閉じこもり生活のアドバイス、宇宙飛行士から潜水艦艦長まで 新型コロナ対策
【AFP=時事】世界の数十億人が突如、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)拡大を抑える闘いの一環として、人との接触を避ける戦略に取り組むことになった。実は宇宙飛行士から潜水艦の艦長まで、仕事で閉じこもり生活を送ることに慣れている人々がいる。そうした人々に、家に引きこもる数週間、健康を保ちストレスを回避する実践的なアドバイスをもらった。
■日課を持つ
国際宇宙ステーション(ISS)で約1年間を過ごしたことのある米航空宇宙局(NASA)の元宇宙飛行士スコット・ケリー(Scott Kelly)氏は、心構えが極めて重要だとAFPに語った。「いつになったら終わるのか分からない中で、予想通りになるものが必要だ」
「この状況は長期に及ぶかもしれないが、必要な心構えはこれだ。『宇宙で1年間暮らすのと同じようなことだ。 とにかく日課を決めること。決まった時間に起き、決まった時間に眠ることだ 』」
さらに家にこもっている間は、心身の健康のために運動することが鍵だと同氏は強調する。「 運動を日課とすることも必要だ。外に出られず庭もないなら、日よけを外して窓を開け、外に顔を出す。それを日課の一部とすることだ 」
■使命を見つける
原子力潜水艦の元艦長ビンセント・ラルノーディエッフェル(Vincent Larnaudie-Eiffel)氏にとって、閉じ込められた空間の中で仕事をやり遂げるために必要なのは、 自分なりの「使命」を見つけ、それに注力することだ 。「自宅のアパートに閉じこもる 私たち全員が、他の人々を守り、医療関係者を守り、そしてこの厳しい試練を成功裏に乗り切るという使命を共有している 」
同氏もまた、毎日やることを決めて、それをしっかり守ることが大事だと強調した。「後退してはいけない…猶予期間だと思って、何かをやり遂げることだ」
■新しいことを始める
海洋冒険家のイザベル・オティシエ(Isabelle Autissier)氏は、女性として初めて単独でヨット世界一周を果たした。その間、オティシエ氏は多くの時間を独りで過ごしたが、決して寂しいとは感じなかった。なぜならば「 独りきりでいることを、自分で選んだから 」だという。
家にこもっている人々へのオティシエ氏の助言は、 その時間を使って「新しいことをすること、読書やいつもと違う音楽を聴くこと、日記を書くこと、写真を撮ること、絵を始めること 」などだ。そして何よりも大事なことは、先のことを考え過ぎないことだという。
オティシエ氏が海に出て、独りで過ごす時間の予想もできない長さに直面したとき、「最初にしたことは 日数を数えるのをやめたこと 」だという。
■ やる気がうせるのは当たり前
独ブレーメン大学(University of Bremen)の宇宙生物学者シプリアン・ベルシュ(Cyprien Verseux)氏は、火星探査を想定した実験で5人のボランティアと1年間、小さなドーム内で暮らした。
「 やる気がうせて生産性が落ちるのは当たり前だ 」とベルシュ氏。「 それは弱さの表れではない。問題を抱えているところに、さらに 罪の意識を加えてはならない 」
同氏が勧めるのは 一つないし二つの活動を選び、それに一生懸命、打ち込むことだ。「それからスポーツだ。ダンベルやヨガ、ズンバなど、空間があまりなくても体調を保つ方法はある 」
■人とのやりとりを欠かさない
ベルギー人の元宇宙飛行士フランク・ディベナ(Frank De Winne)氏は、2009年に欧州人として初めてISSを指揮した。ディベナ氏によると、人と互いに連絡を保つことは、たとえネット上の通信に限られるとしても、極めて重要だ。
今は地上で隔離下にある同氏は、毎日必ず同じ時間に高齢の母親とビデオ通話をしている。「それで母は僕の顔を見ることができる。さらに僕から(ビデオ通話の)呼び出しが来るのが分かっているから、母は計画を立てることもできる」 【翻訳編集】 AFPBB News
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