或る日の“ことのは”2

或る日の“ことのは”2

2007.02.06
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カテゴリ: 独り言




久し振りに実家に電話したら、出てきた父が、突然言った。

仰天して、どういうことか、と問いただすと、「今(電話)代わる。」

代わる?・・・お母さんそこに居るの? 入院とかしてないの?

出てきた母は、全く普通の声で、「あら、久し振りね、どうしていたの?」

私:「そりゃ私の台詞だよ! 喀血したって本当なの?!」



・・・

母は、数年前にレントゲンを撮った際、肺に影が写った。
しかし原因不明のまま、去年の秋、検査入院をした際、初めてそれが菌である事が判った。


私たちは日常的に、それを呼吸と共に取り込んでしまう訳だが、
歳をとり、免疫力が落ちると、
取り込んでしまった雑菌が、そのまま体内に居ついてしまうことがあるらしい。 

結核の親戚のようなもの、だという。(感染性は無い)

現代医学に於いて、治療の方法がないのだという。

傷ついた肺から少量ずつ出血があるのだろう、
それが溜まった時、吐いてしまう事があると聞かされていたそうだ。

理由が判っていたので、落ち着いていられたらしい。

しかし、治療法のない病気だと聞かされて、安心できたものではない。

喀血した母を見て、父はかなり動揺したらしい。

「もっと叱ってやってくれ! お母さんが薬を飲もうとしない!」


処方した時、「飲みますか?」と、母に尋ねたらしい。
「飲みますか?」という事は、飲まなくても良い薬なんじゃないのか、と思ったようだ。
そもそも、肺に出来てしまった影を消す為の薬はない・・・。

父が私にこんなことを言うなんて、と少し驚きながら、
母には、取り敢えず処方された薬はきっちり飲むように、と厳しく伝えた。






斉藤隆介、だったと思う。

彼の書いたものに、胸に鬼が棲む男の話があった。

一人は、若いうちから鬼に入られて、身体が弱くなったが、
弱くても鬼共々生き、長生き出来た男。

一人は、体力あり、病もせず、元気一杯だったのに、
ある日大きな鬼に体内に入られて、若くしていっぺんに死んでしまった男。

病を得て、怯えて泣く幼子を慰める為に、
じさまが話して聞かせる昔話、というスタイルだったと思う。
・・・今は手元に本が無いので、タイトルが判らない。

母の話を聞いたとき、唐突にこの話が思い浮かんだ。


***


治らないと言うことは、共にあるしかないということ。
酷くなったり、というような場合、一体どんなことが起こるのだろうか、
予想も付かず、不安だ。

しかし、その不安を、内心どうであれ、おくびに出さない母を見ていると、
周囲が怯えているのは、全くナンセンスだ。



・・・今の母を見ていると、体内にそんなものがあるなんて想像も出来ない。

いつもどおりの元気な母だ。

実感が湧かないし、ともすれば忘れてしまいそうになる。

・・・今はそれで良いのかもしれない。


いいや、考えない。


取り敢えずは、更に一層出不精になってしまった両親を、
何とか連れ出すようにしないと・・・。


・・・
だからさ、お父さん、落ち着いてよね。^^









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最終更新日  2007.02.06 23:26:06
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