数年前に発売されていたのですが、今回 「スマートストラテジー」という画期的かつ革新的なプログラムの新規追加 があり、それが購入の決め手となりました。 簡単に言うと、 検査時間の短縮と検査精度の飛躍的な向上が、ダブルで達成 されています。 正直に言って「今までのAP-7000とは何だったのか?」という根源的な疑問を感じるほどの良い出来です。もちろん私はコーワ社の回し者などではありません。1ユーザーとして使ってみての、率直かつ正直な感想です。(笑) 当院では、これからも必要な設備投資を決して欠かすことなく、常に「新しくて、かつ安全で快適」な眼科医療を提供し続けて行くことを皆様に誓います。
2021.01.29
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外来診察をしているとたまにこのようなキラキラした宝石のような輝きが目の中にある患者様がいます。 まるで少女漫画の主人公の目のように輝いていますね。この方は白色ですが、金色だったり黄白色だったり色々なバリエーションがあります。 これは星状硝子体症(Asteroid Hyalosis)といって、60歳以上の方にたまに見られます。硝子体という目の玉の中の線維の変性疾患なのですが、ほとんどの場合は視力も良好で治療の必要はありません。 外来中にこのような綺麗な星状硝子体症を見ると、その輝きの魅力で思わず見入ってしまうこともあります。我々眼科専門医にとってのちょっとした秘密の楽しみなのかもしれないですね。
2009.05.01
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さて、発売前のデータで細菌性結膜炎・細菌性角膜炎への有効率がなんと驚異の「100%」と、まさに異次元の好成績だった期待の新型抗菌点眼剤の「スーパークラビット」こと1.5%クラビット点眼液ですが、ようやく本物の製剤見本を戴けたので、院長の私及び半数以上のスタッフでその実際のさし心地を試してみることにしました。 ↑ 従来の0.5%に較べて3倍の1.5%と濃度が高いせいか、やや黄色っぽい色調です。 実際に点眼してみると、、、、、、 「全然しみない。大丈夫。」 「0.5%のクラビット点眼液とさし心地は変わらない。」 「色が黄色なので、なんだか良く効きそう。」 「新薬と思って緊張して点眼したら、間違って口に入って苦かった。」 あたりがスタッフ及び私の感想でした。問題なさそうですね。 さてこの期待の新薬、1.5%クラビット点眼液ですが、実際に患者様に処方できるのは品薄が解消される6月20日前後になりそうです。待ち遠しいですね。
2011.06.03
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さて数か月前に新規導入した新型白内障手術装置、センチュリオンですが、日本アルコン社の担当の方と相談しながら、セッティングを煮詰めてきました。 私はすべての手術を「自分の両親の目の手術をするような気持ちで、とにかく丁寧に確実に施行する。」と決意しています。そのためマシンセッティングは時間短縮&効率重視ではなく、若干効率が悪くても合併症を起こさないことを最優先したマイルドなところを目指しました。 ただそうは言っても、早い手術=患者様の負担の少ない手術という側面もあるので、安全性を担保できる範囲内での効率化も同時に追求しました。 そして試行錯誤の末、「まずまずだな。これでイケるな。」というところに到達できたと考えています。 以下は現時点でのセッティングの画面です。ちょっと眼科専門医向けのマニアックな内容になりますが、自分用のメモも兼ねて貼っておきます。 私はCCC(水晶体の前嚢というところを丸く切除する手技。手術で一番重要なところ)の時に安全性最優先のためにヒーロンVという目の中の空間保持力が一番強い粘弾性物質を使って行っています。そのためUS(水晶体の中身を超音波で削る手技)の前に、内圧を下げるためにヒーロンVを一部抜かなくてはなりません。ただセンチュリオンは以前使っていたインフィニティに較べてtipの内径が小さいため、詰まってしまうことが多発しました。そこで細かく何度も設定を変えて、結局吸引の立ち上がりを300mmHgからと高めにし、更にトーショナルという超音波の横振動を10%入れることによって、問題はほぼ解決しました。 USは全例「ディバイト&コンカー」というこれまた安全性最優先のやり方で、核の2分割後の設定がこちら。自分は前房(手術時の目の中の作業スペース)がしっかりと保たれているのが好きで、それでボトル高は高め。そして吸引圧と流量は低め。核の寄ってくるのがマイルドで若干物足りないが、合併症防止のためにはそのくらいでいいと思っている。 最後のI/A(水晶体核を処理した後の、残った皮質を取る手技)はこちら。これもマイルドな設定。それにしても本当にセンチュリオンのI/Aは優れている。安心感が半端無い。まだ旧機種のインフィニティーを使っている先生はこのI/A目的だけで即買い替えて良いレベル。
2021.09.08
