或る日の“ことのは”2

或る日の“ことのは”2

2007.01.12
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カテゴリ: 独り言



新井素子という作家のファンだった。

彼女の書く作品の特徴は一人称にある。

私は「わたし」を、素子流に「あたし」に変え、
その、所謂思春期の少女の心に心地良い、独特の作品(世界)にどっぷり浸かった。

・・・

その作品の中で、というものがある。

あと一週間で、地球に巨大な隕石が衝突する。 そして人類は滅亡する。

ニュースがそう告げ、人々が狂気や無気力に陥る中、

「ひとめあなた(彼)に会いたい」という気持ちを抑え切れず、
交通手段のない街を、歩き出す物語だ。


この中で彼女は、色々な女性の人生の側を通り過ぎる。

その中で印象に残っているのが・・・

浮気をしている夫を殺し、
それ(遺体)を「彼の好きな」シチューにしようとする女性「由利子」だ。

・・・
・・・
今、本が手元にないのでおぼろげな印象となったが、当時はかなりショッキングだった。
・・・描写が、かなり克明だからだ。

印象としては果敢なげで、華奢な「由利子」という女性が、包丁やのこぎりを使う様子が

私が、当時もう少し想像力があったなら、きっと気分が悪くなっただろう。

・・・本当に怖い。
・・・彼女は、実に楽しげに、自分の夫を料理してゆくのだ。


・・・それは彼女が、完全に「壊れて」いたから。

彼女は、「愛する夫の為に」シチューを作ったのだ・・・。



・・・「ひとめあなたに・・・」の中では、単なる挿入話的なこのストーリー、
何故思い出したのか、は、もう言うまでもない。

今世間を騒がしている、会社員の夫を殺害し、遺体をバラバラにした妻の事件があったから。


ワイドショーが挙って取り上げ、人々の憶測が飛び交う中、
何処が真実で、何がそうさせたか、など、解る筈もないだろう。

愛情から及んだ犯行、とは考え難いし、

・・・一週間後に、隕石が降って来るわけでもない。



人が人を殺す時は、恐らく既に何かが壊れているんだろう。

夫である人を殺し、その身体を切るという信じがたい行動も、抵抗なく行えるほどに。

でもきっと、誰彼構わず殺せる人ではないし、
又、その身体を切ることが出来る人でもないのだろう。



あの人は自分の所業で全てを失い、そして生きて行かなければならない・・・。

・・・自分の人生の螺旋を紐解きながら、

「由利子」のように、狂気に逃げ込むことも出来ずに・・・


・・・そんな事を、茫漠と考えた。










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最終更新日  2007.01.12 23:48:14
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