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Sep 19, 2005
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カテゴリ: カテゴリ未分類
ワクチンに関する問題点というのは、人も動物も等しく、
その病気が身近なものでない時はワクチンの副作用こそが最も重要な問題であり、その病気が流行している時はワクチン接種の有無こそが最も重要な問題である。
と言うことではないでしょうか。
ちょっと判りにくい表現かも知れませんが、感染の危険が明確でない限りは無闇なワクチネーションは勧めるべきではないけれど、感染と副作用の双方のリスクを比べた時、どちらがより重要な状況かをきちんと判断していく必要があると思います。
狂犬病については、もしも発症した場合の社会に及ぼす影響の重大さゆえに、現在の日本の状況下では決して飼い主さんの良心に一任させて良いものではないし、獣医師の裁量でその是非を決めて良いものでもなく、病院の診察室での問題に留めずペットに関心のない人も含めて社会全体が取り組むべき問題だと思います。
その中で私達獣医師は、現状の臨床レベルではいかに副作用のリスクを減らせるかを十分に検討しなければいけないし、同時により安全なワクチンや接種方法の開発やワクチン以外の防疫手段の充実を、一人一人が関係機関に働きかけながら大きな運動にしていけるように、取り組んでいけたらと思います。

ところで、私には十分な資料がなく判断ができませんでしたが、在日米軍基地の中での検疫ってどうなってるんでしょうね?
狂犬病根絶国ではあるけれど、その体内に狂犬病発症国を抱え込んでいる日本の特殊事情について、その防疫体制がどの程度のレベルにあるのかご存知の方がいらっしゃったら、その情報元などを是非とも教えて頂きたいです。

また実際の接種方法についても、例えばアメリカの動物病院協会(AAHA)の研究報告に、初年度と次年度のワクチンを済ませた後は3年ごとの予防接種でも毎年予防接種した場合と、その予防効果は変わらないという報告があって、アメリカでの予防接種率が70%を超える環境にあるのに対して、日本では接種率が最も高い狂犬病でさえ50%程度、その他の予防接種率は20~30%と極めて低いという状況の相違や、そもそもこの報告に経時的な抗体価の推移に関するデータなど、予防効果が変わらないとする根拠になる情報に不備な点はありますが、少なくとも毎年○月△日に打たなければいけないという事はなさそうです。


ただし、これが老齢になってくると、加齢と共に免疫を司る臓器である胸腺の働きが弱くなるというデータもありますから、人間でいう所の子供とお年寄りは気をつけましょう。という事になるようです。

ただしこれらの伝染病は、自分は気をつけていてもペットホテルなどに預ける時、そこに預けられている他の子達がどういった経緯を辿ってきたか判りませんし、ましてや預け先が動物病院と言う事になると、(獣医の私が言うのもアレですが・・)元々そういう病気の子達が集まる場所でもありますから、やはり事前に十分な免疫力を獲得させておく必要があります。

しかし一方でワクチンの副作用は、場合によっては死亡する事もある深刻な問題です。
アナフィラキシー・ショックでペットを死亡させた経験は、幸運な事に私にはありませんが、ワクチンを打った後に顔が腫れたり(ムーンフェイス:特にミニチュアダックスに多いように思います)体調を崩す事は年に何度か経験しています。
ワクチンに際しては可能な限り細かい健康診断を行って、気になるところがあれば予防接種を見合わせるようにしていますが、それでも様々な副作用が起きてしまいます。

現在のアメリカでは、すでに初年度(仔犬・仔猫の場合はここで2~3回)と次年度のワクチンのあとは3年ごとに打つというプログラムがスタンダードになっていますが、これはワクチンによる副作用のリスクと感染のリスクを天秤にかけた結果だと思われます。
未だ病原体に広く汚染されている日本では、例えば体調不良や様々な環境ストレスなどのせいで免疫力を維持できていない子がいたとして、3年ごとの予防接種でその間は放っておいても、はたして本当に安全なのか、不安があります。
例えば家のすぐ外に顔をグチャグチャにした猫達が普通にいるわけで、そもそもワクチンを毎年打って高い免疫力を維持していても、体調や年齢次第では軽い症状ながら発病してしまう現状では、私にはとてもじゃありませんが「3年ごとで100%平気です」と太鼓判は押せません。
毎年のワクチンの代わりに抗体価検査を実施して免疫力をモニターしながら、効果が薄れてきたら接種するようなプログラムを浸透させれれば良いかも知れませんね。
抗体価検査ではワクチン接種よりも高額な費用がかかる上に、ウィルスの種類によっては、それがワクチンによるものなのか自然感染によるものなのか(発病の疑い)の判断が難しいものもありますが。

副作用によるリスクをできるだけ軽減・回避するためには、

・できるだけ午前中など来院数があまり多くない時間帯を選び(ペットが待合室などで無用に興奮するのを避けるため)、接種後万が一何か異常を発見してもすぐに病院に連絡を取って対処してもらえるようにしておく。
・接種後はまっすぐ帰宅して、ワクチンを打った上に慣れない病院で疲れているペットを十分に休ませ、2~3日は安静にして何か異常がないかをよく観察する。
 午前中にワクチンを打って、その日の夜になって体調が悪いと連絡をもらう事がありますが、ワクチンの後ペットを連れたまま買い物に行ったり、どこかに一緒に出かけているケースがよくあります。
・ワクチンの副作用の主な原因は抗原そのものよりも溶液中に含まれるその他の成分に由来するものが多いという事もわかってきているので、もしも過去に、ワクチンで何かしら副作用が起こった経験がある子の場合は、ワクチンの証明書を参考にして同じメーカーのワクチンを打たない。
 (メーカーごとにワクチンの溶液が違うので、溶液由来の副作用を回避できる可能性があるため)