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さて当院では日本のトプコン社のOCT(3次元眼底撮影装置)である、 DRI OCT Triton(トリトン)2 を先日四国初導入しました。全国発売が今まさに開始されたばかりの超ホットな新型機となります。 当院では元々トリトン1を2017年に導入していたので、9年ぶりに最新型に買い替えたということになります。 このOCTと言うのは現代の眼科医療においては無くてはならない必須機械であり、日常診療の「大黒柱」とも言える最重要の存在です。買い替えた理由ですが、一番は緑内障と言う病気の検出力が圧倒的に進化したことです。 スキャンエリアが12×9ミリと広くなったことによって、ごく早期の緑内障性変化も見逃すことが無くなりました。デモで機械を持って来て貰って数日で、「これは凄まじい進化だ。新型機だからべらぼうに高価だけど、これは買うしかないな。」と強制的に納得させられた感じでした。 なぜかトプコン社の営業の方はこの「緑内障の検出力の強化」については全然ちっともプレゼンされず違うことばかりアピールされていたのですが、絶対最初にこれをイチオシで言うべきだと思います。というか、自分が営業の立場だったら絶対にそうします。 またそれ以外でも、画像の撮影スピードも凄く早くなりました。これは患者様の検査負担がとても軽くなることに直結します。 当院は「身近でコンビニ的な、気さくな開業医」として、「とにかくお待たせすることなく、スピーディーで快適、そして同時に高品質な医療サービスを提供する」ことを強く意識しており、これからもその目的達成のためにスタッフ一同全力で努力していきます。
2026.03.02
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しばらく前のヤフーのトップニュースに、 視力矯正するレーシック手術が激減! その真相を探ってみると、、、 と言う興味深い記事がありました。 この記事によると、 平成20年に45万件施行されていたのが、平成26年にはなんと5万件!と9分の1にまで落ち込んだ ことが指摘されています。 レーシック手術の件数が激減した理由については以前から色々と考察されています。一般的に良く言われていることを列挙すると、 1. 銀座眼科という東京都中央区にあったレーシック専門クリニックで多くの方が角膜感染症を発症すると言う「集団感染事件」 があり、これがマスコミで大々的に報じられたことによって「レーシックはどうやら怖い手術らしい」とのイメージが国民の間に急速に広まった。 2. その後消費者庁から レーシック手術に関する注意喚起 の文書が出され、それによって「やっぱり凄く危険な手術なんだ。」という認識が国民の間で一般的となった。 3. この数年でソフトコンタクトレンズの技術革新が急速に進み、シリコンハイドロゲルレンズという「ほとんど裸眼と一緒」と言って良い位に角膜に多くの酸素を供給してくれる安全で快適なレンズが普及したことによって、レーシック手術を受けなくても目の乾燥感無く良好な矯正視力を得ることが出来るようになった。 などが挙げられます。 それ以外にもネットで良く言われている言説に、 「レーシック手術が安全だと力説している医者が、何故か自分自身はメガネをかけている。その理由はきっとレーシックに色々な危険性があるからだろう。本当に安全なら自分もとっくにレーシックを受けているはずだ。」 と言うような、 「素朴だがなかなか鋭くて説得力のある意見」 もあります。(笑) そして上記の理由が相乗効果を上げて今の「レーシック手術冬の時代」を迎えているのですが、私が考えるのにはもう1つ大きな理由があります。 それは、 日本の医療は元々総合力で世界1位(世界保健機関(WHO)と経済協力開発機構(OECD)の報告書による) であり、 しかも国民皆保険制度の下で1割~3割の負担額でそれを享受できると言う「夢のような状況」 なので、レーシック手術のような負担額10割の自由診療が広まるハードルが極めて高いと言うことです。 レーシック手術自体は極めて洗練され安全でかつ患者様満足度の高い良い手術なのですが、負担額が最高でも3割の保険診療の3倍以上のクオリティがあるのか?と言われると、「うーん、それはどうかな?」ということになってしまっているのではないかと思うのです。 つまり、ここ日本でレーシック手術が激減したのは、そもそもの「日本の保険医療制度の実力のとてつもない、尋常でない高さ」 が影響しているということなんですね。
2016.09.08
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実用視力を改善する力のある「ムチン分泌促進薬」を紹介して話題沸騰だった、NHKの「ためしてガッテン」 ですが、この番組の放送以来私のブログにも特需が発生し現在全国から大変多くのアクセスを頂いています。今日はその特需を受けての第2弾です。(笑) さてムチン分泌促進薬を語るシリーズ、参天製薬のジクアス点眼液に続いては、日本の製薬会社の雄、大塚製薬から登場したムコスタ点眼液についてです。 まずは発売前の様子から。 ドライアイ新薬、ムコスタ点眼液も製造販売承認申請へ。 このムコスタ点眼液、数年前から発売が噂されていながら実際にはなかなか発売されず一部では、 「出る出る詐欺」 とまで言われかけていたのですが、ようやく船出の時を迎えました。 ムコスタ点眼液、近日中に登場です。 果たして効果はどうだったのか。 ジクアスとムコスタは薬としての実力はどちらが上なのか、その実際は、、、、、? ムコスタ点眼液、実際に使って見ました。 このムコスタ点眼液の有効成分「レバミピド」は大塚製薬が自社開発したもので、内服薬としてはずいぶん以前から発売されています。そして、胃潰瘍や胃粘膜病変に抜群な効果を発揮するベストセラー薬として知られていました。 内服で良い薬は、目薬になっても良い。 これはほぼ外れたことのない、 目薬の法則 であり、その意味ではムコスタ点眼液も期待通りの優れた薬効を示すお薬に仕上がっています。 