2008年12月09日
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カテゴリ: 書評
 桜井由幾著「間引きと堕胎」。おおむね3点の論点が提起されているのかと、思う。
 「(間引きと堕胎の)方法」「その権力関係」「その要因」。

 命の誕生。望まれたものであるべきながら、それが余剰人口の創出であったり、望まれね妊娠であったりする。
 それを回避するために堕胎があるが、それでは母体に危険が多すぎる。母体の危険を回避するのが「間引き」といわれる産直後に事故死させる習慣とされる。

 多用な方法、特殊技能者の専業化。
 「浅草寺のホウズキ市は暮れの風物詩ながら、(ホウズキの果たしてきた役割を思うと)新吉原を近くに擁する寺で市が開かれた意味がうなづける」と、書く。

 18世紀、農村では人口増がとまるのだそうだ。代官所も藩も、農業従事者確保のために、堕胎・間引きを五人組を通じて制限する。妊娠が監視され、貧しいために殺す習慣には養育費援助をめざす。
 後世の「母子手帳」と「児童手当」は、このあたりに発生する、か。

 「その要因」では、農村は余剰労働削減の「口減らし」だが、都市では「不義密通」の始末と、対比する。


 事態の発生に当人はもとより家族、処置者が罰せられた近世。家族から当事者の責任、処罰対象に転じていったともする。
 間引き・堕胎の背後に、同数以上の男性もいる。多くは「生む性」たる母体の問題として表面化する。
 読むうちに背筋が冷える思い。(林玲子編『女性の近世』 中央公論社『日本の近世15』 1998年)





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最終更新日  2008年12月09日 06時37分47秒
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