Bar UK Official HP & Blog(酒とPianoとエトセトラ)since 2004.11.

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2007/01/07
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カテゴリ: BAR
 年の初め、ことしもいろんなバーテンダーの方々から年賀状をいただきました。なかには遠隔地にあるためなかなかお邪魔できないのに、毎年律儀に賀状を下さる方もいて、ほんとに恐縮します。この場を借りて心から御礼を申し上げます。Morita Bar

 さて、そんなバーテンダーからの年賀状を見ていて、思わず絶句した1枚がありました。僕がこの5、6年ほどずっと行きつけにしている大阪ミナミのバーのオーナー・バーテンダーさんからのものでした。

 そこには次のように記されていました。「さて、私事ではございますが、一身上の都合により、本年末をもちまして閉店し、故郷広島へ戻ることとなりました。短い間でしたが、皆様から頂いた沢山の思い出を大切に、新しい一歩を踏み出そうと思います」。

 僕は、頭をガァーンと殴られたような気分になりました。そのバーとは、ミナミの三津寺筋にある「モリタ・バー」( 写真左 )。そして賀状の主は、そのオーナー・バーテンダーである盛田秀朗(ひであき)さんでした。

 広島へ帰ってバーを開くのだろうか? 「新しい一歩」とは何だろう? 年賀状に描いてあった、のどかな田園地帯の小川で釣りをする男性の絵はなにか意味ありげにも思える。僕の頭には不安が駆けめぐりました。Mr.Morita

 僕はこれまで、自分のお気に入りの行きつけのBARで、あまり他人に荒らされたくない店については、ブログで紹介する際も、店名やバーテンダーさんの実名は出さず、原則としてイニシャルでしか書きませんでした。

 「モリタ・バー」もそういうBARの1つでした。僕がブログでしばしば、「大阪ミナミのBar『M』」として、バーテンダーの人柄や接客、サービス、居心地の良さをいつも誉めていた店が、他ならぬこの「モリタ・バー」でした( 写真右 =カクテルの技も素晴らしい盛田さん。とても「絵になるバーテンダー」です)。



 その「モリタ・バー」がなくなることは、僕にとって、片腕を引きちぎられるくらい辛(つら)い事実です。新春早々、5日から開店した「モリタ・バー」に僕は早速お邪魔して、盛田さんにじっくりお話を伺うことができました。

 結論から先に言うと、盛田さんは「バーテンダーをやめて、実家のある広島の三次(中国山地にある町です)に戻って、農業をする」と言うのです。ご本人は「親にせがまれていやいやというのではなく、昔から、いつか農業をやってみたいという夢があったのです。だから決して後ろ向きの決断ではないので…」と、明るい表情で語ってくれました。ボルガ・ボートマン

 バーテンダーとしては、NBA(日本バーテンダー協会)大阪中央支部きっての実力派の盛田さんですが、「バーテンダー仲間にも、ごく一部の親しい人にしか事前には決心を伝えなかった」と言います。年賀状で初めて彼の決断を知り、僕のように絶句しているバーテンダーさんもきっと多いに違いありません。

 もし僕が相談を受けたとしたら、もちろん、「考え直してくれよ。もったいないじゃないか」と強く翻意を促すでしょう。でも、この夜聞いた彼の固い決心を知ると、とても説得する自信はありません( 写真左 =今年最初につくってもらったカクテル「ボルガ・ボートマン」。酸味と甘味のバランスよくて、旨い!)。

 「モリタ・バー」が消えることは、この店をこよなく愛する僕にとっては、「断腸の思い」と言う以外、言葉が思い当たりません。他の常連客も同じ気持ちでしょう。唯一の救いは、盛田さんが「店は内装などはそのままの状態で買ってくれて、引き続きバーをやってくれる人を探します」と言ってくれたことかもしれません。

 「モリタ・バー」の名は消えても、盛田さんのスピリットはこの店の空間に残り、受け継がれていくでしょう。あと1年。僕はこの「モリタ・バー」にできる限り足を運び、名残を惜しみたいと思っています。

 皆様も大阪ミナミにお越しの際には、ぜひ、「モリタ・バー」に足を運び、盛田秀朗という素晴らしいバーテンダーの姿と至上の空間を脳裏に焼き付けていってください。

【モリタ・バー】 大阪市中央区心斎橋筋2丁目6-17 三津寺辻ビル4F 電話06-6211-1134 午後6時~午前1時(日祝は~午前零時) 月曜休

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Last updated  2007/01/07 12:08:43 AM コメント(11) | コメントを書く


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うらんかんろ

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Comments

汪(ワン) @ Re:Bar UK写真日記(74)/3月16日(金)(03/16) お久しぶりです。 お身体は引き続き大切に…

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