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ところが先輩は、酒臭い口を横になっている俺の耳元に寄せ、背筋の寒くなるような口調で、「昨日の猫が何か見たか?」 覗いてたんじゃないかと思うくらい、痛いところを突いてくる。思わず「何でわかるんですか!?」と起き上がってしまい、俺は墓穴を掘った。 先輩は、やっぱりなと言って、当然のように何があったか訊いてきた。「ま、だいたい見当はつくけどな」 訳知り顔で、ニヤリとする。 だったら聞く必要もないだろうに。 しかし、こうなったら言っても言わなくても結果は同じだ。言わなければ、憶測でこんなとこかなと不気味な話を聞かされ、ビビッているところを笑われるのがオチ。それくらいならブチまけて楽になろうと、俺は全部話すことにした。 「それでうちに逃げ込んできたわけか」 先輩はニヤニヤしながら聞いていたが、俺が話し終えると煙草に火をつけて、馬鹿だねぇと呟いた。「この寒いのに蚊なんて飛んでるわけないし、朝になって押入れの中見てみても、ネズミ一匹いた形跡すらなかったんですよ!? 幽霊じゃなくても気味悪いじゃないですか!」 不気味なことに遭遇すると怖がるよりも喜びそうな先輩に、こんなことを言ったところで理解してもらえるなんて馬鹿なことは思ってはいなかったが、笑うならまだしも、バカにするとは何事か。俺は憤慨して訴えた。 すると先輩は、口から煙を吐きながら、別に信じてないわけではないと言う。「誰も、枯れ尾花だと言ってるわけじゃないさ。猫はよく視るって言うからな」「じゃあ、なんで……」「バカにするのかって?」 先輩はビールの空き缶に煙草の灰を落とすと、俺に視線を合わせてニヤリとした。右に比べ、左の口角を異様に吊り上げた嫌な笑みだ。何を言われるかと身構える俺に、先輩は思わせぶりな溜めを作ってから、口を開いた。「おまえの部屋の押入れの向こうって、何がある?」「押入れの向こう?」 俺の部屋はこのアパートの東端で、押入れは部屋の西側についているから……。「……この部屋、ですか」「そういうこと」 蒼白になった俺を見て、先輩は満足そうに紫煙を吹き上げた。9.5.猫 終'08.4.3(?)
2010.06.11
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その夜、俺は晩飯を終えると、さっさとこたつのスイッチを切って布団に入った。こたつが冷えると、わらわらと猫が布団に移動してくる。上に乗られるのには重くてまいったが、二匹布団に入ってきたのは嬉しかった。 ゴロゴロと喉で四重奏をやられるのはうるさいけれど、かわいいし暖かい。俺はホクホクしながら目を瞑った。 しかし、重いせいか、はたまた興奮しているせいか、なかなか寝付けない。しかも、両脇を猫が固めているので、寝返りも打てない。そんな、ある意味拷問のような状態で、やっとうつらうつらし始めた頃、身体がふっと軽くなった。猫が上から下りたのだ。それに感応するように、俺の脇に顔を埋めていた奴らもピクリとして、ゴソゴソ出て行く。 やがて四匹は、申し合わせたように押入れの前に一列に並んだ。そしてそのまま、獲物を狙うかのように頭を低めると、一斉に、 ウゥーーーーーーー 押入れに向かって唸り始めた。白など、早くも身を起こして、シャーッ! と威嚇している。 俺は、ネズミでもいるのだろうかと起き上がり、電気を点けてみた。猫たちの所へ行き、視線の先を追う。 そしてゾッとした。 猫たちは押入れの隙間ではなく、何故か中空を睨んでいた。黄ばんだ襖の真ん中辺りだ。もちろん、そんなところにネズミが浮いているわけもなく……。「な、何にそんな怒ってるんだよ? 何かの冗談だよな? な?」 俺は一匹一匹の背中を撫で、さすり、宥めて回った。けれど猫たちは俺を完全無視。変わらず中空を睨んでうなりを上げている。そこに敵がいるのだといわんばかりの形相で。みんな目が据わっていて怖い。そして、全員同じとこを見ているのが、そこに何かがいることを証明しているようで、もっと怖い。 俺はソローッと猫たちから離れると、頭から布団を被り、震えながら朝が来るのを待った。猫たちは十分くらいで諦めたように布団に戻ってきたが、連中に暖められても、もう俺の背筋は凍ったままだった。 翌晩、友人が猫を連れて帰ると、俺は礼に貰った六缶パックのビールを持って、隣の部屋の戸を叩いた。猫を食ってみたいと言った隣人の部屋だ。この隣人、俺は先輩と呼んでいるが、別に学校やバイトが同じわけではなく、このアパートの先輩というだけの人である。 その先輩と酒盛りをし、そのままそこで眠ろうとした深夜二時。先輩が突然言った。「帰んないわけ?」「帰るの寒いし面倒。も、このまま寝かせてくださいよ」 帰るなんて冗談じゃない。何もない空間を猫が威嚇するような、あんな怖い所に一人でいられるか。 しかし、正直にそんなことを言えば、バカにされる上、よけい怖いことを吹き込まれるに違いない。俺は酔い潰れた振りをして、目を瞑った。つづく
2010.06.10
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友人の猫を預かることになった。昔飼っていたことがあるので、気軽に引き受けたのだが。「四匹もかよ」「言ってなかったっけ?」「聞いてねーよ」「ま、ひと晩だけだから、頼むわ」「頼むわってなぁ……」 俺に向かって手を合わせるこの友人、なんと今晩、彼女を部屋に呼ぶために、猫をみてくれというのである。ヒトデナシと言ってやりたいところだが、彼女が猫アレルギーで、猫を飼い始めたのは付き合い始めるよりも前だったというのだから仕方がない。 それに、いざ猫を前にすると、俺の気持ちもあっさり動いた。自分で考えていたよりも、俺は猫好きだったらしい。飼うのはとても無理だが、ひと晩愛でていられると思うと胸が躍った。猫アレルギーの彼女に感謝したいくらいだ。「萌えって、こいつらのためにあるような言葉だな」 四匹を抱えてそう言うと、友人にはとても嫌な顔をされたが。 猫の毛色はそれぞれ、白、黒、トラ、三毛だった。ついでに名前もそのまんま。いずれも野良出身ということだが、人懐こくて可愛らしい。猫同士ケンカもしないし、トイレの躾もばっちりで、困るようなことはなかった。 部屋を一通り点検し、こたつの中で仲良く身を寄せ合う猫たちを見て、俺はあることを思いついた。せっかくこんなに猫がいるのだから、今話題のネコ鍋をしてみたい。四匹いれば、特盛ができる。 しかし、この案には問題があった。ネコ鍋は、箱などに入りたがる猫の習性を利用して土鍋を置き、猫がそれに入り込んで眠るのを見て楽しむというものだが、うちには土鍋なんて高価な代物はない。ダメ元で隣人に尋ねてみたが、やはり持っていないとのことだった。それどころか、こんなことを言う。「どっかで鍋借りれたら呼んで。俺も猫食ってみたい」 絶対呼ぶか。 他の友人にもあたってみたが、ほとんど持っている者はなく、持っていたとしても、用途を話すと断られた。食べ物を入れる中に、猫なんか入れるなというのだ。みんなロマンがなさすぎる。 まぁ、今夜は猫にまみれて眠れるのだから、それで我慢するか。 そう自分を宥めて、ガッカリしつつもワクワクしながら夜を待った。今日は暖かく眠れそうだ。つづくぼっつぇさんのリク用に書いてたやつのお蔵出し。どうやら二年以上も前に書いていたもののようです。やっぱり前回のやつって、文体が変わってるような気がします……。
2010.06.09
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俺は助手席に乗り込むなり溜息を吐いた。「あーあ、向こうは美人と帰宅するのに、俺は先輩とかぁ」 「先輩」の前に「胡散臭い」と付けたかったが、そこはぐっと我慢した。 まぶたの裏にはまだ、男が歩くのにあわせて揺れる女性の遅れ毛が焼き付いている。耳には涼しげな鈴の音が。そして鼻先には、彼女のつけていたらしい、すっきりとしたフレグランスの仄かな香が。香水なんて好きじゃないのに、不思議と嫌な感じはしなかった。「いいなぁ。あんな綺麗な人と暮らせるなんて」「ああいうのが好みか」「好みっていうか、一般的に見て綺麗じゃないですか」 黒目勝ちな瞳に桜色の頬、男の後ろに隠れるような仕草も好もしい。そして何より、あの愛らしい笑顔。大人っぽい雰囲気だったのに、笑うとふにゃっと可愛らしく変わるのだ。思い出すだけで、こっちまでふにゃっとなる。 男が犯罪者かもしれないという疑念は、あの笑顔ですっかり払拭されていた。少なくとも、襲われそうになった男の背で、あんな穏やかな笑みは浮かべられないだろう。 やっぱり男の怒鳴り声は幻聴、バックミラーで見た彼らの表情は目の錯覚だったのだ。「ただの同居人って言ってたけど、やっぱ付き合ってんでしょうね」 なんで同居人だと嘘をついたのかは知らないが、あんな美人の恋人がいるなんて羨ましすぎる。いいよなぁと呟いた俺に、先輩はせせら笑いながら冷や水を浴びせかけてきた。「ばーか、ありゃ男だ」「はぁ!? 誰が」「だから、あの浴衣の奴」「何言ってんですか。あれのどこが!? 何を根拠に!?」「ここ」 先輩が指したのは自分の喉のでっぱりだった。つまり、喉仏である。「女にしてはこいつが大きかった。声は聞いたか?」 まさかと思いつつも首を横に振る。「声、出ないみたいで……」「でも、乗る前に連れに何か耳打ちしてただろう。バックミラーで見てたけど」 言われてみればそうだった。俺とのやりとりは口パクや身振りだけだったが、男には直接耳に向かって囁いていた。俺は大きな声が出せないだけかと思っていたのだが。「だからって、まさか……」 だから『ただの同居人』で『この先も』だったのか。強く否定していた男の様子を思い出しながらも、俺は信じられない思いで呟いた。 そりゃ、メイクやかつらで絶世の美女に化けちゃう素人男子とかたまにテレビで見るけど、あれはテレビ画面を通してるから男だって分からないだけで、彼女のことは間近で見たのだから、間違えるはずないだろう。一瞬だが触れさえしたのだ。いくら俺が妙齢の女性に触れたことが皆無に等しいといっても、気が付かないものだろうか。まぁ、たしかに女性にしては大きな手をしていたし、背も高かった気がするし、足の感じも……あれ? いやいやでも、仮にあの人が男だとして、女装していた意味が分からない。趣味? それともあの、ナントカ同一性障害とかってやつとか? いや、やっぱりそこは、先輩の思い違いだろう。「ま、男だろうが女だろうが、あんな化け物、俺はごめんだね」 俺の混乱を知ってか知らずか、バイパスの出口に向かって軽トラを減速させながら、先輩が言った。「化け物?」 俺は眉をひそめた。 下道と交わっている信号が赤に変わり、先輩がブレーキをかける。「きみも見たろう。何人もの男や女があいつを引っ張ろうとしてたの」「え、あれは印象が違って見えただけで、あの男じゃあ……って、先輩、見てたんですか!?」 すっかり運転に集中しているものと思っていた。 先輩はニヤリとした。「何のためにあいつらを乗せたと思ってる?」「親切心……じゃなかったんですか」 この人が、そういうものを持ち合わせていると思った俺が浅はかだった。先輩は楽しげに続ける。「あのトンネルはな、通った人間や物に憑いているモノが視えるんだよ。そこに居る霊が出てくるんじゃない。普段から付きまとってる霊が目視できるんだ。ま、あそこまで大量に憑けてる奴に遭遇できるとは思ってなかったがな」「それじゃあ……」「きみがミラー越しに見た顔はさっきの奴らじゃない。いくらなんでも、二十歳そこそこの浴衣とTシャツの人間が、セーラー服の女子高生や胡麻塩頭のジジイに見えるわきゃないだろ」「あ、」 言われて初めて気が付いた。そう言えば、あの浴衣姿の人は荷台から降りる時も髪を結い上げたままだったのに、俺がミラー越しに見た彼女は長い髪を風に流していたのだ。思い起こしてみれば、男が幼く見えた時には、高校の制服のようなブレザーを着ていたような気がする。 先輩の話では、女の顔も俺が見た一人きりではなかったようだ。ショートカットの娘や、セミロングでワンピース姿のもいたらしい。「ありゃみんな、あの浴衣の奴に憑いてる霊だ。どいつもこいつもあいつだけを狙ってた。死霊だけじゃない。ほとんどが生霊だ。あんなの山ほどくっつけて平然としてるなんて、まともな人間じゃねえ」 そんなことが分かるあんたはどうなんだ。 先輩の話を全面的に信じるわけではないが、信じれば納得できることもあった。男の悲鳴と奇妙な行動だ。 彼もあの霊が視えていたとするならば、悲鳴を上げたことや同居人を抱きすくめていたこと、俺の声に怯えたこともうなずける。あの男は、次々に襲ってくる霊たちから同居人を守ろうとしていていたのかもしれない。いや、降りるときに謝っていたから、怖くてしがみついていたというのが正解か。どちらにしろ、俺のことも幽霊だと思ったのだろう。 彼女の方は平気な顔をしていたから、怖くなかったのか視えていなかったのか。まさか慣れてたから……なんてことはないよな。 俺は、犯罪者だと思ったことを心の中で男に詫びながら、気になったことを訊いてみた。「だから、あの男に離れた方がいいって言ったんですか」「あいつはまだ大丈夫みたいだったからな」「まだ大丈夫って、離れなかったらどうなるっていうんですか」「あの浴衣のは別に霊媒体質ってわけでもなさそうだった。なのにあれだけの霊に狙われてるってことは、それだけの人間の人生を狂わせてきたってことだ。そんなのとずっと一緒にいたらどうなるか」 先輩はそこで言葉を切り、俺の方を向いてニタァと笑った。信号が青に変わる。左の口角だけを上げた笑みが、薄緑に浮かび上がる。 突如、あの可憐な笑みが別の意味を持ったそれに思えて、俺は怖気だった。「言ったろう。いつか喰われるって」 先輩はそう言って、アクセルを踏み込んだ。6.5.トンネル 終’10.5.8久々すぎて、ちょっと文体が変わってるような気が……。この主人公の一人称ってこんな感じで良かったっけ??(おい)なにはともあれ、読んでくださってありがとうございました!
