Bar UK Official HP & Blog(酒とPianoとエトセトラ)since 2004.11.

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2006/12/27
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カテゴリ: BAR
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 神戸を代表する老舗の酒場が、あす(28日)を最後に約40年の歴史を閉じる。

 三宮のBar「SAVOY(サヴォイ)」。オーナー・バーテンダーの小林省三さん(75)は、世界カクテルコンテストで優勝したほどの素晴らしい腕を持ち、関西だけでなく、日本全国のバーテンダーにその名を知られた方だ。Mr Kobayashi of Bar Savoy

 物腰柔らかく、気配りあふれる接客、そして時折放つジョークの数々。これぞバーテンダーの教科書のような人で、その立ち振る舞いがすべて「絵になる」素敵なプロだった( 写真左 =「マティーニ名人」で知られる小林さん。流れるような所作も美しい)。

 阪神大震災で受けた大きな被害(店は「震度7」のエリアにあった)も乗り越えて、店を再建した小林さんだったが、ことし奥様を亡くされてから、めっきり元気がなくなった。体調を崩し、店を休むことも多くなった。

 弟子のバーテンダーの皆さんたちや常連客らが励まし続けたが、それでも店に幕を引く決断をしたのは、一緒に店を切り回していた“戦友”のような奥様の存在を失ったことで、体力や気力が奪われてしまったのが大きく影響したのかもしれない。

 長年お世話になった小林さんに御礼を言いたくて、僕は昨夜(26日)、「SAVOY」にお邪魔した。小林さんは、店のフィナーレで連日たくさんの客の相手をしているためか、やや疲れた顔をしていた。Sun Expo

 僕は、やはり最後にもう一度、「SAVOY」のカウンターで、小林さんのマティーニが飲みたいと思って、お願いした。道連れで同行してくれた友人ももちろん、マティーニを頼んだ( 写真右 =2杯目にいただいた「Sun Expo」は70年大阪万博でのカクテルコンテストでのグランプリ作品!)

 「店がなくなってしまうなんて、ほんとに悲しいです。残念でなりません」と話しかけた僕に対して、小林さんは「いやぁ…これは僕の一事だから…」「もう、潮時だしね…」と言葉少なに語った。

 小林さんほどの人脈があれば、探せばいくらでも後継者は見つかっただろう。お弟子さんは何人も育って、「SAVOY」の名を付けた「2号店」もあるのに、小林さんはそういう選択はせず、一代限りで幕を引く決断をした(その決断に、赤の他人の僕がどうこう言うべきではないだろう)。

 小林さんはこの先の予定について、はっきりとは語らなかった。「元町でちょっと教える仕事もあるし…」とポロっと漏らしていた。店はなくなっても、またどこかで小林さんに会えるなら、とても嬉しいのだけれど…。Bar Savoy of Kobe

 店を去る時、僕は小林さんの手を両手でしっかり握って、「元気でね。また戻ってきてよね。待ってるから…」と伝えた。小林さんはただ、「ありがとう、ありがとう」と言って、笑顔で僕の手を握り返すだけだった。その笑顔を見て、僕はもう少しで泣きそうになった。

 こうして、老舗BARの灯がまた一つ消える。2代、3代と続くBARもあるが、バーテンダーに寿命がある以上、BARは永遠ではない。永遠であり続けるためには、その歴史を紡いでいってくれる後継者たちが必要だ。

 「SAVOY」が一代限りで消えることは、寂しすぎる、悲しすぎる現実だが、僕の記憶の中では、小林さんの思い出とともに、「SAVOY」は永遠に生き続ける( 写真左 =「SAVOY」の玄関。このプレートも見納めかと思うと悲しい)。

 「SAVOY」閉幕まで、きょうを含めてあと2日。もし、神戸の老舗BARの最後の輝きを見たいという方は、ぜひきょう、あすの2日間のうちにお越し下さい。

【Bar SAVOY】 神戸市中央区北長狭通2-1-11 玉廣ビル4F 電話078-331-2615 午後6時~午前0時


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うらんかんろ

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汪(ワン) @ Re:Bar UK写真日記(74)/3月16日(金)(03/16) お久しぶりです。 お身体は引き続き大切に…

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