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著者・編者 | 平朝彦=著 |
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出版情報 | アスキー・メディアワークス |
出版年月 | 2012年06月発行 |
わが国は、世界第62 位の広さの国土に、世界第10 位の人口がひしめいている。しかし、「内閣官房総合海洋政策本部によれば、日本の国土の最北端は択捉島カモイワッカ岬、最南端は沖ノ鳥島、最東端は南鳥島、最西端は与那国島西崎」(20 ページ)とのこと。このような海に囲まれ島嶼が多いため、排他的経済水域(EEZ)の面積は世界第6 位。国土の 12 倍の海を有する海洋大国である。著者は、「都市に生活している人は、普段、海の豊かさを実感することはほとんどないかもしれない。だが、海に関するデータを知れば知るほど、日本が本当に豊かな海に固まれていることに気づくのではないだろうか」(21 ページ)と記しているが、まさにその通りである。
海洋に眠るエネルギーとしては、メタンハイドレート、石油・天然ガス、鉱物資源としては、海底熱水鉱床、マンガン団塊、コバルト・リッチ・クラスト、レアアース資源泥などがある。陸上のレアアース鉱床にはウランやトリウムなどの放射性物質が混在しているが、南太平洋上で発見された「レアアース資源泥には、放射性物質がほとんど含まれていない」(151 ページ)という。「経済性や安全性の意味でも、開発しやすい資源といえる」。残念ながら公海上での発見であるが、「レアアース資源泥は日本の EEZ 内で発見できる可能性もあるという」(107 ページ)。
エネルギーと鉱物資源とでは、海底における埋蔵場所が異なる。「石油・天然ガスが存在しているのは、海底面下 2000m 以上という深い地面の底であるケースが多い」(140 ページ)が、「鉱物資源は、それほど深い土の中に埋まっているわけではない。深くても、せいぜい海底面下 100m程度。中にはマンガン団塊のように、海底面に半埋没した状態でごろごろ転がっている場合もある」という。「ただし水深は比較的深めだ。海底熱水鉱床は水深 700~2000m、コバルト・リッチ・クラストは水深 800~2400m、マンガン団塊に至つては水深 4000~6000m 付近に存在している」という。
本書は最後に、わが国が閉塞した経済状態から脱するために、「海洋立国」を目指すべきだと語る。「わが国が未来を託して開発すべきニューフロンティアは海洋だ」(185 ページ)と結ぶ。
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