2010.05.09
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「ここでいいだろう。後ろ、降ろしてこい」 バックミラーを見ないように頭を抱えていると、先輩がトンネルの右端に車を停めた。追い越し車線ではあるが、そちら側に歩道があるのだから仕方がない。ちょうどトンネルが途切れる辺りなのだろう。フロントガラスの向こうには、防音壁と夜空が延びている。 俺は後続車がないことを確認してアイドリング状態の軽トラから降りると、おそるおそる荷台へ向かった。どちらかが死体にでもなっていたらどうしようかと思ったのだ。 一応、嫌だと言ってはみたけれど、免許も持っていないのに、もし何かあった時に車を動かせるのかと詰め寄られると、俺が行かざるを得なかった。 果たしてそこには、折り重なった二体の屍――ではなく、団子のように固まった二人が荷台の背にへばりついていた。 左手で鳥居と巾着袋の紐を持って座りこんでいる女性を荷台の背に押し付けるようにして、男が彼女の頭を抱いている。彼もしっかりと左手で鳥居を掴んでいた。俺の頭の真後ろだったから椅子の背で見えなかったのだ。「あ、あの、すいませんけど、ここまでで……」 二人の脚が絡まっていないことに胸をなでおろしながらも、どぎまぎしながら掠れた声で呼び掛けると、男の肩がびくっと揺れた。気のせいか、怯えているみたいに見える。彼は右腕で、女性の頭を抱え直した。すると女性の方が、鳥居を持っていた左手で男の腕を引き下げて顔をのぞかせた。 女性は、男に潰されそうな体勢のまま男の背を指差し、「酔ったみたいなんです」と口パクで伝えてきた。何が起きていたのかは分からないが、彼女は至って平然とした様子だ。犯罪が行われていたわけではないらしい。 女性が男に耳元に何か囁くようにすると、男ががばりと跳ね起きた。「す、す、すすすいません!」 どたどたと後ずさって彼女と距離を取り、頭を下げる。とても車酔いしてるようには見えない素早さだ。バックミラーで見た女性に対する威圧感も微塵もない。 総毛立つような鏡の中の様子とは一変、コントのような男の言動に、狐にでもつままれたような気分で後あおりを下ろす。こっちに謝罪はないのかと思ったら、男は謝罪ではなく礼を言いながら降りてきた。 女性も右手で抱えていた下駄を両手にぶら下げ直して、ペタペタと裸足でやって来る。彼女が歩くたびに鈴の音がした。どうやら簪に鈴が付いているようだ。 荷台の上にいるせいか、すらりとした彼女は、とても背が高く見えた。 男は荷台の下で女性に背を向けると、負ぶると言うように手を後ろに出した。遠慮しているのか、彼女はなかなか乗って来ない。すると、さっきまで彼女にペコペコしていた男が豹変した。「さっさとしてください!」 振り向いてそう一喝すると、もう一度背中を向ける。「裸足で歩いて怪我でもされたら、俺が後味悪いんです」 今度は、女性もすんなり彼の背に収まった。 なんなんだ、こいつら。「あの、助かりました。ありがとうございました」 後あおりを上げていると、男がもう一度礼を言ってきた。 灯りに顔を晒した彼は、車酔いしたというのもあながち嘘ではないかもしれないと思えるほど、憔悴し切っているようだった。それでも、やはり声の印象どおり、大学生かそれより少し上くらいに見える。どう見ても中高生や親父には見えない。ただ、顔はやっぱりちょっと怖かった。彼女を睨んでいたように見えたのは、男の目つきの悪さのせいもあるかもしれない。 女性の方は、ハッとするほど綺麗な顔立ちをしていた。十人人がいたら、男女問わず七、八人、いや、八人か九人は振り向きそうな美人だ。 やっぱり犯罪に巻き込まれていたのではないかという疑念が過る。さっきの彼女の口パクを読み違えたんじゃないかという不安も湧いてきた。「助けてください」だったりしたらどうしよう。「いや、俺は別に何も。運転手が乗せてやれって言ったから」 俺は顔が引きつりそうになるのをこらえながら、二人を先輩のいる運転席の方へ促した。どのみち運転席は、彼らの進行方向にあるのだ。 俺が運転席の窓を叩くと、先輩は面倒くさそうにウィンドウを下ろした。「別に礼なんて良かったのに」「でもその、とても助かったんで」 男が鋭い眼をきょどきょどと泳がせる。見た目の割に小心者なのかもしれない。まぁ、言葉の内容はともかく、先輩の物言いはとても横柄だったから、たいていの人がそうなるかもしれないけど。しかも先輩、不躾にジロジロ二人を眺めまわしている。 俺は冷や冷やしながら、成り行きを見守った。先輩に二人を見定めてもらおうと思ったのが間違いだったかもしれない。この人の場合、犯罪者を諌めるどころか煽ってしまいそうだ。「面白そうだから」とか言って。 俺の心配をよそに、先輩はさして興味もなさそうに尋ねた。「ふーん、で、あんたら付き合ってんの?」「えっ、や、違います!!」 男がぶんぶん首を振って否定した。背中で彼女もかぶりを振っている。「この人はただの同居人で、」「ふーん、まだ付き合ってはいないのか」「まだって別にこの先も……」 焦った様子で否定する男を、先輩は「ま、いいや」と制した。先に訊いたのは自分のくせに。 先輩は運転席から身を乗り出し、男に顔を近づけた。「だったらきみ、深入りしないうちに離れた方がいいよ」「え、」「引き返せるうちに引き返した方がいい」 初対面の人間相手に何を言い出すんだこの人は。いや、こういう人だというのは、薄々解っていたんだけれども。 でも、少しは慣れてきた俺でも驚くのだ。彼らはもっと混乱しているようだった。男は完全に面食らって、固まってしまっている。 それに追い打ちをかけるように、先輩はさらに男に顔を近づけた。その左口角だけが、きゅうっと不気味に持ち上がる。「でないときみ、いつか喰われるよ」 薄ら笑いを浮かべたまま、先輩は言った。「先輩! なんてこと言うんですか!」 俺は男の横から先輩の頭を叩いた。「だっ! おま、目上の者に向かってなんつーことをっ、」「も、すいません。この人、人をからかうのが趣味なんです。真に受けなくていいですから。じゃ、気を付けて。お幸せに」 軽トラから身を乗り出したまま抗議してくる先輩を無視して、二人をトンネルの外に押し出す。図らずも女性の腰を押す格好になってしまい、慌てて謝ると、彼女は振り向いてにっこりと微笑んだ。身に纏っていた浴衣の紫陽花よりも、可憐で鮮やかな笑顔だった。つづく
2010.05.08
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俺が助手席に戻ると、先輩はゆっくりと軽トラを発進させた。荷台の二人を気遣ってのことだろう。さっきまでとは違い、あまりスピードは上げずにトロトロと進んでいく。それでも、追い越していく車は一台たりともいなかった。「どんな奴らだった?」 トンネル内の仄暗いオレンジの光に照らされながら、先輩が訊いてきた。光と言っても、本当に申し訳程度なので表情までは分からない。「若い男女でしたよ。俺らとそう変わらないんじゃないかな」 言いながら、本当にそうだっただろうかと不安になって、バックミラーに目を遣った。女性を荷台に乗せるのを手伝おうと傍には行ったが、彼女は男の背からそのまま荷台に降りたので、俺は下駄を預かっただけだった。その間ずっと、女性は顔を隠すようにうつむいていたし、男の顔も暗くてよく見えなかったのだ。だから、男の声の感じから、同年代だと判断したのだが。 下駄は鼻緒が切れていた。 ミラーに顔を向けた俺はぎょっとした。手前にある鳥居の間からのぞいていた男の顔は、かなり年配のそれに見えたのだ。しかも、口ではうまく言い表せないような、おどろおどろしい表情で斜め下を睨みつけている。痴話喧嘩でもしているのだろうか。男の視線の方向には、あの彼女がいるらしい。女性の頭頂部あたりが窓の下方に見えている。 何があったんだろうとミラーに身を乗り出した時、男の眼玉がぎろりと動いて、こっちを見た。皺の寄った顔の眉間に、更に深い皺が刻まれる。薄暗い照明に照らされて、彼の白眼が不気味に光った。「どうした?」 慌てて頭を下げた俺に、先輩が不審そうに訊いてくる。「い……いや、何でも」 俺は応えを濁した。声は同年代に思えたけど、顔は壮年どころか中年でしたなんて言ったら、笑われるに決まっている。いや、笑われるならまだいいけれど、「このトンネルを通ると中年の男の霊にとり憑かれる可能性が……」なんて話でも始まったら、この前の肝試しの二の舞だ。 何も見なかったことにしよう。そうしよう。 俺が心の中でそう結論を出した時、無情な事態が起こった。背後でカチンと固い音がしたかと思うと、悲鳴があがったのである。女性の方は声が出せないからだろう。悲鳴は男のものだった。 俺まで悲鳴を上げそうになりながらも、条件反射のように振り向く。その途端、男が叫んだ。「来るなあああああ!!」 何事かと思ったが、百聞は一見に如かず。目にした光景で納得した。 固い音は、女性の簪が窓ガラスにぶつかった音だったようだ。窓には女性のアップにした後頭部が押し付けられていた。それに覆いかぶさるように、男が圧し掛かっている。二人はそのまま窓下に消えて行き、最後に、鳥居を掴む女性の左手だけが残った。鳥居と一緒に巾着の紐を握っている。女性にしては大きな手に見えるけれど、男の手は彼女の頭を抱きかかえるようにしていたから、彼女の手に間違いないだろう。「どうかしたか?」 先輩の問いかけで我に返った俺は、慌てて前に向き直った。「い、今悲鳴が聞こえた気が……」「どんな?」「したんですけど気のせいでした」 先輩の声が弾んだ気がして、早口で続けた。後ろで濡れ場が始まったみたいですなんて言ったら、この人の場合、停めて見に行こうなんて言いかねない。 ったく、どいつもこいつも。来るなじゃなくて見るなだろう。他人の車の荷台でいちゃつきやがって。 これじゃあ後ろが気になって仕方がない。いちゃついているはずなのに、怒鳴り声が聞こえる気がするから尚更だ。まさかあの男、他人の車で犯罪でもしてるんじゃあ……。不安を覚えて先輩を横目で見るが、彼は素知らぬ風情で運転を続けている。何も気付いていないみたいだ。 好奇心だけじゃなく、あの男の今にも掴みかかってきそうな表情も気になって、俺はまたチラチラとミラーに視線を送った。すると今度は、女性の方がこっちを向いていた。長い髪がばさばさと風になびき、顔にかかる。セーラー服のスカーフも、彼女の首に巻きつくように棚引いていた。さっきの男と同じように、斜め上から男がいると思しき窓下を見つめている。彼女は何かを求めるように白い手を伸ばし、そして――。 俺はさっと視線を逸らせた。非常灯に照らし出された女性の顔は、ゾッとするほどおぞましく見えたのだ。落ちくぼんだ眼窩に洞穴のような口。骸骨のように細い手は、相手の首を絞めようとでもしているかのようだった。 俺は、先輩に車を停めてくれるよう頼んだ。でも、何を言っても馬鹿にされそうで、説明にまごついていたら、もう少しだからと断られた。「でも後ろ、なんか大変なことになってるみたいなんですってば!」 俺はそう食い下がってみたが、先輩は涼しい顔で、「停めたらもっと大変なことになるかもよ」 逆にスピードを上げやがった。フロントガラスに映るのは、ロウソクの灯りにも劣る明るさのナトリウム灯と、ひびの入った灰色の壁ばかり。出口はまだ見えない。 まさか面白いものが見れるかもって、カップルの情事や痴話喧嘩のことか!? そんなわけはないと思いつつも、すべてはこの人のはかりごとのような気がしてくる。そうだ、後ろの二人は先輩の知り合いで、俺をビビらせるために演技をしてるんだ。きっとそうに違いない。 俺は自分にそう言い聞かせながら、早く出口に辿り着くことをひたすら祈った。それでも荷台が気になって、目は自然にバックミラーに引き寄せられた。 男の印象は、見るたびに変わった。二十代に見えることもあれば、四十代に見えることもある。一度など、中高生にすら見えた。いつも恨みがましく険しい表情で、女性に掴みかかりそうなところだけは変わらない。まるで何人もの手が、彼女に向かって伸びているような錯覚を覚えた。 女性はもうこちらを向くことはなかった。鳥居を持つ左手で、彼女がそこにいるのだと分かる程度だ。 オレンジの薄明かりに若い男の顔が浮かぶ。気弱そうな線の細い男の顔。かと思うと、筋肉質な強面。それは次第に紳士然としたサラリーマン風に見え始め、また十代か二十代のストリート系の若者に変わる。彼らは、細い腕を、太く逞しい腕を、皺の寄った手を、瑞々しい手を、何かを乞うように窓下へと伸ばしていく。 なんなんだあの二人は。いや、男だけが変なのか。見え方は俺の気のせいだとしても、なぜ何度も同じ行動を取るのか。 俺は気が変になりそうになりながら、出口を待った。先輩がスピードを上げたせいもあるかもしれないけれど、他の車が追い越していく気配はまったくなかった。つづく
2010.05.07
