型をこよなく重んじるも、嵌ることをめっぽう嫌がる作曲家の日記

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2022.10.24
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カテゴリ: 評論について思う
第9回〈柴田南雄音楽評論賞〉奨励賞を受賞した、
ー「新しさ」の分析論:現代の音楽における差異、価値付け、そして魅力ー
を音楽雑誌「音楽現代」11月号に掲載されたので読みました。
「新しさ」の概念や意味付けについて切り込む評論はたいへん興味深く、
このことの捉え方次第で音楽史自体に大きな影響を与えると考えたからです。

前世紀までは新しい音楽として意味付けされてきたことが音楽の価値に関わり、
その音楽の質が担保された時に比較される対象となってきたと感じます。
しかしそれが現代では『聴き手は新旧とは異なる価値基準において、
ある作品が既存の作品に勝ると判断した時だけ、


『本来ならば差異は比較行為によって浮き彫りにされるべきだが、
実際には、連想と価値判断の循環によって支配されている』

『歴史的「新しさ」を際立たせる物語(それは作曲家自身による解説や、
後の音楽史記述によって伝えられる)を知らずに、単に演奏のみを聴いた場合、
なんら「新しさ」が感じ取られないことがあるのだ』

過去の作曲家の所業は、『歴史的「新しさ」を得るためには、
絶え間ない音楽史の吟味と自己批判が求められる。
それを通して作曲家は、作品の音響、構造、内容、語法、書法を陶治する。』
でした。

『作曲家の個性は自ずと歴史性を帯びるが、あらゆる作品に認めれば、
歴史性の意義が絶えてしまうことは想像に難くない』

ポピュラー音楽の論理に飲み込まれてしまうだろう』

『現代の音楽が規模の縮小と衰退を経験しているのはなぜだろうか』
『現代の音楽の魅力が不可視になっているのだ。
「新しさ」概念は現代の音楽の魅力に適した形に鋳直されなくてはならない。』
ここで本稿は音楽そのものよりも、評論に対する評論だとも認識できます。


あらゆる方法を通して作品の魅力に迫る必要があるのだ。』
歴史的「新しさ」を持つ音楽ですら、まさしく音よりも言葉として残っていて、
音楽的な魅力を感じなくとも言葉によって「新しさ」が語られています。

また、これまでレクチャーコンサートなどさまざまなアプローチを見て、
音以外のことを識るほどにその価値判断や「新しさ」に疑問を持つこともあり、
『音楽批評は、音楽的魅力をズバリ見極めるという設定をするべきではなく、
架空の音楽的魅力を設定すればよいのだ。』となるのでしょう。

音楽批判に関して今更そのソリューションを出されてもなぁと感じます。
しかし、これまでの音楽批判に対して言いたいことはたくさんあるので、
1993年生まれというまだまだ若い著者の音楽芸術に対する気概や、
その若さでこのテーマを取り上げたことに驚き興味をもった次第です。






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最終更新日  2022.10.24 14:58:37
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