ひとめあなたに…は私も何度も繰り返し読んでいます。
日本小説史上屈指のラブストーリーです。

SF作家としては新井素子より大原まり子の方が好みでした。


(2007.01.13 22:55:52)

  或る日の“ことのは”2

或る日の“ことのは”2

2007.01.12
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カテゴリ: 独り言



新井素子という作家のファンだった。

彼女の書く作品の特徴は一人称にある。

私は「わたし」を、素子流に「あたし」に変え、
その、所謂思春期の少女の心に心地良い、独特の作品(世界)にどっぷり浸かった。

・・・

その作品の中で、というものがある。

あと一週間で、地球に巨大な隕石が衝突する。 そして人類は滅亡する。

ニュースがそう告げ、人々が狂気や無気力に陥る中、

「ひとめあなた(彼)に会いたい」という気持ちを抑え切れず、
交通手段のない街を、歩き出す物語だ。


この中で彼女は、色々な女性の人生の側を通り過ぎる。

その中で印象に残っているのが・・・

浮気をしている夫を殺し、
それ(遺体)を「彼の好きな」シチューにしようとする女性「由利子」だ。

・・・
・・・
今、本が手元にないのでおぼろげな印象となったが、当時はかなりショッキングだった。
・・・描写が、かなり克明だからだ。

印象としては果敢なげで、華奢な「由利子」という女性が、包丁やのこぎりを使う様子が

私が、当時もう少し想像力があったなら、きっと気分が悪くなっただろう。

・・・本当に怖い。
・・・彼女は、実に楽しげに、自分の夫を料理してゆくのだ。


・・・それは彼女が、完全に「壊れて」いたから。

彼女は、「愛する夫の為に」シチューを作ったのだ・・・。



・・・「ひとめあなたに・・・」の中では、単なる挿入話的なこのストーリー、
何故思い出したのか、は、もう言うまでもない。

今世間を騒がしている、会社員の夫を殺害し、遺体をバラバラにした妻の事件があったから。


ワイドショーが挙って取り上げ、人々の憶測が飛び交う中、
何処が真実で、何がそうさせたか、など、解る筈もないだろう。

愛情から及んだ犯行、とは考え難いし、

・・・一週間後に、隕石が降って来るわけでもない。



人が人を殺す時は、恐らく既に何かが壊れているんだろう。

夫である人を殺し、その身体を切るという信じがたい行動も、抵抗なく行えるほどに。

でもきっと、誰彼構わず殺せる人ではないし、
又、その身体を切ることが出来る人でもないのだろう。



あの人は自分の所業で全てを失い、そして生きて行かなければならない・・・。

・・・自分の人生の螺旋を紐解きながら、

「由利子」のように、狂気に逃げ込むことも出来ずに・・・


・・・そんな事を、茫漠と考えた。










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最終更新日  2007.01.12 23:48:14
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ひとめあなたに・・・  
kilala3190  さん
私も読んだことあるよ。
っていうより、何度も熟読したと言うべきか・・・
(私も新井素子ファンなので。)

同じ、旦那を殺してバラバラにする行為でも、
「由利子」のほうには愛情が感じられるけれど、
今回の事件には、愛情が感じられないのは何故かなあ・・・
旦那をシチューにして食べちゃうことで、
文字通り自分と一体化しようとしたのと
ただ捨てるためにバラバラにしたのとの違い??

まあ、冷静にいえば、どっちもどっちなんだろうけどね。
(2007.01.13 01:52:32)

Re:狂気とは(01/12)  
amigo0025  さん
う!怖すぎるΣ( ̄_ ̄lll) (2007.01.13 10:20:37)

殺人  
神田龍馬  さん
同じような事件が頻発しとるもんな。
で、色んなマスコミも取り上げとる。

週刊誌なんかの電車中吊り広告には
かなり扇動的なコピーも書かれとる。

そんな文句みるたびに、人間の尊厳
ちゅうか生命に対する希薄さ感じる。

こげなワシでも、ちと哲学してしまう。


(2007.01.13 12:13:36)

Re:狂気とは(01/12)  
あちゅ9309  さん
殺意を持って殺しても、まだ満足出来ないからバラバラにするのでしょうか・・・。
ふと我に帰って「殺してしまった」とか「何て事をしてしまったんだ」とか思わないのでしょうね・・・それだけ憎しみの根が深いのかな☆
人間をバラバラに切るって相当時間もかかるし、体力も要りそうなのに。
壊れた心は癒す事できるけど、殺された人じゃもう戻って来ない・・・せめて後悔して一生償う気持ちに成ってもらいたいですね。 (2007.01.13 16:50:49)

Re:狂気とは(01/12)  
@mutuai  さん
ホンと最近は人殺し、しかも切り刻むのが多いですね。
今度は不二家とか食品関係に火が点きそうな予感です(^^;; (2007.01.13 18:36:52)

Re:狂気とは(01/12)  
食田飲太  さん

kilala3190さん  
ぺぺる9712  さん
kilala3190さん
>私も読んだことあるよ。
>っていうより、何度も熟読したと言うべきか・・・
>(私も新井素子ファンなので。)

おお、そうだったの! 知らなかったよ~!
私は、素子さんは「絶句」から入ったよ。(^^)

>同じ、旦那を殺してバラバラにする行為でも、
>「由利子」のほうには愛情が感じられるけれど、
>今回の事件には、愛情が感じられないのは何故かなあ・・・
>旦那をシチューにして食べちゃうことで、
>文字通り自分と一体化しようとしたのと
>ただ捨てるためにバラバラにしたのとの違い??

