「邦人保護の観点からも極めて重要な問題だ」――。 新型肺炎問題で日本人がインドネシアで差別的な扱いを受けたとして、茂木敏充外相は3月18日の衆院外務委員会で、こう遺憾を表明した。
同委員会では、外務省の水嶋光一領事局長も、 インドネシアやドイツなどの国で「日本人への差別的な扱いが生じている」との懸念を表明。茂木外相は「再発防止の要請を行った」と政府や関係団体に抗議したことを明らかにした。
コロナ騒動に端を発した日本人差別は、外交問題にも発展している。とくにインドネシアの場合は、国家元首が筆頭となって、その一因を招いた 。長年、インドネシアにはODA(政府開発援助)などの形で巨額の血税が投入されてきただけに、日本政府としては、国民を納得させるだけの相当な対処が求められているだろう。
何より私が問題視するのは、インドネシア政府ならびにジョコウィ大統領は、意図的に日本人に濡れ衣を着せようとしていた節がある点だ。
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大統領がついていた“ウソ”
日本では報道されていないが、インドネシア最大の英字紙「ジャカルタ・ポスト」は、3月13 日付オンライン記事で
『“政府は国民をパニックに陥れたくなかったからだ”――ジョコウィ大統領 新型肺炎の情報隠蔽で弁明』と報じた。
コロナに関する情報隠蔽を大統領が認めたという、衝撃的な内容だった。
これはインドネシア国内の感染者急拡大を記者に問われ、大統領が明かしたもの。「これまで(3月12日まで)新型肺炎に関する明白な情報を、あえて、開示してこなかった」「それは国民をパニックにさせたくなかったからだ」と語ったという。英紙「テレグラフ」はこれを受け、「インドネシア大統領 新型肺炎情報で隠蔽認める」と大きく報じている。
ジョコウィ大統領の驚くべき告白は、 日本人から初の感染者が出たというのがフェイクニュースである ということを示唆している 。実際には、以前から国内の感染者の存在を政府は認識しており、母娘は“初”でなかったと、暗に認めたことになるからだ。であれば、そもそも「日本人から感染した」と大々的に発表する必要もなかった話である。
こうした姿勢の政府には、インドネシア国民だけではなく、国際社会からも疑いの目が向けられている。先般、WHO(国際保健機関)は「東南アジア諸国は新型肺炎への対策を積極的に早期に対応するよう」と懸念を表明した。名指しこそしていないものの、世界最大のイスラム教国家で世界4位の人口を抱えるインドネシアへの危惧である。
なにせ、インドネシアにおける感染拡大は深刻だ。3月27日現在で「感染者数893人、死者数87人」と死者数はアジアで中国、韓国に次ぎ、東南アジアでは最大。致死率では、イタリアとほぼ同じの、約10%となった。日によっては、致死率はイタリアを上回る。「感染者ゼロ」の国から「致死率世界一」の国になったということだ。
先週、インドネシア政府は「感染者数は60万から70万人にのぼる可能性がある」と発表しているが、これは楽観的すぎる見立てだ。国際的なシンクタンクなどは「2億6400万人の人口の半数に相当する人が感染している可能性がある」と警鐘を鳴らしている。ちなみに欧州の感染者数は10数万人だ。
実はインドネシアでは、以前からデング熱が大流行していた。年始から3月10日までの間だけでも、全土で1万7781人が感染し、104人が死亡したという(保健省発表)。これについて、インドネシア赤十字総裁で元副大統領のユスフ・カラ氏は「新型肺炎をデング熱と診断してきたのでは」との危惧を語っている(米ニューヨークタイムズ紙)。同様の分析はハーバード大学などの国際的医療機関も行っているから、実際には、把握されている以上に、インドネシアでコロナウィルスがすでに蔓延している可能性がある。
3月23日には、オーストラリアのABC国営放送が「インドネシア 新型コロナウイルスで致死率世界一 実態とかけ離れた感染者報告数」と報じ、「4月末までに感染は大拡大するだろう」という専門家の解説を紹介していた。インドネシアが「世界最大の感染国」になってしまう可能性は、非常に高いといえるのだ――。
末永恵(すえなが・めぐみ)
マレーシア在住ジャーナリスト。マレーシア外国特派員記者クラブに所属。米国留学(米政府奨学金取得)後、産経新聞社入社。東京本社外信部、経済部記者として経済産業省、外務省、農水省などの記者クラブなどに所属。その後、独立しフリージャーナリストに。取材活動のほか、大阪大学特任准教授、マラヤ大学客員教授も歴任。
週刊新潮WEB取材班編集
2020年3月30日 掲載
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新潮社
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■ 「コロナ」呼ばわりするいじめっ子と対峙
「コロナァァ! 中国人~!」と子どもたちが叫んでいるのが、スマホを通して筆者にも聞こえてくる。大丈夫か? 危害が及ぶのではないか? スマホの向こうで何が起きるのか筆者は気が気ではなかった。
永山さんはスマホの通話をオンにしたままだったので、一部始終がこちらにも聞こえてくる。すると意外な展開が始まった。彼女は子どもたちを相手に英語でこう切り出したのだ。
永山さん「『中国人、コロナ』だって? 私は中国人じゃないよ」
ドイツ人の少年「じゃあ、どこから来たの」
永山さん「日本の東京から来たんだよ」
ドイツ人の少年「同じじゃないか」
永山さん「同じじゃないよ、東京は日本の首都だよ。あなたたち、もっと勉強しなさい」
ドイツ人の少年「冗談だよ! 学校で女の子をからかってるのと同じだよ」
永山さん「冗談でも人に向かってコロナなんて言うのは失礼だし、言われた方は傷つくよ」
永山さんは毅然とした態度を貫いていた。そして彼女は、他愛もない会話を続けて子どもたちとの空気を柔らかいものに変えていった。
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治療薬は、新型コロナに感染して回復した人の血液の中にある血漿(けっしょう)成分から、抗体を含む「免疫グロブリン」と呼ばれる成分を抽出して精製する。抗体をほかの患者に投与することで、患者の免疫が活性化され、病状を軽減することが期待できる 。 全文
世界保健機関(WHO)の研究によると、高血圧、糖尿病、心血管疾患、慢性呼吸器疾患、癌などの慢性疾患を持つ人々は、COVID-19に関連する重度の疾患にかかり、死に至るリスクが最も高くなるという 。 全文
ウイルスの進化は偶然にも左右されるので、感染を防ぐ対策をしても万全ではない。強毒化してしまう可能性もゼロではない。ゼロではないけれど、それでも対策をすれば、ウイルスを弱毒化する可能性が高くなるのは確かだ。感染拡大を防ぐ対策はした方がよいのである 。 全文
兵庫県姫路市は27日、東京から23日に帰省した30代の女性が、新型コロナウイルスに感染したと発表した。市によると、女性は11日からにおいを感じにくくなっており、27日に検査を受けて陽性と判明。市の聞き取りに「(感染が確認されたプロ野球阪神の)藤浪晋太郎投手と同じ症状だったので心配になった」と話したという。
市によると、女性は飲食店の従業員。帰省翌日の24日に医療機関を受診したが嗅覚の状態が改善せず、27日に市の相談窓口に連絡して検査を受けた。
発表では、女性は新幹線を利用し、姫路駅からは自家用車で帰宅。実家で暮らす50代の母親に目立った症状はないという。市は今後、症状が出始めて以降の女性の行動などを詳しく調べる。
藤浪投手は検査を受ける際、ファンらへの啓発も念頭に実名での報道を望んでいた。 (小川 晶)
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