ただその一方で、大塚製薬はこのムコスタを溶かして目薬に仕立て上げるのに苦しみ抜き、実際に出来上がった製品は成分が安定しにくいために一回毎の使いきりタイプのみで、液は濃く白濁し点眼すると強い苦味を感じる、という典型的な「良薬口に苦し」のやや使いにくい目薬となっています。 そのため、純粋に薬が持つパワーだけを見ればムコスタはジクアスを確実に上回ると個人的には思いますが、ジクアスはムコスタよりも圧倒的に点眼がしやすくて使いやすいので、総合力では逆にジクアスがムコスタをやや上回っている、というのが現時点での眼科専門医としての私の評価です。ただ、未確認情報ではこのムコスタは使いやすいフルボトルタイプの発売を目指して鋭意開発続行中とのことでもあり、これからの更なる進化に期待しています。 以上で、「ためしてガッテン」余波を受けての「ムチン分泌促進薬」関連の緊急シリーズは終わりです。この日記は地方で開業している眼科専門医である私の日常を綴っているだけのものですが、出来る限り一般の方にも面白く楽しく読んで頂けるように工夫を凝らしていますので、今回たまたまご訪問戴いた方には是非これを機会にブックマーク登録して頂ければ幸いです。(笑)
2012.11.01
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しばらく前のことですが、「子供のめやにと充血がひどい。」との訴えで、女の赤ちゃんを連れた若いお母さんが受診されました。 目を診せて頂くと、確かにひどく充血し目やにもびっしりと付いています。ところが目を良く観察していると、まつげがチリチリでほとんどありません。 「あれ? お母さん、まつげ、どうかされましたか?」 と質問すると、 「はい、まつげを短く切っておくと、毛根の生命力が刺激されて大きくなった頃にまつげがフサフサの美人になると聞いたので、全部私が切りました。」 とのことでした。 まつげは、目の中にゴミなどの異物が入らないようにするために生えており、とても大切なものです。この赤ちゃんはまつげを切られてしまったので、それで目が剥き出しになり炎症を起こしてしまったのです。 赤ちゃんの時にまつげを切ると将来フサフサになる、かどうかは検証した論文もなく真実は分かりませんが、目の健康のためには間違いなく良くないことですし、またどうしても将来まつげフサフサになりたければ、 ↑ このような「プロスタグランジン関連薬」という系統の緑内障用の目薬をまつげの付け根に塗れば、驚くほどあっという間にフサフサに出来ます。それはこれらの薬に「増毛」の作用があるからです。(ただし、美容薬として保険診療機関で処方することは出来ません。一般に美容外科や美容皮膚科での自費での購入となります。) まつげは大切な役割があるからこそ生えているのです。ですので、皆様も安易にまつげを抜いたり切ったりしないようにして下さいね。
2013.07.06
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視力補正を目的としない美容目的のカラーコンタクトレンズ、いわゆるカラコンというものがあります。 ネットで気軽に誰でも買えることもあって、若い女性を中心に多くの方が使用しています。具体的には例えば下記のような品物ですね。 目力(めじから)が分かりやすくアップするので、特に若い女性の方が使用したい気持ちは良く理解できるのですが、このカラコン、品質にバラツキがあり、ひどいものになるとカラーの色素が溶け出したり、成型が雑で破損しやすかったり、品質が悪くて酸素透過性が危険なまでに低かったりと色々なトラブルがあります。 今日も「カラコンを入れてるんだけど、最近なんだか目がかすむので来た」という患者様が来院されました。早速目を拝見すると、 角膜(黒目)の表面が傷だらけ(上の写真の緑色に染まっている部分)になっています。そのせいで視力も下がっています。カラコンは元々その色素部分のせいで酸素が通りにくいのですが、装用時間が長過ぎたため角膜が極端な酸素不足に陥りこのような状態になってしまったのです。 カラコンはパーティーなどの「ここぞ!」という場面で短時間に限って使用するべきアイテムであり、美容目的で1日中入れっぱなしにするのは非常に危険です。皆様も十分に気を付けて下さいね。
2010.06.22
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義眼の方の目の中はどうなっているんですか? と言う質問を患者様から頂きました。 義眼は怪我や病気などで眼球を摘出せざるを得なかったり眼球の中身を取る手術をした場合に、 眼球があるように見せるために入れる扁平な楕円形のもの で合成樹脂で作られています。ほとんどは反対側の元気な目に合わせて色や形を整えて1つ1つオーダーメイドで作ります。 それでは実際に見てみましょう。 非常に綺麗に義眼が入っていますね。 これを外すと、、、、、 中は空洞 になっています。この空洞(結膜嚢:けつまくのう)の状態に合わせて1人1人の患者様にぴったりの義眼を作っているので、パッと見では義眼と分からないことも多いくらいなんですね。
2016.07.15