夫婦の間のことだから、何かしらの思いはあったんだろうけれど・・・。
外の人間には、どうしたって解らない事なのかもしれないね・・・。

>まあ、冷静にいえば、どっちもどっちなんだろうけどね。
-----

うん、そうだね。
「由利子さん」はフィクションの中だからこそ、存在し得るのであって、リアルだと、切り裂きジャックよりスキャンダラスだものね・・・。
  (2007.01.13 23:17:44)

amigo0025さん  
ぺぺる9712  さん
amigo0025さん
>う!怖すぎるΣ( ̄_ ̄lll)
-----

きゃー、ごめんなさい。 怖かったですかー。
(普通はそうですよね・・・。)
この頃、恐ろしい事件が多くて、滅入っちゃいます・・・。

(2007.01.13 23:19:17)

神田龍馬さん  
ぺぺる9712  さん
神田龍馬さん
>同じような事件が頻発しとるもんな。
>で、色んなマスコミも取り上げとる。

多いですね・・・陰惨な事件・・・。

>週刊誌なんかの電車中吊り広告には
>かなり扇動的なコピーも書かれとる。

売上を取る為に、プライドを捨てた三流誌は、
この頃、目に余るところがあるような気がします・・・。

>そんな文句みるたびに、人間の尊厳
>ちゅうか生命に対する希薄さ感じる。

事件が起こると、喜ぶ手合いの存在を疑ってしまいます・・・。

>こげなワシでも、ちと哲学してしまう。
-----

私、学生時代、「哲学」の教科が大の苦手だったんですけれど・・・。
今なら、「哲学」から、何か感じるところがあるでしょうか・・・。(^^; (2007.01.13 23:24:42)

あちゅ9309さん  
ぺぺる9712  さん
あちゅ9309さん
>殺意を持って殺しても、まだ満足出来ないからバラバラにするのでしょうか・・・。
>ふと我に帰って「殺してしまった」とか「何て事をしてしまったんだ」とか思わないのでしょうね・・・それだけ憎しみの根が深いのかな☆

何があったんでしょうね・・・。本当に外からは窺い知れない何かがあったんでしょうか。

>人間をバラバラに切るって相当時間もかかるし、体力も要りそうなのに。
>壊れた心は癒す事できるけど、殺された人じゃもう戻って来ない・・・せめて後悔して一生償う気持ちに成ってもらいたいですね。
-----

昔、本で、「魍魎」という言葉を知りました。
「境界」で、近付き過ぎると、向こう側へ引っ張り込まれてしまうという・・・。
悲しいことに、この加害者は、『向こう側』へ行って仕舞ったかのような気がします・・・
物言わぬ夫に対し、彼女が手を合わせる日が来るといいと思います。
それが出来た時、彼女は此方へ戻ってきたことになるのかもしれません・・・。
(2007.01.13 23:54:09)

@mutuaiさん  
ぺぺる9712  さん
@mutuaiさん
>ホンと最近は人殺し、しかも切り刻むのが多いですね。

どうも、今までの尺度で計れなくなってきたような気がしますねー。
皆、安易に壊れて、壊してしまう・・・。

>今度は不二家とか食品関係に火が点きそうな予感です(^^;;
-----

不二家・・・、いけませんねえ。
雪印の事件で、何を学んだんでしょうか。
ペコちゃんが泣きますね、本当に。
(2007.01.13 23:58:13)

食田飲太さん  
ぺぺる9712  さん
食田飲太さん
>ひとめあなたに…は私も何度も繰り返し読んでいます。
>日本小説史上屈指のラブストーリーです。

おおっ、食田さんも、素子さんのファンでありましたか!
しかもかなりな高得点・・・私ももう一度読み返してみよう・・・。

>SF作家としては新井素子より大原まり子の方が好みでした。
-----

残念ながら、私は、大原まり子さんの同期の火浦功に傾倒してしまったため、(するなよ(笑))
大原まり子さんは、一度読みたいと思いながら、
ずっと放置してきてしまったジャンルの方なのです・・・。
火浦功をSFにカウントしたら、食田さんは怒るかしら?(^^;
(2007.01.14 00:04:33)

Re:狂気とは(01/12)  
エル4616  さん
いま、現実に誰かがどこかで誰かに人生を勝手に終わらせようとしてるとしたら・・・。
その誰かは、何の権限があってそうするのだろう。
ナニサマなんだろう。

毎日ニュースでそう思っています。

自分のそんな狂気を殺したらいい。
(2007.01.15 22:51:19)

エル4616さん  
ぺぺる9712  さん
エル4616さん
>いま、現実に誰かがどこかで誰かに人生を勝手に終わらせようとしてるとしたら・・・。
>その誰かは、何の権限があってそうするのだろう。
>ナニサマなんだろう。

人が人を殺す時、もう、その人の権利や、生まれてきてからの歴史など念頭にないのでしょうか・・・。
既にその時点で壊れてる。

>毎日ニュースでそう思っています。

浅ましい殺人だらけです・・・。
どうして? みんな、小さくて、真っ白な魂としてこの世に生まれてきたんじゃないのかな・・・?

>自分のそんな狂気を殺したらいい。
-----

世の中には、不思議なことなどないといいます・・・。
世の中にはどうしようもないことって、あるのでしょうか。
人を殺してしまわなければならないほどに・・・。

隕石が落ちてきて、世界が、いや、自分の命が後7日間しかないとわかっても、
自分を見失わないでいたい。
そう思います・・・。
(2007.01.16 14:33:24)

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