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今まで私が観てきた中で、一番素晴らしい 「オペラ座の怪人」 の舞台に出会えた。
・・・ということで、名古屋旅行記も書きたいのだが( koalaさんすみれさんお世話になりました!!
)後に回すとしてとにもかくにも観劇ブログを
ファントムは 佐野正幸
さん、クリスティーヌは 木村花代
さん。
私は今まで、 高井ファントムと高木クリス
を観ることが多かった。
高井ファントムの美しい歌声は本当にうっとりする!ただ 非常に品が良くて、その落ち着いたたたずまいから父性
を感じてしまう。
私としては もう少しワイルドな怪人
を観てみたいと思っていたので、佐野さんで観てみたいと思っていたところだった。
「オペラ座の怪人」という物語そのもの、そしてクリスティーヌと怪人の心情を、 私なりに解釈
している(←それも強い確信を持って。)のだが、どうも今まで観てきたクリスティーヌは 「彼女がどう思って行動しているのか」
分からないことが多かった。
それが・・・ 木村クリスティーヌは、まさに私が思う通りのクリスティーヌ
だったのだ!
我が意を得たり、の心境である。
では、少し長くなるだろうが本題に入って行こうと思う。
まず、前回も思ったのだが冒頭の 「落札!」
の言葉。
弱い(ーー;)
ぜひここは威厳を持ってお願いしたい。この言葉でこの物語は始まるのだから。
佐野ファントムと木村クリス、そして鈴木ラウルだが、 この3人のコンビネーション、セリフや動作の間の取り方がとてもいい
と思った。
・・・もう今日はピンポイントで、佐野ファントムと木村クリスについて語る。
佐野ファントム。
非常に エネルギッシュであり、情熱ほとばしる怪人
である。でもそれを押さえようと必死になる姿に、ある種の 愛おしさ
を感じてしまう。おそらくクリスティーヌは、父親のように慕う気持ちと同時に、怪人に対する 「母性」
も感じていたのではなかろうか。
シーンごとに・・・
オペラ座の地下でクリスティーヌにマスクをはぎとられ、ついののしってしまう。
しかし、マスクを取り返した後、愛おしさがこみあげたのか、 抱きしめたくなったように
私には見えた。
しかし、 その思いをぐっとこらえて
「もう戻らねば」と強引に彼女の手を取る。
その力の込め方に、彼女への激しい愛を感じる
。
そして無理矢理自分のものにしない所に、彼が欲しているのは彼女の愛であることが分かる。
佐野ファントム、 セリフの語尾にこめられた感情が実にストレートに伝わる
。
この演技力、素晴らしい。
クライマックス、オペラ座の地下でラウルの首にロープをかける。そしてクリスティーヌに言う 。「選べ・・・」
と。
その「選べ」と言った後の表情は、 残酷な殺人鬼というより、少しすねた子供のような面持ち
がある。こういうところが憎みきれない!
そしてクリスティーヌの母性を引き出したのではないか。
本日の圧巻
。
クリスティーヌは怪人にキスをする。
キスされた後、今までの怪人役は彼女を抱きしめたいけど抱きしめられないという思いを、手を震えさせることで表現していた。
しかし、佐野ファントムは、 ぎりぎりまで抱きしめようとしない
。
そして ためにためて、最後の瞬間にもう情熱を我慢できないというように、勢いよく抱きしめようとする。
が、彼は 一瞬でグッとこらえ、彼女を引き離す
のだ。
そしてラウルの首を絞めていたロープを切る・・・
怪人は、 クリスティーヌの愛を得たことを確信
したのだ。彼女のキスは、そして抱擁は偽りのない愛だった。だから怪人は、自分を愛してくれた、この世で最も愛する女性クリスティーヌの、 本当の幸せ
を願ったのだ。
彼は、ラウルと行けと言った。
自分より、ラウルの方が光の世界で確実にクリスティーヌを幸せにできるから。自分がひとりぼっちになっても、どんなに切なくても、 クリスティーヌが捧げてくれた真実の愛のために、身を引いた
。 彼女の幸せこそが自分の愛
