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2010.10.21
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カテゴリ: 書籍


ジェネラル・ルージュの凱旋

ジェネラル・ルージュの凱旋



 俺を裁くことができるのは、俺の目の前に横たわる、患者という現実だけだ。

東城大学医学部附属病院ICU の速水部長は、一人でも多くの救急患者を救うため、ドクター・ヘリ導入の悲願を抱いていた。そんな彼に不正取引の疑惑が――。


前作「ナイチンゲールの沈黙」とまったく同じ時間、同じ場所で、違う事件が展開していくという設定には感心させられた。さまざまな人の想いが凝縮する病院の中では、あり得る話だ。


今回も、“昼行灯”こと田口医師や厚生労働省の変人役人・白鳥調査官が大活躍。さらに、白鳥の部下で現場の足を引っ張る姫宮嬢や、速水医師をめぐる恋物語と、シリーズを重ねる毎に登場人物の人間味が濃くなってきたように感じる。


著者の海堂尊は 1961 年千葉県生まれで、本業は医師。本作では、社会問題にもなっている「医療崩壊」問題を暗に織り込んでいるように感じられる。速水医師は、厚生労働省出身の病院事務長・三船に向かい「あんたたち官僚の血脈が目指す医療システムは、近い将来必ず崩壊する」と断じ、災害現場を飛び回るヘリに向かい「取材のヘリは飛ぶのに、ドクター・ヘリはどうして桜宮の空を飛ばないんだ」と叫ぶ。


これは、小説の中だけの話だろうか。


■メーカー/販売元 海堂尊=著/宝島社/2007年04月発行

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最終更新日  2010.10.21 19:40:11
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