或る日の“ことのは”2

或る日の“ことのは”2

2007.05.16
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カテゴリ: HATE




非常警報ブザーが響き渡っていた。



歩を進めると、そこには横たわった人と、それを介抱している人がいて、

階段を駅員が駆け上がってくるのが見えた。


ホームの袖ギリギリ20センチほどのところに足を置いた状態で横たえられていた為、

そのまま電車がホームに入るのは危険と判断され、
ホームに入る100メートルほど前で電車は止められていた。


それを説明する駅員に、
『何を言うとんじゃ、おっさん』と、食って掛かっていた男性。


見ていて、実に美しいものではなかった。



救急隊員が到着した頃には、倒れていた男性はホームのベンチに座れるようになっていた。

・・・私は電車に乗って、その場を離れた。


***


目撃したものにすっかり意気消沈し、10分ほども経った頃、
停車した駅で、今度は車内に車掌のアナウンスが響き渡った。


『お客様にお知らせいたします。 ただ今車内に於きまして、迷惑行為が発生いたしました。

つきましては、当駅員に引継ぎを行っております為、電車の発車を遅らせております。
何卒ご理解頂きますよう、宜しくお願い致します。』


アナウンスは発車までに3回繰り返され、私は、その状況を色々考えて、
更に意気消沈することとなった。





ようやっと自分の降車する駅に着き、駅の改札を通ろうとすると、

私のすぐ前を歩いていた、生意気そうなヤンキーが、持っていた切符を自動改札に挿し込み、

ブザーが鳴って、同時に行く手を阻む扉が閉まる寸前に、

身を翻し、見るも鮮やかに改札を通過した。

呆気にとられた私の前で、自動改札からは「精算して下さい」の警告表示と、


・・・当然、私は通れない。 

駅員は窓口業務が忙しくて来ることは出来ない。

・・・ヤンキーは、振り返りもしなかった。



***



世の中に「蹴りたい背中」があるとすれば、

私にとってのそれは、その時、改札で見送った背中だった。











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最終更新日  2007.05.17 09:20:36
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