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バイトが終わって冷房の効きすぎたコンビニを出ると、先輩がいた。先輩といっても学校やバイトのではない。アパートの、である。 ムッとするような空気の中、彼の周りだけが異様に冷えて見えるのは、俺だけなのだろうか。「いつからいたんですか」「んー、きみのバイト終了予定時刻くらいから?」「ストーカーじゃないんだから」 この人の場合、ストーカーというより疫病神とか貧乏神の類に近いかもしれない。どちらにしろ、胡散臭いことこの上ない。「せっかくいいもの見に行こうって誘ってやりに来たのに」 先輩はそう言いながら、ジーンズの尻ポケットをまさぐって車のキーを取りだした。どういう趣味をしている、先輩の車のキーには、やたらとファンシーなリラックマのキーホルダーが付いている。今回は、それにコリラックマもプラスされていた。どこでどんな顔して購入しているのか、見てみたいような気もする。「いいもの? 花火大会ならもう終わってるでしょう」 今日は隣の市で花火大会があったのだ。隣の市といってもここは境目みたいなところで、このコンビニのすぐ上にあるバイパスを使えば、会場までは三十分もかからない。花火の音はこのコンビニの駐車場にも届いていたし、もうちょっと海に近い俺たちの住むアパートの方まで出れば、花火もちらっとは見えたと思う。 花火帰りらしきお客の波はすでに終わったあとだ。それでも先輩は、車のキーを投げ上げてにやりとした。「花火のどこがいいんだ。本当にいいものは祭の後の方が見え易いんだよ」「なんですかそれ」「行けば分かる」 避暑と称して肝試しに付き合わされたのはつい先週のことである。この人の言う『いいもの』にロクなものがないということには薄々気付いていたが、好奇心に負けてついていくことにした。うちのエアコンは壊れているけれど、先輩の軽トラは、ボロでも一応エアコンが付いている。それに、俺のバイト終わりに合わせて花火客が押し寄せてきたので、通常より長時間立ちっぱなしで疲れていたせいもある。要するに、車の誘惑に負けたのだ。まさかまたオバケを見ましょうなんてことはないだろう。 先輩の愛車の軽トラは、バイパスを高速並みのスピードでひた走っていた。両側に防音壁が聳え、トンネルや看板がなければ、ずっと同じ所を走っているような錯覚に陥る。 コンビニの深夜勤務をしているとトラックの運ちゃんがよく来るので、夜のバイパスは長距離トラックがたくさん走っているものと思っていたが、トラックに限らず、ほとんど車と遭遇することはなかった。花火大会が終わってかなり時間が経っているせいか、対向車線を走っている車もまばらだ。 いくつかのトンネルを抜けたところで、花火大会のあった市街地への案内図が現れた。しかし、先輩はそこでバイパスを降りることなく、真っすぐに進んでいく。「どこ行くんですか。このまま行ったら会場過ぎちゃいますよ」 というか、すでに過ぎている。俺たちの行く手には、次なるトンネルが口を開けていた。「誰が花火大会の会場に行くと言った」「でも、面白いものは祭の後にあるって……」 そう抗議の声を上げた時、視界の端に浴衣姿の女性が映ったような気がして、背筋を冷たいものが奔った。さっきまで花火大会をやっていたのだから、浴衣姿の女性なんていくらもいるだろう。でも、普通に考えて、女性が一人でこんな寂しい道を帰るだろうか。しかもここはバイパスだ。 俺は恐る恐るフロントガラスに目を凝らした。「あ、あれ、カップル?」 よく見ると、女性が一人で歩いているわけではなく、誰かに負ぶわれているのだと分かった。カップルなんて確証はどこにもないが、近づいてみると、浴衣の尻の下からジーンズの足が伸びているのが見てとれた。「あの二人、電車に乗りそびれちゃったんですかね」「かもな。トンネルの出口まで乗せてってやるか。あいつらの横に付けるから、おまえ声掛けてやれ」「え、あ、はい。てか、どうせなら家まで送り届けてあげればいいのに」「馬鹿。荷台に人載せるのは違反だぞ。警察にでも見つかったらどうすんだ。なに、あのトンネル抜けて下道に降りたら、次の駅はすぐだ」 もしかして、あの二人が見えたから先輩はそのまま直進したのだろうか。この人にも親切心ってあったんだなと思いつつ、先輩がブレーキを掛けたのにあわせて、俺は助手席のドアを開けた。 俺たちが追いついた時、二人はすでにトンネルの中に入っていた。トンネルは上りと下りで別れており、それまでは対面だった道路も、トンネル内は片側二車線のみになる。トンネルの少し手前に公衆電話があり、その横から細い道が延びているのが見えたので、彼らはそこからこの道に上がって来たのだろう。中は古く、灯りも飾り程度にしか用をなしていなかったが、ちゃんと歩道もついていた。 やはりカップルなのか、浴衣の女性を背負っていたのは男だった。俺は二人よりトンネルの奥側に降り立ったので、入り口にあった外灯が逆光になって二人の顔はよく見えないが、たぶん俺たちとそう変わらない年齢だろう。「あの、荷台で良かったらどうぞ。このトンネルの出口までなら送ってもいいって運転手が」 不審げに二、三歩後退した男に、にっこり笑って軽トラを指す。 男は顔を振り向けて、背中の女性を見た。俺の方に顔を向けていた女性も、連れの視線を感じたのか、男と顔を見合わせる。 不審者だと思われたのかもしれない。俺はちょっとムッとしたが、バイパスで車を降りてくる奴なんてそうそういない。しかもこんなに車通りが少なく薄暗いトンネルで声を掛ければ、そう思われても仕方がないと思い直した。「別に怪しい者じゃありませんから。って言うほど怪しく見えるかもしれないけど。俺は……」 そう言って俺が自己紹介をしようとしたら、男に「そういう意味じゃないんです」と遮られた。「すいません。変質者だとか思ったわけじゃなくて、その、知り合いだったかなとか……」 言いながら、また背中に顔を向ける。彼女の元彼だとか思われているのだろうか。「違うと思いますけど」 女性も俺に同意するように、ふるふるとかぶりを振っている。彼女が首を振るたびに、結い上げてある髪から垂れた遅れ毛が男の頭の上でふわふわと揺れ、鈴の音がした。手に下駄を持っているから、履き慣れないもので足を痛めたのかもしれない。 男は俺と彼女を交互に見ていたが、彼女に何か耳打ちをされて、意を決したように俺に向き直った。「じゃあ、お願いします」 彼女が頼もうとでも言ったのか、男がそう言い、二人は揃ってぺこりと頭を下げた。つづくお久しぶりすぎてどうしましょう。サイトにそのまま載せようかと思ったんですが、ちょっと不安なので一旦こっちへ。ずっと書きたいと思っていたトンネルネタ。このシリーズにしては長くなったので、4回ほど続きます。よろしければお付き合いください。<はじめましての方へ>6.5となってますが、他のを読む必要はまったくありません。シリーズものですが、一話完結型ですので。ちなみに、ちっとも怖くないオカルト(ホラー?)ものです。
2010.05.06
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今年は喪中なので、年賀状及び新年のごあいさつなどは欠礼させていただきます。久々の更新がこれってどうなんでしょう(汗)いや、ここ閉鎖しない限りは、このこと書かなきゃ書かなきゃと思ってたんですけど。とりあえず、元気にはしております。みなさんも、風邪など引かないよう、気を付けてください~。
2008.11.27
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すみません。生きてます。喜趣庵さんも復活されたことですし、ログインしてるついでにたまには更新しとこうかなぁと。えっと、横浜旅行記はまだ途中でしたが、間が空きすぎたのであそこまでにさせてください。なんもかんも中途半端ですみません。サイトも中途半端になんなきゃいいけど(汗)本日は、そのサイトをやってて、「同じネット上で書いてるなんて、私身の程知らずだよ、夜逃げしようか」と思った元凶のあこがれサイト様でも紹介しようかと。サイトのブックマークには載せてるんですが、うちはあまり集客数もないので。現在はちょっと更新休止中のようですし、勝手なことしないほうがいいかなーとも思うのですが、リンクフリーだし、ここから直リンクしなければいいかなと。何がすごいって、文章がすごいんです。文体とか表現とか、もろ私好み!月を飼うとか、自殺したい人の前で自殺をしてみせる自殺屋さんとか、発想もユニークで面白いです。文体って結構好みに左右されると思うのですが、浅田次郎さんや江國香織さんがお好きな方は、きっと肌に合うと思います。こっからは自慢なんですが、コメントせずにこそこそ覗いてたところ、ある日突然、うちのサイトがリンクされていてびっくり。まさかよもやあんなすごい文章を書かれる方が、うちを気に入ってくださるとはとても思えず、ストーカーがばれて警告されてんのかと思ったくらい狼狽しました。で、サイト畳んで夜逃げしようと思ったんですが、勿体ないので相互リンクさせていただいて今に至ります。興味のある方はぜひ、うちのサイトのブクマにある「エルティラ エルティル」さんに行ってみてください。江國香織さんのような静謐な雰囲気の恋愛小説や、中島らもさんにも通ずるようなブラックな掌編を主に掲載されているSSサイトさんです。正直、隠しときたい気もするくらいなんですが、それじゃブクマに載っけてる意味がないので。おすすめは、と言いたいところですが、好みによると思うので、自分が特に好きなのを。「七魚の日常」、SSの中の「あおい桜」「しにました」「夜子さんのこと」「胃」あたり。あと「ゆうぐれと散歩道」や「十八年目のエンドロール」のどんでん返しも好きです。(後者は私がやろうとして半分失敗したやつの完璧版だなと思う)ちなみに、もう一つのブクマサイトさん(「僕の、世界の中心は、美雨だ」さん。今は「俺の~」に変わってるみたいですが)も、同じ方が運営されてます。こちらは「エルティラ~」とは全く趣の違うラブコメ。あまりの多才さに、私はPCの前で仰け反りました。
2008.10.02
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横浜アリーナ四階。ドラムの伊地知さんプロデュースのバー、ゲストリアムへ。バーというより和風テイストの休憩所って感じで、あちこちに椅子や畳の島があり、みんな靴を脱いで寝転んだりしてました。とりあえず何か頼もうと思ってカウンターへ行くとすごい人。ここでは巨大画面でステージの様子が見れるのですが、並んでる間にトクマルシューゴさんの演奏が終わってしまいました。ジンジャエールを飲み干し、リラックスグッズを物色したあと床に横になったらそのままダウン。会場に戻って観ようと思っていたASHを、見事に見逃しました(汗)ロックを子守唄に寝るってどうなんだ。遅くなったので、コメントへのお返事は後日させていただきます。すみません。
2008.07.20
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UKのファントムプラネットを二階席で…と言いたいところですが、満席だった為、二階席の通路に腰を下ろして観る。それまで歩きまわってたから座りたかったんです。途中からの観覧だったけど、満席になるだけのことはある。フェスのコンピレーションアルバムに入ってた曲しか知らなかった(他の出演者もだいたいそう)けど、楽しいライブでした。
2008.07.20
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スペースシャワーTVコーナー。写真のぬいぐるみたちが、ナノフェスの宣伝番組をやってたらしい。ぬいぐるみたちの声はアジカンメンバー。わんこはごっち。ライオンは伊地知さん。かえるは喜多さん。クマはダー山先生。うさぎさんはマネージャーさんだったそうです。これも携帯から三つ写真を登録したら、ひとつしか反映されてなかった(汗)
2008.07.20
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二階のロビーでは、フードエリアの他に記念撮影などもできる展示もやってました。TSUTAYAが出演者のCDを売ってたので、翌日出演で観られないSPECIAL ATHERSのアルバムを購入。オマケでタオルとうちわと布袋を貰いました。写真は、アジカンのミニアルバム『まだ見ぬ明日に』の立体セット。かわいい。
2008.07.20
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そうそう、9ミリなんとかさんの前にグッズ買ったんでした。フェスのタオルと、フェス仕様の人形焼き(笑)なんで人形焼き?と思いながらも手を出してしまう妙ちきりんな商品。味はまだ分かりません。タオルは会場で買えばいいやと思って持ってってなかったら、会場到着までに汗だくになりました(汗)<追記> ↑載せたつもりが載っていなかった人形焼。携帯から二つ以上の写真を掲載するのは無理なんですね。