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さてシリーズでお送りしている「緑内障点眼薬の世界」。 今日も緑内障治療の第一選択剤(ファーストライン)である、プロスタグランジン関連薬を見ていきましょう。 4回目となる今回はルミガン点眼液(一般名 ビマトプロスト)です。 このルミガン点眼液は、プロスタグランジン関連薬の中で 最強の眼圧下降効果 を持っています。 滅茶苦茶効く ということですね。ただその一方で、 PAPという副作用の出現頻度も断トツ で高くなります。 眼科専門医としての感想を率直に言うと、「非常に気難しい薬」という印象です。眼圧コントロール不良の緑内障患者様には以前はリスク覚悟で処方することも良くあったのですが、最近は違う系統のキレの良い新薬が増えているので、自分は処方することは凄く減っています。「ルミガン行くくらいなら、違う系統の目薬を追加しよう。」と考えることが多いんですね。 それでも今でもどうしてもルミガンが必要と言う患者様は厳然としていらっしゃいますし、なんといっても眼圧はガツンと良く下がるので、必要な薬であることに変わりはないです。まあ、 緑内障点眼治療「最後の砦」 といった位置づけの目薬ですね。(続く)
2019.05.27
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シリーズでお送りしている「緑内障点眼薬の世界」。 今日も緑内障治療の第一選択剤である、プロスタグランジン関連薬の世界を見ていきましょう。 6回目となる今回はエイベリス点眼液(一般名 オミデネパグイソプロピル)です。一般名がえらく難解ですね。そういえば、しばらく前に学会に行った時に、緑内障の世界では有名な某大学教授が、名前を言い間違えて舌を噛んでいました。 このエイベリス点眼液は以前にも当ブログで紹介したことがあるのですが、プロスタグランジン受容体のサブタイプのひとつであるEP2受容体作動薬です。今日は復習として改めて詳しく見ていきましょう。 これは今までに全くなかったブランニューの効き方をする画期的な新しいお薬となります。具体的には、目の中を流れている「房水(ぼうすい)」を2種類の経路を使ってその流出を促進することで眼圧を下げてくれます。 一番気になるのはその効き目ですが、 現在緑内障治療でファーストラインとして使用されている名薬 キサラタン点眼液(一般名:ラタノプロスト) に比べて「非劣性」 であるというデータが出ています。つまり、 滅茶苦茶良く効く ということですね。 またキサラタンに代表される プロスタグランジン製剤(他にはトラバタンズ、タプロス、ルミガンなどのお薬があります。) には、点眼によって目の周りが落ち窪んだり、黒くなったり、毛が生えたりという、患者様に非常に嫌がられている、 PAP(眼窩周囲症状 Prostaglandin associated periorbitopathy)と呼ばれている副作用 があるのですが、エイベリスはこのPAPが少ないと言われています。 ただその一方で、 結膜(白目)の充血や黄斑浮腫(目の奥の網膜の視力に関係する大切な部分の腫れ)などの副作用がやや多い という欠点があります。そのため、 白内障術後で目の中に眼内レンズが入っている患者様や、タプロス(一般名:タフルプロスト)という点眼液を使っている方への使用は禁忌 となっています。 さて眼科専門医として正直に言うと、このエイベリス点眼液はやや副作用が多そうで、「ちょっと気難しそうな薬」という印象はあります。ただその一方で現在緑内障治療のファーストライン(第一選択薬)である前述の プロスタグランジン製剤のPAPという副作用をものすごく、死ぬほど嫌がっている患者様というのは実にたくさんいらっしゃるので、そういった方々へのオプション的な選択肢としての魅力は凄くある と思います。 後、これはあくまでも個人的な意見なのですが、このエイベリスは副作用として角膜肥厚(点眼によって黒目が分厚くなる)が報告されているのですが、これは逆に色々な感染症や炎症性疾患で角膜が薄くなってしまった患者様に治療薬として使える可能性があるんじゃないかな?と以前から思っています。薬の作用というのは不思議なところがありますからね。 いずれにせよ、「日本発&世界初」のこの新しい機序を持ったエイベリスの今後の活躍が楽しみです。
2019.07.05
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我々人間は外界からの情報の80%を目から手に入れていると言われており、だからこそ目はとても大切なわけですが、その目の真ん中に開いているのが瞳孔です。この瞳孔なんですが、動物によって形が違うことは割りと知られていません。 (眼科セカンドオピニオン 銀海舎 P53より) 我々人間が真ん丸なのは皆様ご存知でしょうが、ヒキガエルはなんとハート型なんですね。 ネットを巡回していると、なんと 「ハート型の瞳孔を持つ猫」 もいました!。 ただ残念ながらこの猫は「エイプリルフール用の合成写真」だったようなのですが(私は本物かと思ってかなり驚いていたのですが)、 実は 人間でも「ハート型の瞳孔」を持つ方が存在する のです。 これはある患者様に検査のために散瞳薬という目薬を入れたところなのですが、上方の虹彩(茶目)の一部がその後ろの水晶体とくっついている関係で、偶然「ハート型」になっています。 患者様に「目がハート型になっていますよ」とこの写真をお見せしたら大変喜んで頂いたのですが、とっても珍しいものが見れて私も嬉しかったです。こういった様々な楽しいことがあるので私は外来診療が大好き なんですね。
2009.08.04
