「ALL YOU NEED IS LOVE」という歌を私は好まない。それはあまりに「大声」で唄われすぎていると感じられるからだ。愛もまた大きな声で語るべきものではない。ビートルズの音楽は、絢爛豪華に織りあげられたほとんど完璧なまでの完成度を誇る、しかし壮大なゴミ箱ではないかというように私には思われる。そして、そのことに痛切に気づいたのは、そのグループを主導したジョン・レノンというひとりの男だった。
彼はそのグループとその音楽を否定し、自らの愛の歌を作りはじめる。「OH MY LOVE」「LOVE」などなど。それらの歌の中で「LOVE」ということばが、まるでこわれものをそっと手で包みこむように、小さな声でささやくように、いつくしむように唄われていることに、わたしたちは深く心をいたすべきではないだろうか。