2008.07.20
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二組目の9ミリなんとかさんを三階席で観る。MCで、みなとみらいで花火大会をやっている、と。みなとみらいの近くに泊まる予定の私は、一瞬早めに帰ろうかと思いました(おいおい)その後、ホテルに帰ってテレビをつけたら、みなとみらいの花火大会で体調不良者が続出したと言っていてびっくり。フェスの方に行ってて良かった。9ミリのライブ終了後、席を立とうとしたら、アジカンの伊地知さん、山田さんが登場。あとから喜多さんも出てきて、「ふぉー!」ってやってました。
2008.07.20
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とりあえず腹ごしらえ。ネットで下調べした時には、宇都宮の餃子と名古屋の天むす食べるぞと思ってたのに、ナノム麺の怪しさに負けました。ナノム麺は、細いベビースターのようなかた麺にあんかけがかかっているというもの。このフェスの定番メニューみたいです。
2008.07.20
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会場の横浜アリーナに、開始から一時間ほど遅れて到着。当然のこと(?)ながら、訪れるのは初めてなので、中を探索するだけでワクワク。演奏観ろよ。
2008.07.20
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どういうわけだか、一人で横浜に来ております。目的はアジカン主催のフェス。三時間半の新幹線のお友は、『青空の卵』(坂木司著)と朝寝と若いオネイサンでした。
2008.07.20
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お、お久しぶりですー(小声)ずっとサイトの方にかまけてました。やっぱりアップするのはブログの方が楽なので更新はままなりませんが、サイトやってないと経験できなかったと思われる喜びもあり、作ってみて良かったなぁと思ってます。とはいえ、三日に一度くらいタグ打ちが面倒になって、(毎日打ってるわけじゃないんだけども)「えーい! 面倒くせえ! 閉鎖したろか!」とか、あまりに素晴らしい小説サイト様に出会って、「やっぱ身の程知らずだよ。たたんで夜逃げしようか」などと考えるのですが。(今までは、そういう作品に出会っても「私のはブログだからいっかー」なんて思ってた)さて、前置きが長くなりましたが、こっから本題。rashionさん主催のビンゴゲームで、今度はビリッケツ賞をいただいてしまいました~!今度はわちふぃーるどのダヤンの切り絵です♪もちろんrashionさん手作り!私の撮り方が悪くてフラッシュが入っちゃったんですが、フラッシュなしで撮ったらもっと写りが悪かったので、これですみません。でも、これでも可愛さは十分伝わりますよね? ね?(と言って逃げる)グッズなどは高くて手が出せませんが、わちふぃーるど大好きなのでめちゃくちゃうれしいです!で、自分の部屋に飾ろうかと思ったのですが、日当たり良好すぎてすぐに色褪せしそうなので、部屋の前の廊下に飾ってます。部屋から出たら、ちょうど目に入る~♪rashionさんのビンゴゲームでのみ発揮されているような、自分のビンゴ運の良さが怖いです(笑)
2008.06.26
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これで本当に最後です。『うたかた』とある方のリクエストで書いた、おばあさんと孫の話。このリクに応えようとして、ネットで『間引き』で検索をかけて引っかかったのがコトリバコ。それで出来たのが『函』。そして、間引きからは遠ざかって書いていたこの話に行き詰って書き始めたのが、『奇妙な隣人』シリーズでした。約一年前のことです。どうも最終話と思うと、私は躊躇してしまう傾向があるようです。現在は『奇妙な~』の最終話に引っ掛かり、別のものに手を……。鳥月さんのリクの赤松たちの話もどうにかしたいのですが、どうも頭があの年代に戻れなくて。身近に現役高校生がいることで、逆に書き辛くなっているのかもしれません。若しくは、年を取ったということでしょうか(汗)なにはともあれ、本編12話+番外編4話、個人的にとても楽しんで書けたように思います。お付き合いくださってありがとうございました。今日中にみなさんのところにもご訪問したかったのですが、ちょっと無理そうなので、また顔を出した時には相手してやってください。
2008.05.11
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読んでくださる方をどこまでだまくらかせるか企画、第?段。『月白く』G.W.中にアップしようと思っていたのですが、PC故障で今日になってしまいました。とはいえ、別に季節は合っておりません。次の話を母の日に合わせて載せたいがために、これを連休までにと考えていただけです。山もなければ意味もない。とにもかくにも、どんでん返しがやりたくて書いた話。最初に書いたとおり、自分の中のみの勝手な企画でもって書いた話ですので、騙されたか騙されなかったかだけでも教えていただけると嬉しいです。……とはいえ、「どこにどんでん返しなんてあった?」と言われる可能性も大きいのですが……。最初から分かってしまった方は、「まーた馬鹿なことやってるよ」と鼻で笑っておいてください。
2008.05.07
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うちのPCくん、たいてい一年から二年くらいで故障してるんですが、最近、また動きが怪しくなってきました。たびたびフリーズして、コメント書くのも一苦労。なので、コメント入れても、えらい短いものになってると思いますが、ご容赦ください。一文入力するのに何度も止まるもんだから、途中で嫌になってしま(以下自粛)そろそろハードディスクがやばいのかと、ヒヤヒヤしながらも騙し騙し使ってます。そんな状態なのに、サイト作ってしまいました。また容量食うようなことを・・・・・・。アホですね(汗)(HDは前に買って増やしてたんですけどね)以前から作ってみたかったけど、面倒臭くて手を出していなかった小説もどきサイト。ビルダーとか買う気はないので、メモ帳でちまちまやってます。ここのフリーページに載せていないものを中心に、ここでは発表していないものもぶち込んでいく予定ですので、よろしければ暇つぶしにでも覘いてやってください。サイトを作ったとはいえ、ブログで連載していると、コメントをいただくことによって、間違いや流れの無理に気付かされることも多く、都度修正を加えられるので、やっぱりここにも書いていくと思いますが。だから、まとめサイトって感じでしょうか。(PCがイカレた時や、フラッシュメモリ紛失に備えての倉庫的な感もある)コメントもらえなかったら意味ないんですけどねー。ここほっぽっておいて、何やってんだって感じですが、よろしくお願いしますm(_ _)mあ、でも、サイトん中、殺意が芽生えそうなほど、文字が小さいです。気に入ったテンプレの仕様が小さかったもんで、すみません。小説もどきの中はそんなことないんで。(たぶん)
2008.04.15
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長らくお休みしまして、これからもまたお休みする予定(おい)ですが、休んでいた間ハマッた猫マンガをひとつ。『クロ號』捨てられてしまったクロと妹のチン子(小さいからチン子。決してキ○タマのことではない)が、通称ヒゲさんに拾われて、近所の人間や動物たちと交流しながら成長していくお話・・・・・・かな。(あらすじとか説明するの苦手なんです。ごめんなさい)面白いんだけど結構シビア(初っ端から残酷な展開がある)で、猫の世界って本当にこうなのかもと思うようなマンガでした。中でもチン子は、外見がふーちゃんにそっくり!避妊してブクブク太ってきたところまで、もうまんまで。でも、チン子はふーちゃんと違って強いんです。もう最強。そんなチン子に時々助けてもらいながら、弱っちいけど人情家(?)のクロちゃんが活躍したりしなかったり。または、しそこなったり(笑)個人的には、猫ばかりの話になるとキツイものが多いので、飼い主のヒゲさんが出てくる話がほんわかしてて好きです。普段、クロたちに小ばかにされ、いいように振り回されてるところが自分に重なり、時々クロたちに労わってもらってる(と勘違いしている)のを見ると、ちょっと癒されます(笑)猫の仕草のひとつひとつが「ああー! うちのもよくする!」って感じでめっちゃ可愛いので、機会があれば是非。ただし、最後まで読むには、ちょっと覚悟が必要かもしれません。あー、猫村さんの3巻が出てるー。買わなきゃ。
2008.04.03
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いつぞや消えたフラッシュメモリが出てきました。あれから幾度となく掃除機かけるためにこたつを上げたり座椅子を移動したりしたのに、本日、あっさりと座椅子の横から出てきたのです。・・・・・・有り得ねー。どこをどう移動してきたのかが分からないだけに、素直に喜べない自分がいます。せめて、新しいフラッシュメモリを買う前に出てきて欲しかった・・・・・・(そこかい!)お休みばかりですみません。ふーちゃんの写真なんぞも載せたいと思いつつ、文を書く段になると、どうせ文章考えるならと、小説もどきの方に転んでしまって・・・・・・。(そのわりにここの更新がないのは、ここに載せられるようなものが書けていないからです)そんな私は、愛情が足りないのでしょうか(汗)
2008.04.03
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滑り込みセーフ!!で、例のシリーズの三月分です。『珠縁』『はないちもんめ』の『もんめ』って何じゃろ? (A. 重さの単位)という疑問から始まり、一ヶ月に一話、なるべく季節に因んだものをと心掛けて書いていたシリーズも、本編はこれで終わりです。(どこにも出てこないけど、三月のモチーフはお雛様)残り二話は番外編なので、季節や行事は関係していません。このシリーズを書くことで、全く知らなかった日本の風習や逃げ腰でいた怖い話、さらにはrashionさんに紹介されながら、なかなか読めないでいた漫画にも手を出すことができ、いろいろと勉強(?)になりました。先日廃止になった寝台急行『銀河』は、『秘薬』に出てくる寝台車のモデルでした。普段の私には縁のない、そういったものに出会えたのも楽しかったです。縁がないとはいえ、電車に乗るのは好きなので、乗ってみたいという願望丸出しで書いたのに、乗る前に廃止になったのはとても残念です。
2008.03.31
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すっかり暖かくなってきましたが、二月にアップしようと思っていた寒い時期の話を一編。『函』最後は暑い時期に飛んでますけど。例の夫婦の話の番外編。この話、不気味な終わりにしたいけどこのシリーズでそれは・・・・・・というジレンマに悩まされ、とりあえず前者を選択していたのですが、今回のアップに際して後者を択る形に修正しました。と言っても、文章の場所を入れ替えただけみたいなもんですが。結構「怖い」と言われる話もあったシリーズではありますが、個人的にはホノボノしたものを目指していたんです。(え!? と思われそうですが、これ事実)で、このシリーズでは、思う存分不気味な話を書けない!ということで出来たのが、『奇妙な隣人』だったりします。あっちのが話が明るいかもしれませんが(苦笑)
2008.03.17
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ご無沙汰しております。二月は二話アップしようと思ってたのに、ギリギリ一話になってしまいました。『吉祥果』例のシリーズの二月分です。といっても、今回あんまり月に関係してないけど。どういう話にするかはともかく、シリーズ終了までに入れたかったエピソードです。よろしければ読んでやってください。あ、休んでたのは別にショックが大きかったとかそういうわけではないので、ご心配はなさらないでくださいね~。体調も悪くありません。強いて言えば、頭が悪い(それはもとから)。もちろんふーちゃんも元気です。まだまだ寒いので、みなさんもお体には気をつけてくださいね。
2008.02.28
