或る日の“ことのは”2

或る日の“ことのは”2

2018.06.11
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母の病気が見つかった時、
最初からかなり治療が難しく、進行すると大変な病だと解っていたつもりだった。
だけど、『大変なことになるいつか』から、目を逸らした結果、
「明日は今日の続き」が、突然断ち切られることにより、激しい後悔をすることになった。

当時は、病気になられた方の体験談や、実録が無いかと必死で探したけれど、
殆ど見つからなかった。
だから、母が亡くなるまでの数か月を、私と同じ立場の誰かの参考になれば、と
なんとか文章にしたいと思うのだけれど、 進まない。

とはいうものの、病状がとても速く進み、
他の病の併発、認知機能の衰え、寝たきり、転倒骨折、介護認定、入院、と
半年間で怒涛のように起きたことを考えると、
例えば、他の方たちが私の体験談を読んだところで、
車椅子を早く導入すべきであるとか、
もっと別の医者にかかるべきであるとか、
そういう教訓に出来ようはずもなく。
出来ないだろう。)

私が書き起こすことに意味があるのだろうか、とも考える。




・・・

今は元気な父も、私の死ぬまで存在する訳ではない。
なら、例え許さなくても、後悔のない別れの準備をするべきではないのか、
との意見は分かるのだが、
怒鳴って自分の意を通そうとする尊大な態度、都合の良い嘘、誤魔化しの数々を、
少なくとも今は許すわけにはいかない。
それが認知機能の衰えによるものだと解っていても。
あの人は、他人に謝るということをしない。
謝ったら負けだと思っているようだ。
今度は私の番だ。
謝ってもらおうと思わないが、
起こったことを無かったことになど出来ない。
私は心底憎んでいる。
入院したりでもしたら、嫌がる大部屋へ入れ、水を欲しがったら、コップに湯を入れてやる。


・・・だけど、
母が居なくなり、父が独りになった家で寂しがっているだろう、と思うと、
怒りの行き場がなくなってゆく気がする。


・・・少なくとも今はまだ、怒りを抱えていたい。





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最終更新日  2018.06.12 14:54:03
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