Bar UK Official HP & Blog(酒とPianoとエトセトラ)since 2004.11.

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2005/08/02
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カテゴリ: BAR
 法善寺横丁と言えば、大阪屈指の観光名所。織田作之助の小説「夫婦善哉」や故・藤島恒夫のヒット曲「月の法善寺横丁」の舞台としても有名だ。法善寺横丁

 名物の水掛け不動さん( 写真左 )の前には、きょうも、明日の幸せや商売繁盛を祈る人たちが絶えない。幅約3mの石畳の細い路地の両側に、料理屋がひしめき合い、大阪ミナミの、昔の風情を残す数少ない場所と言ってもいいだろう。

 そんな法善寺横丁のほぼ真ん中にあるスコッチ・バー「タロー」は、カウンター10席ほどのこじんまりとしたオーセンティックBARだ。「タロー」なんて親しみやすそうな名前だが、横丁きっての老舗(確か60年代からの…)。店名にもなっているマスターの松田太郎さんと、息子の満夫さんが営むミナミらしい、居心地のいいバーである。

 ところがご記憶かもしれないが、02年9月、法善寺横丁のすぐ北側にある道頓堀・旧「中座」で起きた火災のとばっちりで、「タロー」も含めて横丁の多くの店は類焼し、営業休止に追い込まれてしまった。さらに追い打ちをかけるように、03年4月にも原因不明の失火による火災もあった。タローのコースター

 最初の火災の原因は、大阪ガスの下請け工事会社の工事ミスだった。だから補償でトラブることは少なかったが、燃えてしまった店舗を元のように建て直すには、建築基準法や消防法などの様々な制約が立ちはだかった。横丁の風情(路地)を残しつつ、火災に強い街にするにはどうすればいいのか。

 大阪市は当初、消防車が入れるように横丁の道幅を広げ、両側はすべて耐火建築にするプランを示した。しかし、「道幅を広げたら、横丁の風情は失われてしまう」という批判が、市民や横丁を愛する有識者から相次いだ。( 写真右 =コースターにも茶目っ気あふれるタロー。マスターの似顔絵が…)。

法善寺横丁

 集合ビルの外観は、昔の雰囲気を生かしたデザインにし、まるで一軒、一軒別々のお店が並んでいるように、設計も工夫がされた。これで、かつての風情はかなりよみがえった。法善寺横丁を初めて訪れた観光客ががっかりするようなことは(昔の横丁とは比べられないにしても)、まずないだろうと思う。

 タローが再開したのは、ようやく昨年6月。僕は再開して間もなく店を訪れたが、火災直後はすっかり落ち込んでいたマスターと息子さんの笑顔を見て、ほんとに救われた思いがした( 写真左 =火災から立ち直った法善寺横丁)。

 お邪魔したのは開店直後の比較的早い時間だったが、すでに常連客が何人もカウンターに並び、「よかったなぁ…」と再開を一緒に喜んでいた。大阪のBARは「店と客との距離が近い」とよく言われるが、なかでもこの「タロー」は、とくに「距離の近い」店のような気がする。

 法善寺横丁がある限り、あの石畳の路地は残ってほしい。そして、スコッチ・バー「タロー」も、ずっと続いていってほしいと願うのは、僕だけではないだろう。皆さんも大阪においで際は、ぜひ「タロー」へお越しやす。

【スコッチバー・タロー】 大阪市中央区道頓堀1-7-10 電話06-6213-7488 日休 地下鉄御堂筋線なんば駅から徒歩5分(心斎橋駅からでも7、8分です) 午後4時開店&ノーチャージというのも嬉しい!





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Last updated  2005/08/03 02:09:45 AM コメント(14) | コメントを書く


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うらんかんろ

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Comments

汪(ワン) @ Re:Bar UK写真日記(74)/3月16日(金)(03/16) お久しぶりです。 お身体は引き続き大切に…

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