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どうもこんにちは。先週から激しく冷え込んでますが、みなさん、お風邪など召されてませんでしょうか。私は先週の土曜からノロウィルスにやられ、まだ治りきっていないところに母方の祖母が亡くなり、てんやわんやの一週間でした。一昨日の朝息を引き取り、昨日葬式、今朝寺に行って、今はひと段落しています。弱っている年寄りは、夏の暑さと冬の寒さを越せないことが多いと聞きますが、「この調子なら今年の冬も越すんじゃない?」と言っていたうちの祖母も、とうとう私にノロをもたらした寒波にやられてしまったようでした。享年95歳。頑固で働き者でわがままで、でも、朗らかで優しくて、どこか憎めない可愛いおばあちゃんでした。猫が好きで、足と目が悪くなって猫が飼えなくなっても、庭にキャットフードを撒いて、野良猫が来るのを楽しみにしていました。この祖母がいなければ、ふーちゃんがうちに来ることもなかったでしょう。余命半年、長くても一年と宣告されてから五年。明らかに要介護認定を受けられる状態でしたが、伯母とうちの母の介護のみで最後まで一人暮らしを通し、自宅で最期を迎えました。毎晩誰かが泊り込むようになってからは、二年半が経過していました。亡くなる前の晩まで、自分の口で物を食べ、しくじりながらもトイレで排泄していました。時々まだら惚けが出ていましたが、まだまだ意識はしっかりしており、私のことも「誰なあ?」と言いつつ、「○○よ」と答えると、「あー、○○ちゃんか。今日は仕事休みか」などとしっかりした言葉を返してくれていました。棺には、いつか私がトイざらスで買ってきたプリモプエルも一緒に入っていきました。三歳で父方の、六歳で母方の祖父を亡くし、十一歳で父方の祖母も逝きました。私にとっては最後のおばあちゃん。そして、おばあちゃんにとっても、私は最後に生まれた孫。遅くに生まれたこともあって、思い出が少ない代わりに、他の孫の何倍も甘やかしてもらったように思います。幼い頃、祖父と挟み将棋をし、負けばかりしてぶーたれていると、「なんなら、じーさん、大人げなぁ! ちったぁ負けてやりなぁ!」と、祖父に抗議してくれたおばあちゃん。アイスクリームのことをケーキと言い、いつも私に「冷凍庫にケーキあるけぇ、食べていけ」と言ってくれたおばあちゃん。うちの母や伯母が黙って出掛けると、「わしを置いていった」と腹を立ててハンストしていたおばあちゃん。酒が好きで、調子が悪くてご飯が食べられない時でも赤ワインを飲んでいたおばあちゃん。(しかも、「喉が渇いた」と言うだけで、決して「酒が飲みたい」とは言わなかったらしい)飲めない私に「練習すりゃあ、誰でも飲めるようになるわ。ははははは~」と、軽く言っていたおばあちゃん。私がおじいちゃんの仏壇の前で般若心経を唱えていると、いつもデタラメなお経を口ずさんで一緒に拝んでいたおばあちゃん。元気な頃でも、孫の名前を一巡しないと、当人の名前が出てこなかったおばあちゃん。(「Jちゃんか、いやKちゃんか。Mちゃんか。・・・・・・・おお、Yちゃんよ!」というふうに。Jちゃん相手なら、Jちゃんが最後になる)何度も「わざと?」と訊いたけど、ウソかホントか「わざとじゃあるきゃあ(わざとなわけがない)」と取り合ってくれませんでした。小説もどきで祖母みたいな人を書いたことはありませんが、一応、『おとうさんとおかあさんのけんか』のおばあちゃんは、いつもニコニコ仏様みたいに笑っていた祖母がモデルでした。(ばあちゃんには大仏黒子まであるんです)他にも、人ではありませんが、赤松の祖父母の家も、片岡の家も、そして『花宿り』シリーズの姑の家も、全て祖母の家がモデルだったりします。赤松の祖父母の家の裏に山があるのは、祖母の家の裏に山があるから。片岡家の庭に築山があるのは、祖母の家に築山があるから。そして花宿りの姑の家に縁側と池があるのは、祖母の家に縁側と池があるからでした。家だけではありません。『秘薬』で姑が野良猫を家猫にしなかったのは、祖母がいつ亡くなるか分からない状態で、やはり庭にやってくる野良猫を飼うことができなかったから。(その野良猫たちも一昨年くらいに全て亡くなり、今は祖母の家の畑に眠っています)『来る年』で姑を初詣に行かせなかったのは、ずっと前、祖母を初詣に誘った時、「あがなせっとる所に行けるきゃあ」(訳:あんな人で混んでいる所には行けない)と断られたことに起因しています。いつもニコニコして、たくさんの笑いと話題を提供してくれた祖母。ああいう笑顔を、笑顔布施っていうんじゃないかな。あんなおばあちゃんになりたいと、切に思います。最後の孫としては、曾孫はおろか、花嫁姿すら見せることができなかったのが悔やまれます。ばーちゃん、長い間ありがとう。お疲れ様。49日の旅を終えて向こうに着いたら、じーちゃんによろしくね。また、家なりお墓なりに、会いに行くから。
2008.01.26
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成人の日くらいに顔出すかもって言ったのは誰だ!?一日遅れましたが、昔の成人の日ってことで。『夢現』アップしました。別に成人の日の話ってわけでもないのですが。振袖ふりふり~♪ と。(振袖の話でもないのですが)例の夫婦の馴れ初め話(?)です。よろしければ読んでやってください。
2008.01.15
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新年あけましておめでとうございます。昨年も大変お世話になりました。特に昨年は、愚痴を聞いて(読んで)いただいたり、励ましていただいたり。とても勇気付けられました。ありがとうございました。最近、潜ってばかりですが、のろのろとやっていきますので、今年もよろしくお願いします。 ↑よろしく~。(って、どこ見てんだか)次に顔出すのは成人の日あたりかなー。
2008.01.01
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お久しぶりです。お元気ですか?年またぎの短編『来る年』をアップしました。なんとか年内にアップしようと思ったのですが、パソコンの調子が思わしくなくて年越しちゃいました(汗)年越しにせっせとルビ振りとかしてた私って・・・・・・。現在はもう元日なのですが、新年の挨拶は別にさせていただきます。さすがに1日のタイトル欄に『来る年』と入れるのもどうかと思い、31日付けでこれを入れました。例のほのぼの(?)霊感夫婦の話です。よろしければ読んでやってください。
2007.12.31
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今も休みまくってますが、正式にしばらく潜伏します。別に忙しすぎるとか悩んでるとかそういうことではないので、ご心配なく。ふーちゃんも私も、ついでにアルジャーノンも元気です。っていっても、アルジャーノンの姿はずっと見ていないのですが。(でも、臭いが元気そう/苦笑)『奇妙な隣人』今年中に終わらせられないかも・・・・・・(汗)待っててくださってる方には申し訳ないです。最終話の前に、またちょっと寄り道(番外)やってしまいそうな感じですが。復活したら、またよろしくお願いします(ペコリ)では、また~。
2007.12.04
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最近、ふーちゃんはペットを飼い始めました。少し前に家に連れて帰り、そのままうちに居つかせてしまったのです。名前はアルジャーノン(命名:私)部屋は冷蔵庫の裏。ふーちゃんは自分の餌を分け与え、台所のテレビや椅子の上から、そっとアルジャーノンの成長を見守っています。いや、私達がアルジャーノンを捕まえないように見張っているのかもしれません。ちなみに、アルジャーノンはトカゲではありません。トカゲならいいです、冬越せないはずだから。(その前に、トカゲは猫の餌なんか食わない)そう。アルジャーノンはネズミ。猫がネズミを保護してどうするー!!!・・・・・・おまえは紫苑か(汗)(あさのあつこさんの小説で、ネズミというあだ名の子を主人公の紫苑が匿うところから始まる、『No.6』というのがある)トイレ工事に来た人に『トムとジェリー』みたいと言われたけど、トムはちゃんとジェリーを捕まえようとするじゃん!家に連れて帰ってどうするよ!?(泣)かわいいんですけどね、ネズミ。キャットフードのせいか、毛並みも艶々してきているようです(苦笑) ↑うふふ。守ってやるからね~♪
2007.11.23
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久々に猫バカ日誌。ある日、こたつ机でPCを見ていて、ふと後ろを振り返ると、布団から足が生えてる!!!(手前後ろ足)うちの布団からは、ときどきこんな風に足が生えます。正体はもちろんふーちゃん。いつも思うけど、あんた、寝相変だよ。猫って足を宙に伸ばして寝て、疲れないんでしょうか。<もういっちょう!> ↑目、開けたら怖いよ。
2007.11.19
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リクエストに応えるにはちと遅く、話の内容的にはちと早いのですが、やっとアップしました。『うわばみ』rashionさんと美花♪さんのリクにあった、ホンワリ霊感亭主の出てくる短編11月バージョンです。今回、別に幽霊は出てきませんが。シリーズの中では地味な部類かもしれませんが、個人的には割りと気に入ってたりします。これなら見られてもいいこともないこともないこともない・・・・・・・かも??メモリスティックですが、あちこち探したのにちっとも出てきません。ゴミ箱も漁りましたが、ダメでした。母にも訊いてみた(母はさすがに見れないので)のですが、「ゴミ箱に入ってたら、そのままゴミに出してるよ」入れねーよ!!だけど、前回のゴミの日までに入ってしまっていた可能性は否めません。どうせ出てこないなら、家の中よりもゴミ処理場へ行ってくれていた方が安心かも・・・・・・。と思い始めている今日この頃です。でもこれ、PCに入れてなかったら、きっとそんなこと思えないんでしょうね。途中まで書いてた長編(?)のFDがイカれたの、未だに引き摺ってるし。自分の書いたもんなんて駄文だと思うのに、無くなるのは嫌だって、どういうことなんだか。(いや、なんとなく理由は分かる気がするんだけども)残るリクは鳥月さいせいさんの赤松たちの話(学園物)なんですが・・・・・・。・・・・・・おかしい。なんでこれが一番難しいんだ!?というわけで、かなり待っていただくようになるかもしれません。鳥月さん、ごめんなさい。<拍手レス>11日 一体何が~の方(以下反転)お返事遅くなってすみません。クリックしてしまわれたんですねー!眼は・・・・・・眼は大丈夫でしたか!?あああ、心配ですが、文中にも書いたように責任は取れませんのでご容赦くださいー!
2007.11.15
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どどどどどどどうしましょー!!!め、メモリスティックが紛失したーーーーーーーーーーーーっっっ!!!いや、一度調子が悪かった時にPCにも保存したから、ファイルはほとんど手元にあるんですが。あの中身を誰かに見られでもしたら・・・・・・。し、死ぬーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!うちにPCをいじれるような人間はいなかったはずなのですが、少し前から、父がパソコン教室に通うようになったのですよ。そんで、あろうことか父もメモリスティックを利用するようになっているのですよ。つまり、中身の見方は知っているわけです。しかもうちの親ってば、平気で年頃(は過ぎたか?)の娘の部屋に侵入するんですよ。私が留守の間に!!(そのくせ雨降った時には窓閉めてくれてなかった)もー、普通じゃ信じられんでしょうが、稼ぎが薄くて出て行けないので我慢するしかない。(文句は言ってるが)わざと持ってくことはないでしょうが、もし、もしも親父があれを見つけて自分のパソコンで中を開いたら・・・・・・っっっ!!恥ずかしすぎて死ぬかも・・・・・・。どれもヤバイけど、菊日和とか月白くあたり見られたらほんまにどーしよ。(菊日和は意味分からんかもしれんが)他にもなんかまずいのあったかな・・・・・・(汗)父に限らず、誰かが見つける前に出てきてくれー!!じゃないと、私の気が休まりません。あれに関しては、中身が中身だからものすごく慎重に保管してたはずなのになぁ(しくしく)あ、ブログランキングは脱退しました。やっぱりうちみたいなところは、毎日更新してないと難しいですね。毎日更新してた時もそんなに上位にはならなかったけど。ポチッとしてくださった方、ありがとうございました!<拍手レス>鳥月さいせいさん(以下反転)お返事遅くなってすみません。絵師さんでもある鳥月さんに、いい感じと言っていただけると嬉しいです♪ありがとうございました!