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学校の視力検査で近視が進行して引っ掛かり眼科を受診されるお子様はたくさんいます。お父さん・お母さん方は「ウチの子の近視が進んでメガネをかけさせるのは絶対イヤ!」と思われる場合も多く、「近視が治る目薬ってないんですか?」という上記の質問を受けることが非常に良くあります。 結論から先に言うと、「近視の治る目薬はあるような、ないような感じです。」という謎掛けのようなお話になります。今日はその「近視の治る目薬」のお話をしてみましょう。 昔の言葉で言う「学校近視」、今の言葉で言うと「仮性近視」、「偽近視」と呼ばれるものがあります。イメージ的には「近視が進行してきているけどまだ固まりきっていない状態」とでも言えるでしょうか。 医学的にはこの「仮性近視」については、 1. そもそもそのような病態が存在するかはっきりと分からない。 2. 仮性近視は存在するかもしれないが、治療可能なものは数少ない。 3. 仮性近視の治療には一定の効果が認められるものがあるのは事実だが、治療を中断すると元の近視に戻ってしまうことが多いので、結局はあまり意味が無い。 あたりがコンセンサスかと思います。まとめると、「平均的には我々眼科専門医は仮性近視の治療は根本的にはあまり意味が無いと考えている。ただし治療中には一定の効果をあげる可能性のある目薬というのは実際に存在し、また近視のお子様を持つご両親の希望が強い場合には処方する場合もある」くらいの感覚なのです。 それでは実際に、その「仮性近視」の治療ではどのような目薬を使うのでしょうか? それには、、、、、 この「ミドリンM」と「ミオピン」という2種類の目薬を使用します。我々の業界ではこれを略して「MM療法」と呼んでいます。 ミドリンMは、目のピントを合わせる筋肉である毛様筋(もうようきん)の緊張を和らげてリラックスさせ、仮性近視を戻らせる作用があります。ただし散瞳(さんどう)といって瞳を開く効果が同時にあり、昼間に使用すると日常生活に支障が出るため通常夜寝る前に1回使用します。 ミオピンは1日に4回使用します。この目薬は目の毛様筋(もうようきん)の反応を良くし、また目の疲労回復作用を持つことから、毛様筋が昼間に緊張状態に戻るのを妨げる作用があると考えられています。そのため、ミオピンはミドリンMのすき間を埋める役割をするので、ミドリンM単独療法よりも併用療法の方がより効果があるとされています。 実際、このMM療法の有効性を報告した文献も古いものですが存在しています。 また、このミドリンMもミオピンも歴史のある薬剤であり、長年の経験から安全性が非常に高いことも証明されています。 ここまで読んで頂くととっても効きそうな感じのするこのMM療法なのですが、実際に患者様に処方してみると「点眼中は少し近視が改善することもあるが、それで近視が実際に治るかと言われるとなかなか厳しい」といったところです。 近視が治る目薬が開発されたら私も眼科専門医として本当に嬉しいのですが、現状ではこのMM療法以外に「近視に効く」と言われている目薬はありません。でも医学の進歩と言うのはとにかく早いので、いつの日かそんな夢の目薬が開発されるかもしれないですね。
2010.10.29
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さて1月29日(土)午後の特別講演は、 私が所属する愛媛大学医学部眼科学教室のボスである、大橋教授による「白内障術後眼内炎ーEvidence Based Preventionの時代へ」でした。 白内障手術というのは日本国内で年間に100万例前後が行われているというメジャーな手術ですが、その術後には500~2000例に1例くらいは眼内炎という感染症が発症することが知られています。この眼内炎になると最悪の場合失明につながることもあるため、我々白内障手術医は「いかに眼内炎のリスクを減らせるか?」を常に考えて続けているのです。 今回の大橋教授の特別講演は、この怖い眼内炎予防のために大切な現時点での最新の知見が散りばめられた本当に素晴らしい内容でした。 この講演の中ではいい話が多かったのでちょっとまとめておきます。眼科医以外の方にはやや難しい内容かもしれないですがご了承ください。 1. 手術前にアジスロマイシン点眼(内服薬のジスロマックというニューマクロライド系抗生剤を目薬にしたもの。アメリカではすでに何年も前から発売中だが、日本では未だに治験中で個人輸入でしか使えない。この新薬の承認が遅いという「ドラッグ・ラグ」は日本医療の大きな問題点の一つだが、眼科でもそれは同じ。本当に何とかして欲しい。)を使うことの有用性を指摘。 2. 白内障手術終了前のI/A(アイエー)という目の中の洗浄手技のときに、Tapping(タッピング)といって眼内レンズを傾けながら粘弾性物質(目の中を保護するゼリー状の物質)を吸い取る手技を左右で5秒間×4回、合計で20秒すると、BHL(ビハインド・ザ・レンズという眼内レンズの裏側を吸うやや上級者向けの手技)とほぼ同等の効果があることをスジャータスタディで実証。 3. 術後早期(手術終了直後)からの抗菌点眼薬開始が大切である、何も次の日まで待つ必要はないということ。 4.破嚢(はのう。水晶体の袋の一部が破れること。平均4%の症例に起こる)などのハイリスクイベントが発生した症例に対しては、抗菌薬の前房内投与が必要なこと。 私もこれからも眼内炎を極力起こさないような、より安全な手術手技を求めて努力していきたいと、改めて思いました。
2011.02.07