だと、彼は気づいたのだ。
佐野ファントムは、実によくそれを表現していた。
木村クリスティーヌ
初めて彼女の行動に100%納得がいくクリスティーヌ。
演技が素晴らしい。佐野ファントムとの相性も良いように思う。
木村クリスは、私の解釈を見事に体現してくれたかのようで、本当に嬉しかった。(←上から目線でごめんなさい・・・)
怪人の声に、音楽の才能に、 怖れながら惹かれていく
。
例えばラウルとの屋上のシーン。
殺人鬼と怖れながら怪人の声を思い出して陶酔
してしまう。
そして怪人の心の中の「憧れ」(それはまるで小さな子供のような)を、すでに無意識に見 抜いている。もうこのあたりで、 彼女の母性
は目覚めていたのだと私は思う。
例えばマスカレードの場面。
ラウルがそばにいながら、 まるで引き寄せられるかのように
、催眠術にかかったかのように彼女は怪人の方へ近づいてしまう。ラウルはどんなに歯がゆかったことか。
ポイントオブノーリターンのシーン。
声を聴いた時からクリスには怪人が入れ替わったことに気づいていた。しかし舞台人としてか、それともこの曲に段々陶酔していくのか、彼女は演技をやめない。(ここの所のクリスティーヌは びっくりするほど大人びて色っぽかった
。)
しかし、 ふとした瞬間に逃げたくなる
。思わず走り出しそうになるクリスティーヌを、黒マントをかぶった怪人が 「行かせない」
とばかりに腕をつかむ。
そう、まるで 「行かせない」
と本当に言っているようだった。
そしてラストのクライマックス。怪人、ラウルとの地下の場面。
愛するラウルが苦しめられている。どちらか選べと怪人は言う。
・・・彼女は、怪人にキスをする。
キスした後、 まるですべてを慈しむかのように怪人を抱きしめる
。そしてまたキスをする・・・ 私が一緒にいるわ・
・・というように。
クリスティーは怪人を選んだ
のだ。ラウルを救いたいと思った。でもそれ以上に、クリスティーヌは 本当はずっと怪人に惹かれていた
事に気づくのだ。 足を踏み入れては行けない、禁断の恋。恐怖と隣り合わせの、でも深い所でつながった愛。
だから・・・
ラウルのロープが解かれてもクリスティーヌは彼の方へ行かない
。ラウルが駈け寄って彼女を抱きしめても、 ラウルの方を向かない
。
これだ!!
これが私の求めていたクリスティーヌだ!!
どうしてついさっき別の男を選んだのに、自ら進んでラウルの胸に飛び込んで行けよう?
しかし怪人は、行け、行ってくれと叫ぶ。
ラウルに強引に引かれていくクリスティーヌ。
確かに、ラウルも愛している。でも怪人を選んだのに、なぜラウルと行けと言うのか・・・と、混乱していたクリスティーヌも、気づくのだ。
怪人が真実の愛を知ったことを
。
クリスティーヌの愛を受け取り、 怪人は彼女の本当の幸せのために身を引いたのだと
。
何も怪人に対して思っていなければ、あのままラウルと走り去って行くだろう。
でも、彼女は戻ってきた。
それは、あのまま別れるのはあまりにも辛いからだ。 最後に言葉を交わしたい・・・
でも彼女は声を発することができない・・・
アイラブユー・・・その切ない怪人の声に、彼女は無言で指輪を差し出す。
「 せめてこの指輪とともに心はそばに・・・
」というメッセージだったのだと、私は受け止めたい。
本当に愛する気持ちが高ぶると、声は出ないのではないか・・・
だったら怪人と残れば・・・などとは思わない。
だってラウルも愛しているのだ。
・・・二人の男性を愛して何が悪い!!
ラウルに彼女を返すことが怪人の愛の証なのだ。
そしてクリスティーヌもそれを受け取った。
だからラウルは、何があっても全人生をかけても彼女を幸せにしなくてはいけない。
なんて素晴らしい木村クリスティーヌ!!
演者によってこう芝居が変わるのか。
まさに私が「こうあってほしい」と思うクリスティーヌだった。
佐野&木村コンビ、私が観た中で最高の「オペラ座の怪人」である。
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