2007.11.08
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「その腕ってまさか・・・・・・」 俺は今にも掛けようとしていた、ごつい黒縁眼鏡を慌てて顔から遠ざけた。ザーッと音を立てて酔いが引いていくのが分かる。それと入れ替わるようにして、寒気が背中を這い登ってきた。「たぶん、これの元の持ち主だろうね」 先輩は平然とした顔で俺から眼鏡を取り返すと、自分の顔に掛けた。裸眼でも見えないわけではないのだろう。俺が眼鏡を玩んでいる間も、彼は煙草に火をつけたり新たなビールの缶を開けたりしていたが、手の動きに迷いはなかった。 先輩といっても、学校やバイトの先輩ではない。俺の住むアパートに、俺より前から住んでいるというだけの人である。 彼と部屋で飲んでいて、ふとその眼鏡の話になり、そんな古そうな型の眼鏡をどこで手に入れたのかと訊くと、女に貰ったなどと珍しく色気のある答えが返ってきたので、事のあらましを聞き出していたのである。 しかし、出てきた話があれとは。途中まで中途半端でも恋バナの様相を呈していたのに、どうして最後は三面記事みたいになるのか。存在自体が異常な人だと思っていたが、恋した相手も普通の女性ではなかったようだ。コンクリで固めた腕を持ち歩いている女性なんて、いくらなんでもゾッとしない。てか、それ見つけても全く気が変わることなく彼女を好きでいたこの人って・・・・・・。映画や小説じゃないんだから、フツー引くだろ。 当時先輩は高校三年生。彼女は家の隣のアパートに住む、二十一歳のフリーターだったそうだ。もともと先輩の実家の学区内にある施設に居た人で、小中学校の先輩であったらしい。中学卒業後、彼女は一度住み込みの就職で他県に出たのだが、何があったのか、二年後に仕事を辞めて帰ってきて、先輩の家の隣にあるアパートに住み始めた。おそらく、その男性の死が絡んでいたのだろうと先輩は言った。「俺は、あの先輩が男を殺してたんだと思う」「え? でも、体の一部や眼鏡を大事に持ってたってことは、その男性のことを好きだったんじゃないんですか? その女の人は」 あまりにも突拍子もない推論を当たり前のように口にするので、俺はやり返すつもりで突っ込みを入れたのだが、先輩はニヤリと笑って返してきた。「殺す理由なんて、何も思うところのない相手より、好きな相手に対しての方が多くあると思わないか?」 意外だったのは、当時の彼には霊感と呼べるようなものが皆無だったことである。霊体験はおろか、金縛りに遭ったこともなかったらしい。今では話に出てきた女性並みか、それ以上だというのに。 けれど、好きだった人に貰った眼鏡を使い続けているというのはもっと意外だ。失恋した相手が好きだった男の形見を貰うあたりの神経は、さすがこの人だと思うけど。どういうことにしろ、曰くつきの眼鏡だから掛けているという方が、まだしも彼らしい気がした。「先輩が幽霊視えるようになったのって、その眼鏡のせいですかね」 俺がもう一度眼鏡に手を伸ばすと、先輩はそれを外して、今度こそ俺の顔に掛けさせた。度はちゃんと入っているようだ。ぐにゃりと世界が歪む。「さあね。でも、きみが今日、事故現場を見たというのは分かるよ」「え? あ、」 そういえば見た。今朝、大学に行く途中で、横倒しになった軽自動車の中から助け出されている、助手席に乗っていたと思しき老人を。 歪んだ視界の中で、先輩が左の口角だけを上げてニヤリとした。「ついて来てるよ。七十くらいのオバーサン」 先輩とそんなやり取りをしたのが、つい一週間ほど前のこと。こんな時にあんな話を思い出す自分が呪わしい。 俺は、すっぽりともぐりこんでいたこたつから頭を出して、目が覚めてから何百回目かの溜息を吐いた。何時だろうと時計に目を移すと、蛍光塗料で光っている針が、午前四時を指していた。二時くらいに眼が覚めてから、ちっとも眠気が戻って来ない。明日も自動車学校の路上教習があるというのに。 部屋は真っ暗闇なのに、こたつから顔を出すと、嫌でも血の付着したバタフライナイフが視界に入る。昨夜、先輩に押し付けられたぬいぐるみから出てきたものだ。 あの話を聞いた時、先輩がコンクリート詰めの腕を見つけても通報しなかったのは、単純に彼があの女性を好きだったからだと思っていた。でも、このナイフを見ていると、別の考えが過ぎるのだ。 ひょっとしたら、その男性を殺したのは――。いや、男性だけじゃない。あの女性だって自殺なんかじゃなかったとしたら――。 いや、こんなのは過ぎた想像だ。いくら先輩がどこか尋常じゃないからって、何人も人を殺してあんなにのうのうとしていられるはずがない。強盗や窃盗なら、罪の意識なんて微塵も感じずにやってのけてしまうかもしれないけど。だけど、いくらあの人でも殺人は・・・・・・。 でも、それでは今この部屋にあるあのナイフは? 恋人だか好きだった人だかを殺して自殺したとされる、先輩がかつて好きだった女性。彼女は、先輩をどこか自分に似ていると評したのではなかったか。いや、先輩自身が、その暗示によって彼女と同じ道を辿ったとしたら・・・・・・。 考え過ぎだ。誇大妄想もいいところだ。「俺って意外と想像力たくましかったんだな」 うつ伏せになった状態で、顔だけ上げてへへっと笑ってみる。顔を上げるとまた、あのナイフが目に入った。 ――殺す理由なんて、何も思うところのない相手より、好きな相手に対しての方が多くあると思わないか? そう言ってニヤリと笑った先輩の顔を思い出し、俺は目覚めてから何百何回目かの溜息を吐いて、何十回目かの寝返りを打った。11.彼女 終'07.10.31最後がえらく長くなってしまいました。配分が下手くそですみません。一応、ぼっつぇ流星号αさんのリクにあった『恋愛絡みの短編』にしてみました。どこが恋愛絡み!?(汗)いやあの、オチがないとそういうの書けなくて・・・・・・。すみません。リクには主人公でも面白いかもと書いてあったのですが、「相手は幽霊でした。チャンチャン♪」というありきたりな設定しか浮かばなかったので、先輩にしてみました。しかもこの手法って、ある話のパクリだったり(汗)一度やってみたかったんですー! ごめんなさいー!ええ。1で頂いたコメントを見て、「しめしめ。バレてないバレてない」と眼鏡を光らせていたのは私です。重ね重ねすみません(汗)えっと、あのぉ、ぼっつぇさん、こんなんでもよろしかったでしょうか?(↑おそるおそる)
2007.10.31
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先輩は一瞬だけ眼を見開いたかと思うと、盛大に噴いた。「何がおかしいんですか!」 勝手に盛り上がって緊張したのはこっちだが、こんな反応をされると怒声も上げたくなる。「きみも物好きだなと思って。こんな変人」「変人って自覚あったんですか」「まぁね。だからきみも、ガキだって自覚を持ちなさい」 珍しく諭すように言われる。「ガキって、先輩だってそう違わないじゃないですか」 つーか、下手すると、この人より俺のがしっかりしるんじゃないかって気もする。それくらいだらしない、かつ、生活力の乏しい人に言われてもなぁ。 しかし、俺と三つしか違わない先輩は、勝ち誇ったように事実を突きつけてきた。「きみ、まだ未成年でしょ」「これって、婉曲に振られてるんですかね」「まぁ、三年後だったら考えても良かったかな」「じゃあ、三年後まで、待ってもらえますか?」 先輩の軽口に、愚問だと思いつつも発した問いの答えは、やはりノーだった。それまでにお前の気が変わるよと、明るく言う。 しかし、次にした質問には、申し訳なさそうに俯いて答えた。「それで、ここに帰ってくることは・・・・・・?」「・・・・・・たぶん、ない」 やはり、もう帰って来ることはないのだ。「俺が、あれを見つけたからですか」「・・・・・・それもあるけど、もう、限界なんだ。ごめんな」 先輩の限界が近いのは、薄々感じていた。だから最近、俺のここに居る時間が急速に増えていたのだ。居心地が良かったからではなく、失うことを怖れていたから。 俯いたまま、ごめんなと繰り返す先輩に、そっと手を伸ばす。いつもとは逆に俺が先輩の頭を撫でると、先輩のジーンズの膝に水滴が落ちた。俺は泣いてなんていなかったから、たぶん、先輩の涙だったんだと思う。「先輩、やっぱり餞別ください」 言いながら、膝に置かれた手に自分の手を重ねる。先輩が僅かに身を固くしたのが分かった。 あんただってやっぱりガキじゃないか。そう思ったけど、口には出さなかった。 そのまま押し倒すことも考えたが、向こう一ヶ月くらいは痣が残るくらいひどく殴られるのが目に見えていたのでやめた。「俺、この眼鏡が欲しいです」 先輩が顔を上げる。俺が重ねた手には、いつも掛けているごつい黒縁眼鏡が握られていた。「でも、これは・・・・・・」「知ってます。けど、形見はもう要らないでしょう」 先輩は知っていたのかと呟くと、顔を上げた。「分かりますよ。だってこれ、どう見ても先輩には大きすぎます。男物でしょ。それに、あれを見れば誰だって」「それもそうか」 先輩は納得したように肯くと、重ねていた俺の手を取って、眼鏡を握らせた。そして、不敵な笑みを浮かべる。「ほんと物好きだよな。分かった。やるよ。でも、これ掛けてるとおかしなものが視えるよ。きみの背後にいる血まみれの女性とか」 俺は思わず、眼鏡を取り落としそうになった。先輩は冗談だよと笑うと、少しだけかしこまって、でも、と俺を見上げた。「でも、今までここに私を引き止めていたのは、間違いなくきみだったよ」 どこか自分に似ていたから、放っておけなかったんだ。 先輩はそう言って微笑んだ。西日を浴びた顔が、今まで見たことがないくらい柔らかく綻ぶ。「どこも似てませんよ。似てたら、引き止めようなんて間違っても思いませんでしたよ」 俺は立ち上がると、先輩に背を向けて部屋を出た。 翌年の夏、水不足で干上がったダムの底から、先輩らしき女性の遺体が発見された。その遺体には、重石にしたと思しきスポーツバッグが足に括りつけられており、その中から、コンクリートで固められた男性の右前腕が見つかった。 それは先輩がいなくなる数週間前に、俺が彼女の部屋で見つけたものだった。つづく拍手お礼美花♪さんへ(恥ずかしいので反転)か、可愛いですか!? ありがとうございます(テレテレ)美花♪さん達につられてつい・・・・・・。もとは描く方が好きだった(といっても落書き程度で、ペン入れとかはしたことない)んですが、高校のはじめ頃に足を洗い、もうずっと人様にお見せすることはなかったので・・・・・・。というか、もう二度とないと思ってました。実際、描いたの自体?年振り。お見苦しいシロモノですが、意外に楽しんで描けたので、少しでも楽しんでいただけたら幸いです。
2007.10.30
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学校の帰りに、交通事故の現場を見た。俺が通りかかった時には救急車が来ており、周囲を野次馬が取り囲んでいた。ただ、担架に乗せられようとしていた人が、まだ若い女性だということだけは分かった。 自分の家には帰らずに、隣の先輩のところへ行く。その頃俺は、先輩の部屋に入り浸っていた。 名前を告げて、鍵のかかっていないドアを開ける。と、まだ何も言っていないのに「さっき、事故現場を見ただろう」と指摘された。「なんで分かるんですか?」 事故現場は学校の近くで、ここから三キロ以上は離れている。救急車のサイレンだって聞こえなかったはずだ。 俺は多少訝しく思いながらも、半分またかという気持ちで部屋に上がりこんだ。 この人には第六感でもあるのか、時々不吉なことを言い当てる。このアパートの向かいに住んでいたおばあさんが死んだ日とか、行方不明になっていた子供が遺棄されていた場所とか。うちに母親がいない理由も、俺が何も言わなくても知っているようだった。「着いて来てる。女の人」「それって、あの事故の人は死んだってことですか」「うーん、あと二、三分ってところかな」 先輩は顔に合わない黒縁眼鏡を中指で押し上げながら、俺の少し後ろを凝視した。うそだろ、と思いながらも、背中を冷たいものが伝う。「きみはすぐ同情するからなぁ。こんなのくっつけてきて、そんなことないって顔してもダメだよ」 先輩はクスクス笑いながら、俺の背中を軽く叩く。「でも気をつけな。そうやって可哀相可哀相って思ってると、いつか引っ張られるから。ま、今回はついでだから、こいつも連れてってやるよ」「どこか行くんですか?」 そういえば、部屋の隅にぱんぱんに膨らんだスポーツバッグが転がっている。俺は俄かに不安になった。先輩はもうここには帰って来ない。そんな気がした。 俺はよほどひどい顔をしていたのだろう。そんな顔すんなってと、今度は頭を混ぜくられた。「あ、何かいる? 餞別に持ってってもいいよ。って言っても、大したものないけど」 促されて部屋の中を見回すも、もともと生活感の希薄だった部屋は、更に殺風景になっている。これなんかどう? とまだ数回しか使っていないマグカップを出してきた先輩に、俺はかぶりを振った。 俺はたしかに何かを欲してここに来ていたのだと思う。でも、欲しい物など何もなかった。欲しているのは物質ではない。この空間であり空気だ。ここにあんたが居ることだ。 いや、この人さえ居れば、場所なんて本当は何処でもいいのかもしれない。「・・・・・・俺じゃ、だめですか?」 ようやく搾り出した言葉は、震えていたんじゃないかと思う。先輩は俺の表情を読もうとするように、ごつい眼鏡を外して顔を覗き込んできた。「何が?」 顔に合わない眼鏡を外した先輩は、割と綺麗な部類に入る。そんな顔を間近に寄せられているせいか、それともこれから言おうとしていることのせいなのか、どちらともつかない緊張が、俺の鼓動を加速させていた。「俺じゃあ、先輩を引き止めることはできませんか?」つづく最終話の前に、ちょっと寄り道~。(本当にちょっとか!?)あ、拍手SS入れ替えました。今回、SSは6までです。その後も画面は出ますが、自己責任でお願いします。(拍手してもらってなんてことを・・・・・・汗)
2007.10.29