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どうして人間の瞳は丸いのですか? という質問を患者様から戴きました。今日はこの問題について考えて見ましょう。 まずここで言う瞳と言うのは目の真ん中に開いている「瞳孔」のことですね。私達人間は 「外界からの情報の80%を目から手に入れている」 と言われており、その入り口となるとても重要な部分となります。 さてこの瞳孔、我々人間はたまたま丸いわけですが、 実は動物によって異なる のです。! (眼科セカンドオピニオン 銀海舎 P53より引用) 猫が縦型なのは割と皆さんも御存知かと思うのですが、 ヒキガエルはなんとハート型 なんですね。 また我々人間でも、たまにこのハート型の瞳を見ることもあります。 これはある患者様に検査のために散瞳薬という目薬を入れたところなのですが、上方の虹彩(茶目)の一部がその後ろの水晶体とくっついている関係で、偶然「ハート型」になっています。 患者様に「目がハート型になっていますよ。」とこの写真をお見せしたら大変喜んで頂いたのですが、とっても珍しいものが見れて私も嬉しかったです。こういった様々な楽しいことがあるので、私は毎日の外来診療が大好き なんですね。
2016.06.06
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さて2012年の発売以来ドライアイ治療で大きな役割を果たし続けてきた名薬 ムコスタ点眼液 。 このお薬は元々は胃薬でそれを目薬に仕立てたものなのですが、なかなか溶けない・成分が安定しないという欠点があったようで、開発元の大塚製薬は製剤化に苦しみ抜いていました。そもそもは2010年位に発売予定だった記憶があるのですが、それがどんどんと延期され我々眼科業界の一部では「出る出る詐欺」とまで言われるくらいのお待たせ状況でした。(笑) そうしてようやく2012年に発売となったのですが、普通の点眼瓶(マルチドーズ製剤)で出すことが出来ず、1回きりの使い捨てタイプ(ユニットドーズ製剤)での登場となりました。 このタイプの製剤は毎日使うにはやや不便があるので、当然大塚製薬は製剤をより安定させて普通の点眼瓶タイプでの発売を目指していると2012年からずっと聞いていました。そして我々臨床の第一線に立つ眼科専門医もそれに強く期待していました。 ただ、時が流れても一向に実現せず、複数の情報源によると「チャレンジを続けているが、技術的に極めて困難で難しい。」とのことで、私は「あぁ、これはもう無理なんだろうな。」と半ば諦めていました。。。。 そんな中、今回不意に登場した参天製薬からの後発品(ジェネリック)は、何と平然と普通の点眼瓶タイプとして我々の前にその姿を現しました。! 日本有数の製薬会社である大塚製薬が、「恋焦がれ全力を尽くし10年の歳月をかけても達成できなかった幻の姿」で忽然(こつぜん)と出てきたのです。 中身が白濁液なのは先発品のムコスタ点眼液と一緒ですが、 粒子がより細かくなっているのかな?、点眼後の霧視(むし:霧がかかったようにぼやけて見える症状)がより軽くなっているようにも個人的には思いました。 眼科専門メーカーである参天製薬は元々、「薬を溶かして目薬に仕立て上げる能力」が世界一 と言われています。今回の「レバミピド懸濁性点眼液2%参天」の登場は、その技術力の異次元の高さと巧みさを改めてはっきりと満天下に示す象徴的な事例となりました。 ちなみにここで一言補足しておくと、これは大塚製薬の技術力が低いという事では全くありません。大塚製薬は抗精神病薬「レキサルティ」などでは世界トップクラスの戦闘力を誇る、日本を代表する製薬メーカーだからです。そうではなく、眼科専業で命を賭して日々目薬作りに邁進している参天製薬があまりにも特異的に凄い、というだけのことです。(笑) ま、いずれにせよ、秋になればこの待望の「参天版ムコスタ点眼液」が市場に登場してきます。実際に点眼した感触も非常にいいですし、眼科専門医としての私の直感では馬鹿売れしそうな気がします。実際の発売が今から楽しみですね。♪
2023.07.14
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さて先日のことですが、当院ではエレックス社のYAG/SLTレーザー機械、タンゴネオを新規導入しました。 これは白内障の術後に一定の確率で発生して視力低下を引き起こす後発白内障(こうはつはくないしょう)に対して後嚢(こうのう:水晶体の袋の後ろ側の部分)切開術を施行するためのYAG(やぐ)レーザーと、緑内障の眼圧を下げる効果のあるSLT(えすえるてぃー)レーザーの2つがニコイチで1つに収まったスタイリッシュなマシンです。 自分は以前からエレックス社の製品が大好きなのですが、その理由は筐体がコンパクトで同時にデザインがとても美しいからです。大切な患者様を常に最高の笑顔でお迎えしたいですし、そのためにもまずはスタッフの我々自身が快適でリラックスした環境下で仕事を継続出来ることが大切だと考えています。 さてそれではマシンの実際を見ていきましょう。 旧型機種に比べて、操作画面が大型化されてより快適になりました。また顕微鏡の性能が上がって非常に見やすくなりました。 機能面で言うと、旧機種ではピントを後ろ側にしかずらせなかったのが、 新機種ではピントを前側にもずらせるようになりました。これは大きな進化です。 具体的なメリットを言うと、白内障術後に前嚢収縮(ぜんのうしゅうしゅく:水晶体前面の袋が収縮してくること)と言うものが発生して視力低下や視界が狭くなったりと言う合併症が起こることが稀にあるのですが、そういう時にピントを前にずらせると、より安全に前嚢切開と言うレーザー治療が出来るのです。 またレーザー自体のパワーも上がっていて、それもとても快適に感じました。「切れ味良いねー。」と思いました。当院ではメインテナンスをしながら旧機種は開院以来16年間使い続けていただけに、より新機種の素晴らしさが滲みたのかもしれません。(笑) ディーラーの吉田メディカル様、製造発売元のエレックス社様、本当に有難う御座いました。
2024.11.10
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当院では2021年に日本アルコン社の「センチュリオン」という最新型の白内障手術装置を導入してそれで毎週の手術を行っています。 非常に能力の高いマシンで、導入してから白内障手術時のトラブルが激減しました。手術自体はこの25年間常に全身全霊を賭けて1例1例「すべての症例を自分の父母の目にメスを入れるという感覚」でやっていますので、合併症が明らかに減ったのはやはり手術機械のクオリティが上がったことが何よりも大きいと思います。 さてそんな素晴らしい名機センチュリオンですが、当院では実は2台同時に購入していました。 その理由ですが、機械にトラブルは付き物なので、万一に備えてバックアップのために買っていたのです。これは今回が初めてではなく前機種である「インフィニティー」の時にも2台体制を取っていました。 さて2021年に同時に2台やってきたセンチュリオンですが、1台は花子、もう1台は太郎と名づけられました。彼らは2週間交代で大切な患者様の目の手術に臨みます。ただその後の2台は対照的な運命を辿りました。 花子は優等生で、その後の3年半、一度も何のトラブルも起こしませんでした。オペ場のスタッフも「花子が鎮座していると安心」と言う感じで絶大な信頼を得ていました。 一方の太郎はかなりの暴れん坊で、この3年半で様々なトラブルに見舞われました。具体的に言うと、1. 朝、オペ場で機械を立ち上げようとすると、そもそも起きない。2. 起きても、いよいよ手術が始まるという瞬間になぜかフリーズしていて動かない。3. オペ中に急にイヤイヤ言い出して動作が止まる。4. 前部硝子体切除(A-Vit)という手術トラブル時に使う機能を一度も使っていなかったので試しに動かしてみようと思ったところ、そもそも壊れていて反応が無い。 などでした。そしてこういう時には常に花子が緊急登板して事なきを得てきたのでした。 、、、ところが先日のことです。大エースの花子が手術中に突然操作画面のタッチパネルが反応しなくなったのです。しばらくいじくり回していると動き始めて手術は無事に終わったのですが、次の日にはついに立ち上がらなくなってしまいました。 オペ場のナースたちが「まさか、お利口な花子がこんなことになるなんて。。。」と大きなショックを受けています。でも、問題児の太郎が代打を務め手術は滞りなく終了しました。「太郎にも役に立つことがあるんだねー。」とみんなが感心しています。 その後緊急で日本アルコン社にメインテナンスをお願いすると、花子はタッチパネルの裏側のコネクターが外れていただけで、すぐに治りました。やっぱり優等生だったんですね。 、、、と、こんな感じで我々は毎週楽しく手術に臨んでいます。これからも太郎と花子を常に万全にメインテナンスしながら、より安全で精度の高いオペを出来るようにスタッフ全員で努力していきます。
2025.02.18
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さて当院では先日、ルミナス社のM22という「IPL治療器」を導入しました。 これは美容皮膚科で顔のくすみやシミなどの光老化による症状を一挙に改善する、いわゆる「フォトフェイシャル」という治療に用いる医療機器です。 そしてこのIPL治療器は、我々眼科の分野でもドライアイやマイボーム腺梗塞などの症状改善にも大きな効果があることが知られています。これは元々美容目的でフォトフェイシャルを繰り返し受けていた患者様たちが「偶然にドライアイも一緒に改善した」ことから、その高い効能が分かったという面白い逸話もあります。 こちらが実際のマシンとなります。ずんぐりむっくりしていますね。↓ 保険外の自由治療となりますが、興味のある方は受診時に質問を戴ければと思います。
2025.10.13
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さて第5回四国EYEランドセミナーで勉強になった話の個人的メモ書きを続けます。 セミナーでは花粉症に代表される「アレルギー性結膜炎」の治療の最近の話題があったのですが、これが大変勉強になりました。 治療では副作用が少ない「抗アレルギー点眼薬」が第一選択なのですが、その中にはたくさんの目薬があります。 現在治療の主流になっているのは、即効性があって効き目を実感しやすい「ヒスタミンH1拮抗薬」なのですが、この中にはザジデン、リボスチン、パタノールの3種類があります。この中でザジデンは最近はドラッグストアでも買える様になりましたが、この目薬はpHが酸性でかなりしみるという欠点があります。最新のパタノール点眼液はpHが中性で点眼しやすくまた効果も抜群です。改めて全ての目薬の利点・欠点を復習できて良かったです。 さて話は変わりますが、アレルギー性結膜炎の中には重症型の「春季カタル」という病気があります。 こういった重症の患者様には普通の抗アレルギー点眼薬では歯が立たず、切れ味は鋭いけれども眼圧上昇や感染症誘発の危険のあるステロイド点眼液を使用せざるを得なかったのですが、2010年8月に免疫抑制剤のタリムス点眼液が我々一般眼科医も処方出来るようになりました。(それまでは特別に許可のある施設でしか使えませんでした) このお薬は副作用もありますがとにかく効果が抜群です。当院でもすでに採用しています。新しい武器を得て、これからのアレルギー性結膜疾患治療はよりきめ細やか、かつ確実・安全になるだろうと感じています。
