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January 21, 2006
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カテゴリ: 心に残った短歌
夜になってTV JAPAN をつけたら、「さわやか自然百系」で鹿児島県甑(こしき)島の話をしていた。

この島には、淡水、海水、汽水などの池があり、そのように種類の違う水の池が同じ地域にあるのは世界でもめずらしいと言っている。
そして、それぞれの池に、その水やその温度にふさわしい魚や貝が住んでいて、池の周りにもその水にふさわしい植物が生育しているそうだ。

そこで思い出したのが、前回のバンクーバー短歌勉強会に出された以下の一首


潮来れば浮かびて遊ぶ日本鯉真水と潮に分け住むといふ ーステイヴストンの用水路にてー (S.K.)

スティヴストン(Steveston)というのは、フレーザー河というかなり大きな河が海にそそぐところにある町で、漁港がある。


それだけの予備知識はある私だったが、一読しただけでは、この作品の言いたいところがわからなかった。
鯉は淡水魚であり、少なくとも、自然に海に住んでいる魚ではない。それが「真水と潮を分け住む」という。
「分け住む」というと、海水に住むようになった鯉がいるということか?・・・などと、イメージが混乱してしまって。

たまたま指名されたので、「汽水域に住む魚」というあたりからとりあえず話し始めたが、「この人は、わかっていないな」と察した作者が、ひきとって説明をしてくださった。


いわく:
・ スティヴストンは河口にあるので、満ち潮になれば、用水路にも海水が上がってくる。

・ 川に海水が上がってくるときには、比重の関係で、海水は下に入り、上の部分が真水になる。

・ したがって、淡水魚である鯉は、満ち潮になると、海面近くに浮かび上がってきて真水の中を泳ぎ、引き潮になると自由に底の方にももぐっていく。

・ 誰かが放した鯉だろうが、そのように適応していることに対する感動を詠みたかった。


なるほど、汽水域に放たれた日本鯉(錦鯉?)は、こうやって生き延びてきたのかと感心した。長いこと漁業に携わってきた作者ならではの観察である。

とはいえ、これだけのことが読者にわかるように、一首をまとめるのは容易なことではない。
歌会では、あまり時間をとることが出来ないこともあって、どこをどうしたらよいものかについては、うやむやのうちに終わってしまった。

「歌枕が通じにくいのが海外詠」と言われるとおりに、スティヴストンというローカルな地名から河口の汽水域に近い漁村のイメージが浮かぶ人の絶対数も少ない。となると、そのあたりも含めた説明も、詞書なり連作仕立てなりで、必要になるのかもしれない。

それとも、「浮かびて遊ぶ」の「遊ぶ」イメージが邪魔をしているのか・・・?「潮」と「海水」を使い分けてみたらよいのか・・・?

「発見のある」ユニークな歌であるだけに、このままではもったいないと思う。

もっとも、「さわやか自然百系」の番組の方も、「甑島の自然には、今もなお謎が残されています」と、未解決の言葉で結ばれていたが。


dim steveston
(STEVESTON 埠頭)





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最終更新日  February 17, 2006 06:17:17 PM
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