ワクチンを打っていても、ウィルスには「感染」します。
ただ、免疫力が強化されているためにウィルスが増殖できず、「発病」しないまま身体が駆除しているだけです。
なので、ワクチンを打っていても体調不良だったり、思ったほど免疫力を確保できていなかったりすると、感染したウィルスの増殖を許してしまい、発病する可能性があります。
ワクチンは決してウィルスを寄せ付けないバリアーではないという事です。





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Last updated  Sep 19, 2005 06:43:49 PM
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Re:ワクチン(09/19)  
ゆきもなか  さん
日本では猫に狂犬病のワクチンを打たないのは何故なのでしょう。
(あ、名前が狂犬病だから?・・まさかね(^^;)
外猫さんや、野良猫さんの多い環境でもし狂犬病が流行ったらと思うとぞっとします。
狂犬病に限らず、猫も人間もワクチン接種にはリスクがありますよね。
状況に応じて判断するには知識が必要で・・足り無すぎる私です;;
(Sep 20, 2005 12:35:57 AM)

Re[1]:ワクチン(09/19)  
Yasichi  さん
ゆきもなかさん

>日本では猫に狂犬病のワクチンを打たないのは何故なのでしょう。

現在狂犬病発症国のアメリカでは、放し飼いもなく管理の行き届いている犬よりもむしろ、自由に屋外に出て行ける猫からの人への感染が重要だという意見が出ていますね。
これは、実際に狂犬病が蔓延している国で、狂犬病撲滅よりも人間への感染ルートの規制をメインにしているからだと思います。

現在発症がない日本では、人間の予防よりも防疫(蔓延を防ぐ)をメインに政策を取っているようですが、これはお隣の韓国で、大々的な犬への予防接種政策(今の日本と同じ)で一度は狂犬病を撲滅しながら、その後予防接種率が低下したために、撲滅後8年目にして再発を許してしまい、現在も撲滅できずにいるという実例もあって、万が一感染例が出ても、その拡大を防ぐためには犬の予防接種率が大事だという考えの下に行われているようです。
(国内の犬の狂犬病予防接種率が80%あれば、万が一感染者が出ても蔓延を阻止できるそうです)

狂犬病がない国で、もしもの時に狂犬病の拡大を防ぐために犬への予防接種率を維持するか、
狂犬病が蔓延している国で、人への被害を減らすために犬以外の身近な動物(猫)も予防接種をするかの違いと言えそうです。

日本で猫への予防接種を義務付けていないのは、現在日本に狂犬病がないからですね。
-----
(Sep 20, 2005 01:32:55 AM)

Re[2]:ワクチン(09/19)  
Yasichi  さん
追記。
狂犬病に悩まされているお隣の韓国では、犬と猫への狂犬病予防接種を義務付けるだけでなく、撲滅を目指して狂犬病の発生源になっている野生動物への予防接種の手段も研究されているそうです。
なにやら、経口タイプの予防方法を開発しているそうですが、もしもこれが完成すればワクチンの副作用から開放される日が来るかもしれませんね。
(Sep 20, 2005 01:38:08 AM)

Re:ワクチン(09/19)  
Yasichi  さん
追記の追記。
私の認識が甘い部分があったので、その点についても書いておきますね。
猫へ狂犬病予防接種を行う事も、国内の狂犬病の蔓延防止効果をより高めるのではないかとの意見もありました。
韓国の例では犬の予防接種のみで撲滅に成功していて、日本では現在も発症0を維持していますが、現在の犬や猫の飼育状況が昔とは違う点などを考えると、一概に犬だけに予防接種を行っていれば安全とは言えないのかも知れません。
なんにせよ、防疫という観点から考えるなら、予防接種だけでなく入国してくる動物に対する検疫の強化も不可欠だと思います。 (Sep 21, 2005 01:13:37 AM)

Re[1]:ワクチン(09/19)  
ゆきもなか  さん
Yasichiさん
-----

丁寧に書いてくださってありがとうございます。
発症数ゼロの国に居ると意識薄いですが、ゼロの国が珍しいくらいですし、常に怖い病気だと認識していないとワクチンの摂取率も落ちたりするのかもですね。
一度入ってきたら、タヌキやキツネなども発症して撲滅が困難な状況になる恐れがありますから、入国時の検疫は重要だなと思います。

(Sep 21, 2005 03:45:50 PM)

Re:ワクチン(09/19)  
れおにゃん  さん
お久しぶりです
なかなか、コメントできずにごめんなさい
ワクチンを打つときは、余程気を付けないといけないということが文面でよくわかります
毎回とても勉強になることが、書かれているので楽しみにしています
でも、無理をしないで下さいね^^
いつもありがとうございます  (Oct 23, 2005 12:05:46 AM)

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