2011.04.19
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「緑内障の目薬で毛が生えるって本当なの?」という質問を患者様から戴きました。今日はこの疑問について少し考えて見ましょう。 現在緑内障の治療では「プロスタグランジン関連薬」という系統のお薬を第一選択薬として使います。下に示すのがその代表的な薬(プロスト系)です。 眼圧(目の血圧)を下げる効果が高く全身への副作用がほとんどないからですが、局所への副作用はかなりあります。充血・目の周りの色素沈着(黒くなる)などですが、その一つに多毛があります。目の周りに目薬がこぼれると、皮膚が黒くなりますし、明らかに毛が生えているのが分かりますね。 この多毛という副作用を避けるため、私は入浴前の点眼をお勧めしています。(この系統のお薬は全て1日1回点眼です)点眼後にお風呂でしっかりと顔を洗えばかなり予防できますからね。 ここからは余談になりますが、ちょうど友人がストレスで円形脱毛症になったのでちょっと上記の点眼薬を脱毛部に使ってみました。 かなり禿げていますが、お薬を使って2ヶ月後には、 かなり生えています!。その後も増毛は続き、現在では脱毛部は消失しています。かなり効果がありそうですね。 このようにお薬の作用というの本当に不思議なものですね。
2009.04.29
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2種類以上の目薬を処方させて頂いている患者様から、「どうして点眼間隔を5分あけないといけないの? そんなのめんどくさいから、連ちゃんでちゃっちゃかちゃっちゃか点してるけどなにか悪いことでもあるの?」という質問を良く戴きます。 この質問の前提として、まず私は眼科専門医として「できるだけ処方する目薬の種類を減らす」ことを心がけています。出来れば絶対に必要な1種類だけ、ダメなら2種類、それで無理なら1増1減でやっぱり2種類、それでもどうしても無理ならやむを得ず3種類、そのあたりが限界だと思っています。患者様は目薬を点眼するためだけに日々を生活しているわけではないですし、点眼の種類が増えるとどうしても確実にさせなくなるからです。 さて最初の質問の話に戻りますが、点眼間隔を5分空けなくてはならない理由は、「先にさした目薬が後からさした目薬で洗い流されてしまって効かなくなるから」です。 上の図を見ると分かるように、もしも1分間隔で目薬を点すと最初に点した方は60%くらいしか効かない、というデータがあります。 専門的に言うと、目薬の目の表面(結膜嚢:けつまくのう)からの消失時間は一般的に2分と言われています。なので点眼間隔は最低2分空ければまあ大丈夫なのですが、目薬同士の相互作用を防ぐために、念のために「5分」というお願いを我々眼科専門医はしているわけです。(一部の緑内障薬では10分以上の点眼間隔が必要なものもあります。) なので、2種類以上の目薬を同時に使用するときは「最低2分、できれば5分」と覚えて置いてくださいね。
2011.05.15
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さてコロナ渦でほとんど参加者のいない第125回日本眼科学会に参加してきた理由ですが、実は発売されたばかりの英国オプトス社のシルバーストンという最新鋭マシーンを実際に自分の目で見たかったからでした。 じゃーん、これがシルバーストンです。! いつの間にか日本のニコン社に買収されていたとのことで、マシン筐体はニコンとオプトスのダブルネームになっていました。スタイリッシュでカッコいいですね。 さてこのシルバーストンですが、正式には「SS-OCT付き超広角走査型レーザー検眼鏡」と言います。 具体的には、眼底(眼の底)の超広角写真と同時に、高精度な3次元解析画像を撮影できるという、夢のような装置です。 実際に私の目を撮ってもらいました。寒気がするほどに凄まじい、そして同時に素晴らしい圧倒的な情報量です。もしもこのシルバーストンがクリニックにあれば、もう目の病気を見逃すことはほとんどなくなると思います。まさに、眼科検査における現時点での「究極のマシン」と言ってもいいでしょう。 ただ、何とお値段が、、、、 税抜きで、4480万円。!!! 当院にはすでに同じオプトス社の不朽の名機、デイトナが何年も前から大黒柱として活躍してくれているので、 「ウチにあるデイトナを下取りして貰って、それでなんとか1500万円くらいにしてくれませんか?」とお願いしてみたのですが、「絶対にダメです。限界で税抜き3500万くらいです。」ということでした。(涙) 「ふー、シルバーストン、凄いマシーンだけど、あまりにも高価過ぎる。これはちょっと手が出ないなあ。それにしてもこの名前はイギリスにある有名なサーキットの名前と一緒だけど、何か意味があるのかな?」と思って質問してみたところ、「創業者がカーレース好きなので、そのサーキットから名前を取っています。」ということでした。 シルバーストンサーキット は世界有数の高速コースとして知られていますが、このオプトス シルバーストンもそれに負けないくらいに超高額なので、まさに「名は体を表す」んだなあ、と納得しました。 そして、「よし、もっと仕事を頑張って、きっといつの日か自分もシルバーストンを手に入れよう。」と思いながら、学会場を後にしました。
2021.04.19
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