しぐれ茶屋おりくの部屋

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大坂の陣 その1♪



 誠にこの世は不思議で御座いますね。いつ如何なる理由があって、我々はこの世に生まれて来たンで御座いましょう。気がついて見れば、今の自分がある訳ですよネ。理屈じゃ簡単で、おとっつぁんとおかんが仲良くなってナニしたから、我々がこの世に生まれたことには間違いがありませんが、

このことは此処にお越しになっている皆様がよ~く御存知の筈で御座いますが・・・ さて、世間で言われるように、死んでもあの世があって永遠に魂が消えないンでしたら、あの世はこの世以上に人だらけで、交通事故も受験地獄ももっと凄いンじゃありませんでしょうか?死人だらけでしたら、幾ら広いあの世も、人また人で麻痺してしまうンじゃなかろうかと愚考するので御座います。

 それに何で御座います。霊を呼び寄せる呪術師が現に何人か居られるようですが、もしあの方達が本当に亡くなった人の霊を呼び寄せることができるンでしたら、歴史なンぞ、正確に復元解明できる訳でして、歴史学者なンてぇ仕事は要らなくなっちゃいますし、リストラされてしまわれるハメになります。<ポン 木打ちの音>


(呪術師)「エエイ!ハンダラハミティソアカ、ナンジャラカンジャラ、ハッ! う~む」
(霊)「熱い、熱い・・・・」
(聞き手)「何方(ドナタ)さまで御座いますか?」
(霊)「信長じゃ」
(聞き手)「あぁ、本能寺で光秀に討ち滅ぼされた桃山時代の信長公さんですかい?」
(霊)「いかにも、それがしが信長じゃ、首を渡す訳にもゆかず、寺に火を点けさせたが、熱いのなんの。こんなことなら、火を点けさせるんじゃ無かったわい」

(聞き手)「ちょっとお尋ねしても、よーござんすかい?」<(霊)「何なりと聞くが良い」
(聞き手)「中国の毛利に勝てる目前で、油断でもされたンでしょうか?」
(霊)「まっこと、あれは一生の不覚であった」
(聞き手)「それはお気の毒でしたネ。で何ですかい。貴方の後継ぎは太閤秀吉と読んで居られましたか?」

(霊)「そのことじゃ、わしは柴田勝家の方が絶対有利と思っとたンじゃが、あいつは昔から行動がのろい。運も秀吉に味方したンであろうよ」

てな訳で、義経がジンギス汗かどうかも直ぐ解明できる筈なンで御座います。

 そこで、このお噺は、輪廻という考え方に立って、死んだ人の魂が別の人に生まれ変わってゆく立場にたってですな、但し、生前の記憶が完全に消しこみされない侭(ママ)で新たに生まれ変わったら、一体どのようになるかというお噺なンで御座います。

仮に我々が輪廻現象というンですか、転生っていうンですか、何度も生まれ変わるとして、過去の記憶装置を着けたまま、生まれ変わった場合を想定した噺なンで御座います。

そこン処をよ~~く覚えて貰いませんとこの噺はぶち壊しになっちゃいますンで、まあ、宜しくお願い致します。そしてその記憶が、或る時点で急に甦るってぇ趣向で御座います。

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