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ぐふ、ぐふふふふふふ・・・・・・またもや怪しくてすみません。本編は全くもってじぇんじぇん手直しできていないのですが、今度はぼっつぇ流星号αさんにイラストをプレゼントしていただいちゃったので、またご紹介させていただきます~♪まさかよもや、私なんぞの書いた話からイラストを描いていただける日が来るなんて思ってもみなかったので、もう夢のようです。って、前にも似たようなこと書いたかも。でも、それくらいすごいことなんです、私の中で。あー、楽天に載せてて良かったー!!(笑)実は、昨日の仕事の昼休憩にそのイラストを見てしまい、午後からかなりやばかったんです。もうね、心の中で「やばいやばい」連発してました。口元は緩みっぱなしだわ、頬は火照るわで、完璧怪しい人。怪しいけど幸せオーラ大放出中!! みたいな(笑)二人セットでかわいい感じなんですが、先輩がもういかにも先輩(笑)でも、あまり陰湿な感じがしないところに、ぼっつぇさんの人柄が出てるのかもしれません♪そんな、どこかあったかいイラストは、コチラ♪そうそう、言うまでもないことかもしれませんが、お三人さんのブログでは、他にもいろんなイラストが見れますよ~!ぼっつぇ流星号αさんは現在、イラストみたいにあったかいファンタジー小説も書かれてます。興味の湧いた方は是非♪それにしても、こんなにいろいろ頂いているのに、私って何もしてないんですよね。○○ヒット企画とか、リクエストの受け付けとか・・・・・・。「できないことはしねぇ!」という精神でやってこなかったわけなんですが。(『こんなん書いてみませんか?』と言われて書いたことはあるけど)えーっと何かやって欲しいこととかありますか?(特にイラストくださった三人さんとrashionさん)つっても、小説もどき書くくらいしかできないんだけども。しかも、いろいろ書けないものがあるんだけども。(時代物とか異世界ファンタジーとか殺陣とかラブシーンとか・・・・・・って、ほとんどダメぢゃん)そんでもって、書くとか言っといて頓挫してるものもある(ヤンピンさんすみません!)ので、確約はできないんだけども。「このシリーズ(『電話。オレオレ』『電話。木賀家』『赤松』など)が読みたいから、優先的に」というのでもいいです。実際そうできるかどうかは分かりませんが。(これができればとっくにヤンピンさんのも・・・・・・ねぇ/汗)「小説もどきなんぞいいから、ふー(猫)を出せ!」というのもOK。(ある意味凹むけどね。ここの元の状態考えたら真理だよね)あ、キリ番踏んだら広島名物(?)『もみじ饅頭』を送るっていうのでもいいです。『平家物語』も結構イケますよ。(↑に○き堂の回し者か!)もちろん、三人さんやrashionさん以外の方も、ご要望があれば言ってみてください。何にしても、出来ることがあまりにも少ないので、自分に出来る範囲で検討してみます。<私信>ぼっつぇ流星号αさん宣伝(?)までしてくださってありがとうございました。そうそう、あの話はホラーの衣を借りたギャグです。なんて言ったら、ギャグにも失礼かもしれませんが(苦笑)
2007.10.25
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今日は旧暦の九月九日だそうで。重陽の節句ってわけで、こんなん載せてみました。『菊日和』去年の九月か十月分として書こうとしたのですが、なんだかなーと思って没っていたネタ。当時は奥さん視点で、出てくるのは小さい子供の予定でした。それが今年の四月くらいに急に思い立って、旦那視点で書いたらスラスラ~っと書けちゃって。「なんだかなー」どころか「おいおい」というような話になりましたが、よろしければ読んでやってください。ただし、どう転んでも、嫌いな人は嫌いなオチだと思うので、微妙に注意が必要です。
2007.10.19
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怖い話を書いたり創ったりしていると、よく霊が寄って来たりすると聞く。だから、ホラー映画を撮る前にお祓いをするというのもよく聞く話だ。 私は趣味で、少し前からホラーっぽい話を書いている。が、いかんせん趣味の域であり、怖がりな自分が読んでもそれほど怖くもないシロモノなので、お祓いなどの対策はしていない。それでも当然のことながら、心霊現象には遭っていない。と思う。『と思う』というのは、霊感が皆無なので、周囲でそういうことが起こっていても、気付いていない可能性もあるということである。 そんなこんなで、心霊現象には遭遇していないが、夢見は悪くなった。 その良い例が、web拍手のお礼SSである。あの中で主人公が見ている夢は、ほぼそのまま書いた頃に見た夢だ。せいぜい、『部屋飲みの帰り』という部分が創作になっているに過ぎない。何かの帰りであったことは確かなのだが、その部分は覚えていなかったのだ。起きた時、まだ掴まれてはいなかったのに、足首に生々しい感触があったというのも事実。しかし勿論、手の痕なんてどこにもなかった。はず。『はず』というのは、怖さと眠気でその時には確認しなかったからである。が、主人公のように人に指摘されることもなかった。 ところが、先月末あたりから、夢の中で掴まれそうになった右足がたまに痛むようになった。足首ではなく、足そのもの――裏とか甲とかその時々によって違うのだが――が痛むのだ。 ただ、これには思い当たることがあった。 先月、愛媛の友人のところに行った帰り、しまなみ海道で土砂降りに遭ったのである。あの時、知らず知らずのうちに、アクセルを踏む足に力が入っていたのだろう。滅多に通らない高速道路で、しかも夜にバケツをひっくり返したような雨に遭ったのだ。あの時はトイレも近くて、焦っている上高速なのにスピードを出せないという、変な状況に陥っていた。きっとおかしな力の入れ方をしていたに違いない。 こりゃ足が凝ってんだなと思った私は、リフレクソロジーに行ってみた。足ツボで肩凝りも軽減されるかもしれないし、足をマッサージしてもらえば、痛みも取れるだろうと踏んだのである。 ところが。 ゆったりしたリクライニングチェアに腰掛け、左足から施術を始めてもらい、良い感じにうつらうつらし始めたところで、マッサージをしてくれていたスタッフさんが素っ頓狂な声を上げた。「ど、どうしたんですか、これ!?」 促されて右足の裏を見ると、土踏まずを中心に、直径三センチくらいが青黒く変色していた。てなわけで、今月の頭くらいにリフレクソロジーで内出血を発見され、それが治ってからも痛みが続いていたので、今日病院に行ってきました。(平日だけど、仕事が休みだったので)したら、原因は分からないけど、くるぶしの横あたりから伸びてる神経が炎症を起こしてるんじゃないかと。そこの神経が足の裏に拡がっているから、全体が痛むんですね。側面や甲が痛むのは、裏の神経を庇うからだそうな。神経を庇うことによって、普段使わない筋肉を使うから、それが筋肉痛を起こしてると。土踏まずなんて、めったこったに物が当たるところじゃないのに何故内出血!?という、ちょっと鳥肌の立つような疑問もありましたが、「あそこに毛細血管が多いから」と科学的? 生物学的? に片付けられました。あー、良かった。炎症元がくるぶしの横ってのが、ちょっと引っかかるけど。(あの夢は、足の神経が弱ってきているという警告だったとか?)でも、この痛みはどうやったら取れるかとお医者さんに訊くと、「とりあえず湿布で炎症を抑えて・・・・・・。あとは、足の裏の筋肉を鍛えるしかないね」あ、足の裏の筋肉ぅ!?んなもん、どうやって・・・・・・(汗)足の裏の筋肉を鍛えるには歩くしかないそうですが、歩きすぎても痛みが出るので、少しずつ少しずつ付けていくしかないそうです。普段歩いてないわけじゃないんだけどなぁ。しかし、あっち(腰)もこっち(足)も筋肉がなくなってるって・・・・・・どんだけ~(泣)以上、最近の(私にとってだけ)こわーいお話でした。<追記>web拍手のSSは入れ替えました。
2007.10.17
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へへへへへ。休み明け早々怪しくてすみません。まだまだ休む気満々なのですが(おい)、美花♪さんにもイラストを頂いてしまったので、ご紹介したくて一時復帰してまいりました~♪『奇妙な隣人』なんて、とある短編に行き詰って息抜きに書いた程度だったのに、二人もの方から素敵なイラストを描いていただけて、嬉しいやら申し訳ないやら。私にとって、ものすごく幸せな話になりました♪(しかし、最終話がなぁ・・・・・・汗)鳥月さんに頂いた時もそうだったのですが、顔が緩みまくりで、明日は職場で怪しい人間と化していそうです。もうね、先輩がかっこ良すぎてどうしようかと。隣に住んでる主人公がウラヤマシイくらいです(笑)そんな、あの駄文には勿体無いくらいの美麗イラストはコチラ♪せっかくなので、美花♪さんから去年のクリスマスに頂いたクリスマスカードも一緒にアップしました。一枚一枚載せたかったのですが、カメラの使い方が下手くそなせいか、どうしても光が反射してしまうので、小さくなってしまってすみません。どれもあったかくてかわいいイラストです~♪それから、またもやrashionさんのところのビンゴゲームで景品ゲットしました!!今度はなんと優勝です~♪で、これをいただきました。 ↑栗かもめの玉子岩手の銘菓『かもめの玉子』の秋限定栗あんバージョン。形がめちゃくちゃかわいい♪外側は薄いチョコレートに覆われているような感じで、中は普通のおまんじゅう・・・・・・なのですが、甘すぎない餡が癖になるお味で、栗無しバージョンも気になるところです。そして、おまけでこんなのも頂いてしまいました~♪←ずっぱり岩手(岩手さハマるキーワード事典)方言から食べ物、観光地や歴史まで、ずっぱりと岩手に浸れる一冊(笑)まだ全部は読んでいないのですが、rashionさんの日記を読んでると、「おお、これ知ってるぞ!」ということも結構あって、私ってちょっと岩手通? などと勘違いしながら見ています(笑)昔、母の日に上司に贈ろうとしてやめたベアレンビールや、『風鈴』で書いた南部風鈴(これは南部鉄器のところにちょろっとだけど)も書いてあって、ちょっと親近感も覚えたり。前五千円札の新渡戸さんて、岩手出身だったんですね。そんなこんなで、ちょっとした自慢報告でした~(おい)
2007.10.14
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鳥月さいせいさんのところから、『中毒バトン』なるものをかっぱらってきました~。そいでは、スタート。■貴方は何中毒ですか?なんだろ?鳥月さん方式でいくとアジカンでしょうか。でも、現在カーステに入れてるのはcharaだったりします。■これまでになってしまった中毒を教えてくださいたくさんありすぎて答えきれない。とりあえず、猫と妄想は外せません(苦笑)去年は明らかにディープインパクト中毒でした。競馬は見なくなりましたが、今でも北海道に会いに行きたいです。■現在、なりかけている中毒はなんですか?いい年こいてオカルト(爆)怖いのダメなんですが。■食中毒、なったことありますか?ありましぇ~ん。■バトンを渡す5人やってみたい方はどうぞ~。
2007.10.01
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松山観光の後は、友人の家のある今治に帰って晩御飯。これも知らなかったんですが、今治といえば焼き鳥!!なんだそうで。下戸でも、居酒屋でとり皮さえあれば幸せ♪ という私にはぴったりじゃないか!ということで、晩御飯は焼き鳥屋さんに行きました。二人とも飲めない(友人は運転があったため)ので、ひたすら食事。とり皮はやっぱり美味しかったです~♪でも、あまり串モノ食べてませんでした(汗)その後、旦那さんはご実家、Mちゃん(友人の娘)は友人の実家にお泊りしてくれるということで、友人の家で三時くらいまで飲んだりだべったりしてました。旦那さんの配慮のおかげで、久々に学生時代に戻ったみたいな夜でした。Kちゃんの旦那さん、気を遣わせてしまってごめんなさい。楽しかったです。ありがとうございます。翌月曜は、旦那さんが仕事だったため、Mちゃんも合流して今治観光に連れてってもらいました。Mちゃんにも会いたかったので、これは大歓迎。Mちゃんは人見知りのない明るい子で、とても可愛かったです。現在2歳なのですが、割とおしゃべりが達者になっていて、会話が成立するのも面白い!得意芸は、『そんなの関係ねー』「おっぱっぴー」も言ってくれました(笑)そして彼女は白いご飯が大好物。今治城で話しかけてきた係員さんに、「(お昼ご飯は)白いご飯が食べたい」と『ほたるの墓』のせっちゃんみたいなことを言って、「私がおかず作ってないみたいやん」と友人を嘆かせてました。 ↑そんなことがあった今治城今治城の天守閣は昭和に入ってから再建されたもので、中は普通の展示場といった感じでした。床もリノリウムで、階段なんて学校みたい。何故か魚や動物の剥製まで展示してあって、笑ってしまいました。今治城の後は、タオル美術館に。なんと今治は、タオルの生産高が全国一位なんです。それでタオルの美術館があるのですが、ここに行った一番の目的はランチ。ここのランチが結構おいしいんですよー。でも、せっかくなので、展示も見ることに。それで入館料を払いに行くと、タオルハンカチをくれました。すごくかわいらしくて得した気分♪館内では、実際にタオルを作っている工程が観れるようになっており、結構面白かったです。ちなみに、現在の目玉は、タオルで作った水族館と動物園。魚やペンギン、動物達が、全てタオルで作ってあるんです。そこは写真撮影もOKだったのですが、カメラの充電切れでほとんど撮れなくて残念。他にも、絵本作家さんのイラストの入ったタオルや、タオル以外の絵や詩の展示などもありました。あまりじっくりは観られなかったけど、意外に見ごたえがあって面白かったです。本当はこの後、来島海峡展望館に行く予定だったのですが、タオル美術館で思ったより時間を取ってしまった上、雨まで降り出してきたので、そこでお土産を買って、私はそのまま帰ることに。車を置いている場所まで送ってもらう間、翌日は仕事だったので早く着かないかと思う反面、友人達に今度いつ会えるか分からないと思うと、あんまり早く着いてほしくないような、複雑な気持ちでした。しかし、私はしまなみ海道に嫌われてるのか!?車で愛媛に行くのは今回が三回目だったのですが、復路でいつも天候に泣かされるんです。最初の時は横揺れが激しく車が流されそうに。二回目の時はここにも書きましたが、霧でホワイトアウト状態。そして今回は土砂降り。しかも、今治のタオル美術館で紅茶を飲みすぎ、帰りは雨の中何度もトイレに行きたくなって、SAやPAの度に雨の中トイレに走る破目に。本気で『コンビニ』のいかついオッサンみたいになるんじゃないかとヒヤヒヤしました。オカマを掘ることも掘られることもなく、無事帰れて良かったー。さすがに先週は仕事するのがしんどかったけど、とっても楽しかったです♪橋代が安ければ、もっと気軽に行けるんですが。ねぇ? 道路公団さん?
