Bar UK Official HP & Blog(酒とPianoとエトセトラ)since 2004.11.

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2011/01/14
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カテゴリ: 各地のBAR巡り
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 10数年ぶりで島根県の松江市に出張でお邪魔してきた。元旦前後の大雪もあって市内はまだ雪化粧していたが、寒さの方は想像していたほどではなく、久しぶりに楽しいBAR巡りを楽しめた。以下は、今回巡った素敵な酒場のご報告。

s-IMG_8229.jpg 【Bar山小舎 (やまごや) 昭和32年(1957)創業の老舗。松江に行ったらここは外せないと以前から思っていた。前回の松江訪問の際はあいにくお邪魔できなかったので、楽しみにしていた。

 1軒家の店の中は、レンガと木をたっぷり使った温かい感じの内装で、まさに名峰の8、9合目くらいにある山小屋という雰囲気。半世紀を超す長い歴史に裏打ちされた風格は、銀座や大阪の老舗BARにも決して負けない。

 店内の半分ほどのスペースが吹き抜けになっているので、圧迫感がなくて心地よい。内階段を2階へ上がれば、団体向きのテーブル席もある。「先代が、西部劇に出てくるような酒場の造りにしたいと考えたのです」と現マスターのYさん。s-IMG_8230.jpg

 Yさんは創業者からみれば、孫にあたる三代目(40歳くらいかな?)だが、物腰の柔らかい落ち着いた接客や話しぶりは、老舗の看板を背負うに十分な落ち着きを漂わせている。

 地方のBARは都会と比べて、「お酒関連情報の格差」というハンディがある。「(松江は)どうしても情報や技術が5年、10年と遅れがちです。だから時々大阪へ出て、セミナーに参加したり、先輩のBARのカウンターに座ったりして勉強させてもらっています」とYマスター。s-IMG_8233.jpg

 インターネットがいくら発達しても、最新の商品や情報に接し、手に入れるのには、地方のBARには都会人にはわからない苦労がある。だからこそ、そんなハンディをある程度受け入れながら、地方に根ざして頑張っているBAR経営者やバーテンダーたちを、僕は心から応援したいと思う。

 「自分は三代目だが、いつかまったく血縁のない別の方がこの店の経営者となったとしても、この店はずっと続いていってほしい。だから私の代でつぶしたと言われないように頑張るつもりです」とYマスター。そうした心意気がある限り、この「山小舎」はこの松江の地でこれからもきっと愛されていくだろう。

s-IMG_8234.jpg 【Bar Lochside】 大阪で私が時々お邪魔するBARのマスターに、「今度、松江へ出張で行くんやけど、知り合いいる?」と聞いたら、「1軒だけ心あたりが…」と言って教えてもらったのがこの店。宍道湖畔から程近い、盛り場の一角に立地し、文字通り「Loch(湖)」の「Side(側=そば)」。都会のBARでは考えられないような、心憎いロケーションである。

 カウンター8席ほどの小さな酒場に入って驚いたのは、バックバーに並んだシングルモルトの品揃え。都会のBARにも負けないくらいの充実度。おそらくは松江で一番だろう。「別にモルトBARに特化してるつもりはないんですが…」というマスターのBさんはまだ30代半ばの若さ。s-IMG_8237.jpg

 店はまだオープンして2年というが、それ以前にも別の店で修業を積んだこともあって、Bさんの接客はとてもフレンドリーで、心地よい。「松江ではみんななかなかモルトを飲んでくれなくて、うちのお客さんも、半数はカクテルを頼まれますよ」と苦笑いも。

 Bさんも山小舎のYマスターと同様、時々大阪に出かけて「勉強のために」BAR巡りなどをするという。こうした、研究熱心な若いバーテンダーがいる限り、松江のバー業界のレベルも確実に上がっていくだろう。それは旅人にとっても嬉しいことは言うまでもない。願わくは、もう1時間くらい開店時刻(現状は午後8時)が早ければ言うことないんだが…(笑)

s-IMG_8238.jpg 【中村 Bar】 以前、いくつかの雑誌でこの店を紹介する記事を読んでいた。記事はもちろんだが、なによりも店内の写真を一目見て気に入った。カウンターのまん前に大きな窓が広がり、宍道湖へ流れ込む川(大橋川)や街並みが眺められる。素晴らしい夜景だ。以来、「松江へ行ったら必ず」と思い続けてきた。

 店はおしゃれなパステルカラーのビルの2階にある。オープンして8年。マスターは別の場所で20年ほど店を営み、現在のBARをオープンするのを機に移ったという(以前の店は今もあり、別の方に任せているとか)。

 大阪から久しぶりに出張で来た旨を伝え、つくっていただいたウオッカ・トニックを頂きながら、夜景をぼんやりと眺める。夜の川面をのんびりと泳ぐカモや白鳥を見ていると、一日の疲れが癒される。時間の流れが実にゆったりしている。

 川沿いをよく見ると、何隻かの小舟が係留されている。「あれは何の船ですか」と尋ねると、「ジジミ漁の舟なんです」とのこと。そう言えば、「有名な『宍道湖七珍』のなかにはシジミも入ってましたよね」と僕。「でも、七珍の中のアマサギなんて今じゃほとんど採れなくなりました。温暖化の影響だと言われています」とマスターは、とても気さくにあれこれと教えてくれるs-IMG_8241.jpg

 マスターはさらにこんな話もした。「今、島根県では救急医療が大問題になってるんです。出雲や県西部の大田、益田には高度救急病院がないんです。重篤患者は松江まで車で運ぶしかない。しかし今年のような大雪だったら道路も使えず、ヘリで運ぶしかない。都会の人は、田舎に無駄な高速道路ばかり造ってとよく言いますが、島根に住む人間には道路は命綱なんです。田舎には人は住むなということなんでしょうかねぇ…」。

 僕は地方に暮らす人たちの切実な声を聞きながら、「本当に必要なインフラ整備(公共事業)はやはりしなくては」と痛感する。真面目な話を続けていたら、いつの間にか松江の夜もすっかり更けてきた。路面が凍結しないうちにホテルへ帰らねばならない。僕は、マスターに美味しい酒への礼を言って、再訪を約して帰途にについた。

 松江のマスターの皆さん、心からの歓待を本当に有難うございました!

【Bar 山小舎】 島根県松江市東本町1-33 電話0852-21-1090 午後6時~午前零時 日休  【Bar Loch Side】 松江市伊勢宮町536-1 ビル1F 27-5526 午後8時~午前3時 第1・2・3日休  【中村 Bar】 松江市東本町4-8 27-5770 午後8時~午前1時 日祝休 ※いずれの店もとてもリーズナブル&良心的なお値段なので安心して訪れてください。



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うらんかんろ

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汪(ワン) @ Re:Bar UK写真日記(74)/3月16日(金)(03/16) お久しぶりです。 お身体は引き続き大切に…

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▼Bar UKでも愛用のBIRDYのグラスタオル。二度拭き不要でピカピカになる優れものです。値段は少々高めですが、値段に見合う価値有りです(Lサイズもありますが、ご家庭ではこのMサイズが使いやすいでしょう)。 ▼切り絵作家・成田一徹氏にとって「バー空間」と並び終生のテーマだったのは「故郷・神戸」。これはその集大成と言える本です(続編「新・神戸の残り香」もぜひ!)。
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