型をこよなく重んじるも、嵌ることをめっぽう嫌がる作曲家の日記

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2022.06.26
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テーマ: 芸術(12)
カテゴリ: 作曲家
作曲の師だった宍戸睦郎先生(1929−2007)が、
A.ジョリヴェの日本人弟子3人の兄弟子だったからことから、
先生の執筆された文献にはジョリヴェのことがよく出てきます。
このブログでは紙媒体で遺っている原稿の要旨を書いておこうと考えています。

【以下要旨】(…は内容についての私のコメントです)
ジョリヴェ(1905-74)はオリヴェイエ・メシアン(1908-92)と共に、
フランス現代作曲家の双璧でした。
…日本ではこの二人があまり比較されることはありません。
作曲された音楽の印象は全く異なりますが、作曲法は似ていると思います。


渡仏したのが1953年とのことですので、師事は留学5年目のことになります。
…今のように学校に入るレールが敷いてある時代ではなく、
個人レッスンを受けるまでに辿り着くのは月日がかかることもあると思います。

ある時H.デュティユー(少し前はデュティーユと呼ばれ、原稿はそうなっています)が、
パリの作曲家の批判を1人ずつ言い出した時、ジョリヴェについてのみ、
「自分の信念を貫く数少ない作曲家の一人で、これはなかなか難しいことである」
と賛辞を言ったそうです。先生はジョリヴェの野生的な作風に惹かれていたそうです。

それから間も無くジョリヴェのお宅を訪ねました。その時のジョリヴェの言葉は、
「音楽とは一種の融合作用であり、
作曲家がある感動を得てこれを組織だった音楽語法で聴衆に示し、
演奏家を通じてそこに一種の交流状態が成立した時、

一つの素材を探す時、それは人間の真実な認識の中から求めなければならない。
そして世界中の人に語りかけお互いに理解するのです。」

また、ジョリヴェはフルートのの索引の冒頭の5連音符について、
「五という数は三(聖三位)、七(完全なる数)と共にひじょうに興味のある数、
何故ならそれは人間を意味するから」と楽譜に頭、両手、両足を書いたそうです。


先生の言いたかったことはジョリヴェの素朴なほのぼのとした人柄で、
人間から孤立した作品はなく、どんなに新しい技法を駆使しても、
その根源を忘れてはならないとし、信念として学生に伝える義務を感じていると。
…先生の脚色が加えられているかもしれませんが、概ねはこのとおりだと思います。

【自分の思うこと】
書いてあることにはとても納得できました。
宍戸先生からはいくつかのスタイルの楽曲分析を教わりましたが、
とりわけジョリヴェ作品の分析についてのみ教わりませんでした。
ジョリヴェはとても近くて遠い存在でした。

勤務した大学院(洗足)では論文テーマがジョリヴェであれば指導担当になりました。
演奏こそされていますが、作曲家や先生たちには深く接する作曲家とは言えず、
ジョリヴェの音楽の作曲法については殆ど知られず一重に論文にかかっていました。
ジョリヴェに限らず現代作曲家をテーマにした論文指導は他にも多く手掛けました。

だからと言っても音楽の論文など特に気に留められていません。
しかし、いつか興味のある人に知られることを信じて残す程度のことです。
自分も集大成的な​ ジョリヴェのフルート作品についての論文 ​を書きました。
ジョリヴェは近現代で解明されていないにも関わらず人気の高い重要な作曲家なのです。

また、池内友次郎先生にも晩年に近い5年間にご自宅でレッスンを受けていました。
今になって思うことはこんなに真面目にレッスンを受けた弟子は少ないのではないかと。
年賀状の代筆もしました。年越し蕎麦をお晦日にいただきました。
今の時代だと有り得ないということをしみじみと感じます。

作曲家なんて癖が強く傲慢で碌なものではないと思います。
曲だけ聴いて好きになるのがよく、人は知らないほうがいいです。
それに反して、こうして回想できる師匠たちに師事できたことは恵まれています。
良くも悪くも人生は環境と人との出会いが左右し抗えない運命だと思います。





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最終更新日  2022.06.26 10:21:54
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