2007.09.30
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先日書いたとおり、23、24日の一泊二日で愛媛の友人のところへ遊びに行って来ました~♪本当は16、17日で行く予定だったのですが、大雨の為に延期。延期した甲斐があったのか、この日は気持ちのいい快晴でした。 ↑来島海峡SAから見た来島海峡大橋今回行ったのは、三年ほど前、私が結婚式に大遅刻したあの友人のところ。彼女も今は二歳の女の子のお母さん。嗚呼、私は何一つ変わっちゃいねーってーのに・・・・・・(泣)変わっていない証拠に、愛媛は三回目だったにもかかわらず、またしても道に迷い、待ち合わせの場所に辿り着けませんでした。成長なさすぎで泣けてきます。誰だよ、こういうことを経て成長するんだなんて書いた大馬鹿モンは。もう、馬鹿は死んでも治らないって腹を括った方がいいかも(汗)結局、二回ほど同じところをウロウロと迷った挙句、今治ICの出口に戻って友人に拾ってもらいました。この日は友人の旦那さんが子供をみてくれる(なんていい旦那様なんだ!)ということで、友人と二人で松山観光へ。友人の車で道後まで行き、私の希望で坊ちゃん列車に乗って松山城に行くことになったのですが、列車の出発時刻まで時間があったので、足湯に浸かったり、からくり時計を見たりしてました。 ↑からくり時計。うまく撮れなかったけど、『坊ちゃん』のキャラがいっぱい出てきてたんです。そんで念願の坊ちゃん列車で松山城。松山城って、ロープウェーがあるのに、結構歩かないといけないんですね。炎天下にあの坂は、ちょっときつかったです。でも、お城自体は面白かったー!展示物よりも、建物自体が迷路みたいで興味深かったです。ちゃんと順路があるのに「あれ? ここ行ったっけ?」みたいなことが何度か・・・・・・(笑)ちなみに、ロープウェーのところにはリフトもあって、友人はそちらで上っていました。松山城の後は、ロープウェー乗り場の近くにあるsova sovaというお店で遅い昼食。松山って意外に蕎麦が名物のようで、蕎麦の店が結構目につきました。しかし、愛媛県人である友人も、「私も最近まで知らんかったんよ」と。私は梅瀬戸おろしを頼んだのですが、とても美味しかったです。(写真撮るの忘れたー)そこから歩いて、フランス風洋館の萬翠荘と、夏目漱石と正岡子規が同居していた愚陀仏庵へ。 ↑萬翠荘萬翠荘は神戸の異人館みたいで楽しかったのですが、愚陀仏庵は時間帯が遅かったせいか、雨戸(?)までみんな閉まっていて、なんだかなぁ~。この二軒の入り口あたりに坂の上の雲ミュージアムという立派な博物館が出来ていたのですが、時間の関係で入るのは断念。くぅー、迷いさえしなければ。この後、市電に乗って松山市駅まで行き、子規堂を訪れたのですが、ここも閉館した後でした。更に悲しいことに、切符を買っていたにもかかわらず、マドンナバスにも乗れなかった(泣)最終が四時って早すぎるよ。仕方がないので再び市電で道後に戻り、足湯めぐり~♪これ、友人の勧めで回ったのですが、すごいヒットでした。タオル一枚さえあれば、他に準備もなく温泉を堪能できるんですよー。大した準備がいらなくて、しかもタダ!!たいてい温泉つきのホテルが、駐車場の一角に設置してるんですが、スペースが狭いので、個人風呂みたいにして楽しめるんです。(中には道路沿いで丸見えのところもあるけど)タオルまで用意してくれているサービスのいいところもあるので、全く準備をしていない飛び込み(?)さんでもOK。道後温泉って人によっては耐えられないくらい熱い(地下風呂しか入ったことないけど)のですが、足湯は割りとぬるめのところもあって、誰でも気軽に入れるのも魅力かも。私がまわったのは六箇所ですが、全部で九箇所くらいあるみたいなので、道後に行かれる際は是非♪長くなったので、続きは後日~。
2007.09.27
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愛媛から帰ってきました。『彼岸』の時、まだ彼岸花を見ないと書きましたが、昨日今治で彼岸花を見て、「ああ、咲いてた。良かった」と思った次第です(笑)今夜は十五夜ですねー。うちの辺りは晴れてますが、みなさんのところはいかがですか?ってことで、こんなんアップしました。『雨月』これ、実は、あやきちさんとこのひよちゃんや、rashionさんとこのムズくんが亡くなったあとで、なにか励ましになるような話をと思って書いたのですが、どうにもNGな気がしてここに載せるのをやめた話なんです。読んでくださった方の感想を見て、やっぱり載せなくて良かったと思いました。去年は十五夜が十月だったので、十月分として書いた話。
2007.09.25
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連休ですねー。そして、明日は彼岸の中日。というわけで、こんなんアップしました。『彼岸』彼岸なのに今年は彼岸花見ないなーと思ったら、去年の十月頃に書いた話でした。今年だけ見かけないんじゃなくて、去年書いた時期が遅かったんですね。まぁ、どっかの地域では、ちゃんとお彼岸に咲いてたりするだろう。ということで、今彼岸花が咲いてなくても目を瞑ってやってください。今年はさっさと墓参りも済ませたので、明日は愛媛にリベンジしてまいります~♪今週は雨降るなよ!!
2007.09.22
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後日、バイト先であの少女と同じ高校に通っているはずの女の子に、彼女の特徴を並べて何か知っていないか訊いてみた。あれから一週間経つが、何度雑居ビルに行ってみても、彼女は来ていなかったのだ。救急車やパトカーの音もしなかったから、怪我をしているということはないとは思うが、少々心配だった。 田尾さんというその子は、あの少女と同じ制服を着たまま難しい表情をした。「本当に、彼女に会ったんですか? うちの制服着て、左頬に痣があったって、マジで確信持てます? てか、あたしをからかってないですか?」「からかうなんてとんでもない!」 うちの隣人じゃあるまいし。俺は力いっぱい否定した。「でも田尾さん、やっぱり知ってるんだ? 会ったっていうか、見ただけなんだけど。一週間くらい前に雑居ビルの屋上にいたのを見て、危ないなって思ってて・・・・・・。彼女、怪我とかしてない?」 田尾さんはしばらく俺の顔を鑑定でもするように見詰めていたが、小さく溜息を吐いて、口を開いた。彼女の鑑定眼では、俺は嘘をついてはいないと出たらしい。 ところが、田尾さんの発言に、俺はまたしてもショックを受けることとなる。「怪我するも何も、あたしの知ってる『左頬に痣のあるうちの学校の女の子』って、とっくの昔に死んでるんですよ」「え?」「去年の今頃だったかな。真夜中に、八階にある自宅マンションのベランダから飛び降りて」 バイトから帰って、田尾さんから聞いた話を先輩にしたところ、「あ、そう」という素っ気無い反応しか返ってこなかった。この人は何か知っていたんじゃないかという疑念が広がる。「先輩、あの時、彼女に何言ったんですか?」 先輩の耳打ちで、あの娘の表情が変わったのだ。自殺した人間に、彼は更なる追い討ちをかけたのではないだろうか。この人ならやりかねない気がする。でも、彼女の翔び方だけを思い出すと、全てを吹っ切ったような、何か完全なる勝利を手に入れたような、そんな前向きな印象も受けた。「知りたい?」 嫌に可愛らしい素振りで小首を傾げる先輩に、呆れつつも頷く。すると彼の顔に、左口角だけを上げた底意地の悪そうな笑みが広がった。 やばい。 そう思った時には既に遅く、がっちりと腕を掴まれて引き寄せられていた。 先輩はあの娘にしたのと同じように、俺の耳元に口を寄せて囁く。「『もっと高い所から飛べよ。分かってるんだろ?』」 慣れというのは怖いもので、一度落として立ち直ってしまえば、その後、いくつ単位を落としても気にならなくなった。そんな今の俺は、あの娘に勝っているのか負けているのか。まぁ、人の命が切れる間際に一際輝くものだとするのなら、まだまだ勝つチャンスはいくらでもあるだろう。 そう思っているうちは、勝てないのかもしれないけれど。5.5.翔ぶ少女 終’07.9.16なんかよく分からん話ですみません。NUMBER GIRLの『TRAMPOLINE GIRL』を聴いて浮かんできた話でした。
2007.09.20
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「そんで、そのまま掻き消えた、と」 例の雑居ビルの屋上へ続く階段を上りながら、先輩がごつい眼鏡のブリッジを押し上げた。先輩といっても、学校やバイト先のではない。アパートの先住民である。 俺は、そうなんですと返して、屋上への扉を押した。隙間から、強い熱風が押し寄せてくる。「あ、やっぱり今日も居た」 屋上の端に、制服を着た、ナツズイセンを思わせる背中があった。「どれ」 先輩は俺を押し退けると、ずんずん少女に近づいていく。躊躇いも気後れもなさそうなその様子に、彼に話して良かったと思う反面、あまりの無頓着さに取り返しのつかないことをするのではないかという不安も広がる。 数歩遅れて先輩の後を追っていくと、とうに屋上端に辿り着いていた彼は、少女に何か耳打ちをしていた。風が強くて、何を言っているかは聞き取れない。ただ、少女の笑顔が揺らぐのだけが見えた。彼女は左頬に手を遣ると、目を伏せ、顔も俯けた。そして先輩が一歩離れると、こちらに背を向け、そのまま外に向かって飛んだ。夜を、ネオンを、空気を切り裂くように。両手を広げて少女は翔んだ。「何言ったんですか!?」 俺は先輩のいるところに駆け寄ると、隣のコーポやビルの真下を見回した。 先輩は、俺の問いに答えることもなければ、彼女を捜すそぶりも見せない。尻ポケットから煙草を取り出し、火なんぞ点けている。 少女の姿は何処にも見当たらない。「もし彼女が死んでたら、先輩、自殺幇助罪ですよ」 俺は先輩に掴みかかった。目の前で人が飛び降りたかもしれないのにのんびり構えて。何考えてんだ、この人は。 先輩は俺の剣幕など意に介していない様子で、顔を逸らして煙を吐くと、呆れたように言った。「単位落としたくらいで落ち込んでるから、あんなのに『負けた』なんて思うんだ」「な、なんでそんなこと知って・・・・・・」 俺が単位を落としたことは、学校の友人しか知らないはずだ。気味悪くなって、俺は先輩から数歩後ずさった。 彼はニタァ~と笑うと、煙草の箱の中から、一枚の紙を取り出した。端を摘んで、べろんと広げる。夜風になびいているそれに顔を近づけて、俺は仰天した。「あー! これ、俺の成績表!」「一昨日うちのポストに入ってた。文句なら郵便屋に言うんだな」 先輩はそう言って、さっさと屋上から下りていった。 しばらくはこれをネタに、あの人にからかわれるだろう。俺は度重なるショックで、しばらくそこから動けなかった。つづく拍手くださった方、ありがとうございます。9/18 13:56の方へそうなんです。そんなところにも先輩入れてました(笑)そういえば「お礼は『奇妙な隣人』です」って、どこにも書いてませんでしたね。入れ替え前のSSも『奇妙な~』でした。
2007.09.19
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