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August 21, 2006
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カテゴリ: 心に残った短歌
コスモス8月号の月集(同人)作品から、印象に残るものを抽出する。

居眠り少女隣りに居れば恋人をこひびとご書くほどのときめき(高野公彦)

作者が、乗り物の中で居眠りする少女と隣り合わせている状況を想像した。ちょっとした、暖かいときめきの形容として、下の句の比喩がとても楽しい。

桐の花をあふぎて撮ればむらさきはみな逆光となりて黒ずむ(木畑紀子)

たしかにその通りで、自分の目より上にある桐の花のむらさきを、そのままに撮るのは難しい。
それと同じで、目上の人を仰ぎ見ると、皆同じく「逆光となりて黒ずむ」という、判断の難しさも考えさせられる。仰いでしまうと、個性が見えてこないのだ。





私も昨年の春、足利学校に行ったが、昔、教室があったところに、机がおいてあり、そこに、誰でもが楽しめる漢字テストが何段階かにわけておいてあった。
そういえば、井口さんも、支部の吟行で行くことになっていると言っていらしたのを思いだした。

その試験問題、わら半紙大の紙に大きくかかれていて、なんだかやさしくて、簡単に出来そうだと思ってとりかかってみると、意外なところに落とし穴があったりして、まるで「有名中学入学試験」に出ていそうな感じであった。

私も、すぐにやってみたのだけれども、どうやら、この分では井口さんもやってごらんになったとみえる。
開け放したお座敷のような教室で、座卓に座って座布団を敷いて・・・という舞台装置の中で鉛筆を持つと、なんだか歴史上の人物になったようで、私は楽しかった。

あとで、バンクーバーの短歌仲間にも、解いて遊んでいただこうと、1枚余分にいただいてきたのだが、なんとなくそんなチャンスがなくて、1年半がたってしまった。


はつなつの干されちまつたかなしみは小さくなつたホタルイカなり(大松達知)

「よごれちまつたかなしみは・・・」を下敷きにして、下の句が思わぬ展開を遂げる。
中原中也もびっくりな一首。




「車輪の下」など、若々しい青春のストーリーを書いたヘルマン・ヘッセだが、思えば、たしかにその通り。老年になっていらっしゃる読者が多いのだろう。
私は、中学生のときに、友人に薦められて「車輪の下」を読んだが、その友人にはよくわかったらしいこの本も、私にはどうもピンとこなくてよくわからなかった記憶がある。

それにしても、東京というところは、さすがに人口が多いだけのことはある。
いろいろな展覧会が催され、そのどれも適当(以上)のい人が入り、採算があうらしく、また次なる展覧会がある。

バンクーバーもよいところだが、よい展覧会が見られることはめったになく、そういうところは、全面的に東京がうらやましい。


「ばんがれ(がんばれ)!」と子らに応援されながらボールを投げるうーんと遠く(大橋恵美)

そう、そう。「ばんがれ」って言いましたよ、うちの子供たちも。
「がんばれ」がどうして「ばんがれ」になりやすいのか、三人とも、そんな言い方をしました。もっとも、その三人とも、大橋恵美さんよりも、年上ですけれども。

その言葉のかわいさと、その応援に答えて「ばんがって」しまう先生。最後の「うーんと遠く」で、生き生きと楽しさが伝わってきました。


たがやせば空気を吸ひて再生をくりかへす土、地球の保護膜(米田靖子)

第五句「地球の保護膜」に感心した。
土のことを、こういう風に表現できる人が、他にいるだろうか!
愛情を持って、農業にいそしんでいる人だからこそ、こういう言葉が浮かぶのだと思う。







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最終更新日  August 23, 2006 11:44:11 AM
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