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2024.03.30
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櫻井康人『十字軍国家』
~筑摩選書、 2023 年~


 著者の櫻井康人先生は東北学院大学歴史学科教授。十字軍や十字軍国家の研究を多く発表されていて、単著としては本ブログでも次の2冊を紹介したことがあります。
・櫻井康人『図説 十字軍』河出書房新社、 2019
・櫻井康人『十字軍国家の研究―エルサレム王国の構造―』名古屋大学出版会、 2020

 さて本書は、重厚な『十字軍国家の研究』が、その副題のとおり、十字軍国家の都市社会や農村社会にも着目し、社会構造を分析するのに対して、様々な十字軍国家がたどった歴史を通史的に叙述しています。いわゆる、何年に誰が、どこで、誰と、何をした、という、事件史・政治史・外交史的な叙述が中心で、社会に関する叙述はほぼありません。それは、あとがきにもあるように、本書で目指されたことが「まずは基本的であると考えられる情報を、努めて簡略に提供すること」であることによります。
 本書の構成は次のとおりです。

―――
序 十字軍国家とは何か

I ラテン・シリア
 第1章 ラテン・シリアの誕生( 1097-1099 年)
 第2章 ラテン・シリアの形成( 1098-1118 年)
 第3章 ラテン・シリアの成長( 1118-1146 年)
 第4章 ラテン・シリアの発展と分断( 1146-1192 年)
 第5章 ラテン・シリアの回復と再分断( 1192-1243 年)
 第6章 ラテン・シリアの混乱と滅亡( 1243-1291 年)
II
 キプロス王国
 第7章 キプロス王国の形成と発展( 1191-1369 年)
 第8章 キプロス王国の混乱と消滅( 1369-1489 年)
 補章1 ヴェネツィア領キプロス( 1489-1573 年)
 補章2 キリキアのアルメニア王国( 1198-1375 年)
III
 ラテン・ギリシア
 第9章 ラテン帝国( 1204-1261 年)
 第 10 章 フランク人支配下のモレア(1)( 1204-1311 年)
 第 11 章 フランク人支配下のモレア(2)( 1311-1460 年)
 補章3 カタルーニャ傭兵団とアッチャイオーリ家( 1311-1462 年)
IV
 騎士修道会国家
 第 12 章 ドイツ騎士修道会国家( 1225-1561 年)
 第 13 章 ロドス期の聖ヨハネ修道会国家( 1310-1523 年)
 第 14 章 マルタ期の聖ヨハネ修道会国家( 1523-1798 年)

あとがき
主要参考文献
十字軍国家支配者一覧
―――

 多少予備知識がないとややとっつきにくいかもしれませんが(今の私には正直とっつきにくく、今回はほぼ流し読みとなってしまいました)、記事の冒頭にも書いたように、通史的に基本的事項が整理されているので、必要に応じて手引き的に参照すると便利だと思います。

(2023.12.17)

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Last updated  2024.03.30 10:06:10
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のぽねこ @ シモンさんへ コメントありがとうございます。 久々の再…
シモン@ Re:石田かおり『化粧せずには生きられない人間の歴史』(12/23) 年の瀬に、興味深い新書のご紹介有難うご…
のぽねこ @ corpusさんへ ご丁寧にコメントありがとうございました…

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