人とロボットの物語

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毘夷零

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2006.08.14
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「社長・・・大丈夫なの?」

久蔵に乗り込んだ社長と守君は田中達に追いつくために
道無き道を滑り降りていきました。
何度もバランスを崩す久蔵に守君はハラハラしていました。
守君の質問に答える余裕も無く真剣な表情で社長は久蔵を動かしていました。
守君も覚悟を決めて、しっかりとシートにしがみついていました。
やがて、林を抜けて道路に飛び出ると目の前を田中達の車が見えました。
「よし!追いついた。」

そして
「守君、そこのレバー引いてアンカーの発射準備してくれる?」
と言いました。
守君は言うとおりレバーを引くと目の前のモニターに照準が表示されました。
「後ろのトランク狙ってアンカーを打ち込んで。」
「了解!」
守君は標準を田中達の車に合わせて発射のボタンを押しました。
バシュ!!
空気圧で飛ばされたアンカーは見事に後ろのトランクに食い込みました。
「守君、踏ん張って!!」
社長は、そう言うと同時に久蔵を急停車させました。

フロントガラスに思い切りぶつかって気を失いました。
「やったぁ!!」
守君が言いました。
久蔵を田中達の車に近づけて、逃げられないようにしっかりと掴みました。
しばらくして遠くの方からパトカーのサイレンが聞こえてきました。

社長が作業場を出る時に警察に連絡を入れておいたのでした。
「ミッション終了!・・・だね。」
守君がニコニコして言いました。
「とにかく君が無事で良かった・・・」
社長も笑顔で言いました。

やがて到着した警官達に田中達は連行されました。
一応、社長と守君も事情聴取の為、久蔵に乗って一緒に警察署について行きました。

その後また、久蔵の事がマスコミに取り上げられましたが
やはり社長は一切の取材を拒否しました。
マスコミだけではなく色々な企業から久蔵の問い合わせが来ました。
社長は、その一つ一つの問い合わせに対して慎重に対応して、今回みたいな事が
二度と起きないように気をつけていました。

そして、ある企業が社長の技術力を評価して、ぜひとも自分の企業と共同研究を
してレスキューロボットの開発、製造して欲しいと言う話しがきました。
社長も自分なりに色々と調べましたが、本当にレスキューロボットの開発を
検討している企業だと分かり、その話しを受ける事にしました。

一週間ほど社長はその為の打ち合わせに東京に行ってしまいました。
守君は社長の居ない作業場に来ていました。
守君なりに今回の話しが良い話しだって理解してました。
そして・・・たぶん社長はここから出て行くだろうと思っていました。
こんな田舎に居るよりは東京で研究した方が良いに決まっていると・・・
守君は久蔵に乗り込んでシートに座ると涙がこぼれてきました。
どうしても涙を止める事は出来ませんでした。

一週間して社長は戻ってきました。
そして作業場の整理を始めました。
守君はいつものように作業場にやってきました。
「こんにちわぁ!!」
守君は元気に挨拶しました。
そうしないとまた涙がこぼれそうになりました。
作業場を整理している社長を見て、やはり出て行くのだと思いました。
「やぁ・・・守君・・・」
社長は相変わらず暢気に言いました。
「社長・・・やっぱり出て行くの?」
守君は恐る恐る聞いた。
「出て行く?どこへ??」
「だって・・・東京へ行くんでしょ。だから片付けやってるでしょ。」
「あぁ、大丈夫。僕は出て行かないよ。」
「え?!本当に?」
「研究はここで続ける事を条件に今回の話しを決めたんだ。そのかわり・・」
「そのかわり?」
「その会社から一人研究員が来るのが向こうの条件なんだ。」
「そっか・・・良かった!!」
「なんだい、僕が出て行くと思ったのか?」
「だって・・・その方が・・・こんな田舎に居るより・・・・」
「僕はここが好きなんだよ!!そして久蔵の故郷なんだよ!!」
「そっか!!社長、僕も勉強してロボット学者になる!!」
「それじゃ、守君が僕の後を継いでくれるまでは出て行かないよ!!」
「ほんと!?約束だよ!!」
「もちろんさ。」

こうして社長の会社はこの村に残る事になりました。
この後の社長は言うと、相変わらず農機具の修理と簡単な案山子ロボットなんかを作り、
その合間に新しい久蔵の開発をしていました。
「社長。今度の新しい久蔵は二足歩行ロボットにしてね。」
守君も相変わらず作業場に遊びに来ていました。
そんなのんびりした状況に、出向してきた研究員はイライラしていました。
さてさて、新しい久蔵はいつ完成するのでしょうか?
それはまたの機会に・・・


                     Fin





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Last updated  2006.08.14 12:52:17
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