テープ起こし悶々~オコシストの縁側

テープ起こし悶々~オコシストの縁側

2006年05月22日
XML
カテゴリ: 表記
「障がい者」という表記、最近、自治体のサイトで多く見るようになってきました。
ググるとトップにくる「多摩市」の言い分は、「心のバリアフリー」なんだそうです。

ご存じの方はご存じかと思うのですが、私は障害当事者、当事者支援の立場にいます。
そして、日本語の変化に関しては、比較的、というか、かなり鷹揚な考え方を持っています。

けれどしかし、でもやっぱり。

この表記だけは、受け入れがたいんですね。
わざわざ「障がい者」と書いてしまう、いや、そう書くことで何かいいことをしているような錯覚を持てるとしたら、そりゃまあ、書いてるほうは気分がいいかもしれませんが。

実際問題として、視覚障害者の読み上げソフトは、これをちゃんと読めない場合もあるんです。
そんなもん、何が心のバリアフリーよ。


「ブラインドタッチ」が「タッチタイプ」と呼ばれるようにもなりましたね。
このあたりまでは、なかなかいいねと思ってたんです。
しかし、「養護教育」が「特別支援教育」になったり、どんどん言い換えが進むのを見ていて、ちょっと危惧してたんですが。

そういう流れがあるから、何かこれも処理したほうがよかろう、なんてことになったんでしょうかね。
古くは「障碍」という文字をあてていた「障害」ですが、ひらがな表記を推進する人の言い分は「害」は良くないイメージがあるからということです。
・・・ぉぃ、ちょっと待てよ。
ひらがなにすれば「がい虫」は、いい虫になるとでも言うのか。

「障がい者」という表記を見て、当事者がいい気分になるだろうと思った人がいて、それを支持する人もちょっと声が大きかったんでしょうか。
当事者団体などに、この表記を使ってるのを見かけることが少ないのも気になります。

当事者として言わせていただきますと。
こういう言葉の言い換えやなんかで、ナンカイイコトした、みたいな気分になってくれはるのは自由ですけど、本質的なところにぜんぜん行き着いてないでしょう?



うちにテープ起こしを依頼していただくと、そういう言い換えは(要望がなければ)いたしません。(笑)
外注さんでも、たまにそういう「配慮」をしてくださる方がいらっしゃるんですが、これは正直、まだ時期尚早だと思います。マスコミでもまだ、この表記を採用していないはずですから。

うちの事務所はもしかしたら、目を剥くような差別用語バリバリで会話してるかもしれません。
そんな「言葉だけの配慮なんか要らない」と思ってますもん。(笑)
余計な配慮のため、現実が覆い隠されてしまうくらいなら、はっきり「今、使われてる言葉」で言えばいい。


厳然と「不便」だったり「やりにくい」ことがある。
けったいな言い換えのために、世の中が障害者にとって「害」のない世界だと思われても困りますし(笑)

今のままの世の中で、不便を感じずに暮らすことに「障害」を感じる人ってのが、「障害者」という言葉の真意かもしれませんな。





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

最終更新日  2006年05月22日 18時12分23秒
コメント(4) | コメントを書く


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

© Rakuten Group, Inc.
X
Design a Mobile Website
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: