Bar UK Official HP & Blog(酒とPianoとエトセトラ)since 2004.11.

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2011/10/14
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 ヘレス・デ・ラ・フロンテーラ(以下、「ヘレス」と略す)滞在も残り少なくなってきた。午後からはバスでグラナダへ向かう。残された時間はあと3~4時間ほど。ホテルで朝食を済ませた僕らは早速、タクシーで旧市街へ出かける。s-IMG_9567.jpg

 とりあえず向かったのは、シェリーのボデガ(醸造所)「エミリオ・ルスタウ(Emilio Lustau)」( 写真左 )。ヘレスには、地元でつくられている観光地図に載っているだけでも20カ所ものボデガがある。「エミリオ・ルスタウ」は「ゴンザレス・ビアス」や「サンデマン」ほど有名ではないが、特別な存在感があるボデガだ。

 「エミリオ・ルスタウ」は1896年、「アルマセニスタ(個人で代々シェリーの樽を受け継ぎストックさせている人たちのこと)」の一人ドン・ホセ・ルイスベルデホによって設立された。現在、社名になっているエミリオ・ルスタウは義理の息子(娘婿)に当たる。s-IMG_9708.jpg

 「ルスタウ」社は、小規模な生産業者から優れた樽を買って瓶詰めし、自社のラベルにその造り手の名前や樽の数(「1/183」のように表示される)を表示して販売するという手法で知られる。大量生産のシェリー銘柄(多くは味を均一化させるためにブレンドする)と違い、樽一つひとつの個性的な味わいが楽しめる( 写真右 =「ルスタウ」の正面の門)。

 「ルスタウ」社がつくり出す「アルマセニスタ・シリーズ」は、熟成期間も通常の3年より長く、5年を費やす。熟成が終わった後は、軽い濾過のみで瓶詰めするため、樽本来のリッチな味わいに仕上がる。しかし、小規模生産の樽であるため、出荷本数が少ないのがシェリー好きには残念なところだ。s-IMG_9706.jpg

 僕らは「ルスタウ」のボデガに、オープン時刻の9時半に着いた。門は開いていたが、見学者らしき人は誰もいない。しばらくすると若い女性のスタッフが出てきた。彼女は「英語は話せますか?」とまず尋ねた。

 僕は「はい、話せます」と答え、そして彼女が次の言葉を発する前に、こう伝えた。「日本から来ました。午後にヘレスを離れるので時間がなくてボデガはあまり見学できないけれど、ギフト・ショップがあるなら、せめて記念品を買って帰りたい」と( 写真左 =「ルスタウ」のエントランス)。

 すると女性スタッフは「OK! じゃぁ、少し待っていて、準備ができたら呼びにくるから」と言って去った。そして10分ほどして再び現れた彼女に付いていく。貯蔵庫( 写真右下 )を通り、少し立ち止まって、見学する時間をくれる。そしてさらにいくつか場内の作業所を抜けて、最後にギフト・ショップに着いた。s-IMG_9716.jpg

 「ルスタウ」のショップ( 写真左下 )は美術館の展示室のような落ち着いた空間だった。しかし、はっきり言って、「ゴンザレス…」のようには充実していない、というか、商品数も少なくてわりと地味だ。ウイスキーの蒸留所やワインの醸造所等のショップでよく売っているようなキー・ホルダーやピン・バッジの類もない。

 見学時間が午前中だけという点でもわかるように、ビジターを積極的に受け入れるという風でもなく、あまり商売っ気はないのだろう。ただその代わり、個性的で素敵なグッズや一点物の高級そうな記念品(スカーフやネクタイなど)は、いくつかあった。s-IMG_9717.jpg

 僕は、この「ルスタウ」の存在を再認識させてくれた友人のために、お土産をいくつか購入(もちろん自分用にも!)。歓待してくれたその女性スタッフに、「いろいろとありがとう! また必ず来ます」と御礼を言ってボデガを後にした。s-IMG_9726.jpg

 「ルスタウ」を後にした僕らはもう一度、市中心部のアレナル広場付近へ。広場の近くにある酒屋兼雑貨屋をもう一度冷やかす。そしてシェリーをグラスに注ぐベネンシアのミニチュア(と言っても、40cmほどの長さがある)を購入( 写真右 =ヘレスはフラメンコ発祥の地。街には衣装屋さんも見かける)。

 店主のおやじは、昨日に続いてなので、「また来たのか」と言うような顔をしてニヤっと笑った(それにしても、ヘレスには観光客向けの特産品を集めた土産物販売センターのような場所はないのだろうか。僕らは気がつかなかっただけ?)。s-IMG_9742.jpg

 さて、ヘレス最後の訪問先は、ボデガ「サンデマン(Sandeman)」( 写真左 )。ここも大手ボデガの一つだ。サンデマンの名は知らなくても、トレードマークの「マントの男“ドン”のシルエット」が描かれたボトルはご存知の方も多いのではないか(ちなみに“ドン”が手に持っているのは赤いポート・ワインのグラス)。

 サンデマン社はシェリーだけでなく、ポート・ワインやマディラ・ワインも造っているが、ポートやマディラは、ポルトガルにあるボデガで生産しているという事実を、恥ずかしながら、今回初めて知った。s-IMG_9751.jpg

 すでにお気づきだろうが、サンデマンという名前からも分かるように、創業者はスペイン人ではない。ジョージ・サンデマンという名のスコットランド人が1790年にロンドンで創業した( 写真右 =「サンデマン」の見学受付。机とイスを置いただけの、のんびりした雰囲気)。

 「ゴンザレス・ビアス」でもそうだったが、シェリーを世界的な飲み物に発展させたのは、スペイン人ではなく英国人である。在住の日本人も「スペイン人は商売が下手だから、おいしいところはすぐ外国人に持っていかれてしまう」と言う。s-IMG_9747.jpg

 「サンデマン」社がヘレスとポルトガル北部のポルト(首都リスボンの北約300km)にボデガを設立したのは1810年。日本への進出も早く、30~40年前に日本で販売されていたシェリーの銘柄は、サンデマン社のものかゴンザレスの「ティオ・ペペ」くらい。ポート、マディラはほとんどサンデマン社の銘柄だったような記憶がある。

 さて、ボデガ「サンデマン」の正面の門に着いた僕らは、そこにいたスタッフらしい男性にも、ルスタウ訪問時と同じような言葉を伝える。すると男性スタッフは「(ショップは)あそこだよ」と指差して教えてくれた( 写真左 =サンデマンの樽貯蔵庫)。s-IMG_9744.jpg

 サンデマンのギフト・ショップ( 写真右 )はゴンザレス・ビアスほどではないにしても比較的充実している。グッズの種類も多い(ここではピン・バッジもキー・ホルダーも売っている)。

 しかし、展示されていたサンデマンのロゴの入ったシェリー・グラスを買おうとした時のこと。「これはシェリーのボトル(フル・サイズ)とのセット販売なので、グラスだけでは買えない」と愛想ない表情で言う女性スタッフ。s-IMG_9606.jpg

 日本なら、ロゴ入りグラスを単独で販売しない蒸留所・醸造所なんてあり得ないが、スペインではそういう常識は通じない。店員の愛想も、そうしたきめ細かいサービスも、何かが足りないような気がする( 写真左 =ヘレスのカフェ。滞在中、よくお世話になった)。

 スペインでまだ4日目だが、概して商店の店主やスタッフは不機嫌な顔をして、愛想も悪い人が多い。公立美術館のショップのスタッフですら態度が悪い。例外はホテルのスタッフの方々、ゴンザレスの案内ガイドのおじさん、ルスタウの女性スタッフくらいか(バルの店主やスタッフやタクシーの運転手は平均点くらいかなぁ)。これはなぜなんだろう。s-IMG_9732.jpg

 在住の日本人も「スペインは観光産業抜きにしては経済は成り立たない国」と言う。それなら、まず商店主やこうしたスタッフの教育から始めるべきだろう。観光客に粗末な扱いをしていたら、本当に国は破産するぞと言いたい。これはスペインを愛するが故の僕の苦言だ( 写真右 =ヘレスのスポーツ用具店のショー・ウインドウ。スペインではやはりメッシは人気者)。

 さて、いよいよヘレスを離れる時間が近づいてきた。僕らはボデガ「サンデマン」を後にして、歩いてホテルへ向かう。途中、宮殿のような建物の前に観光客らしき人だかりが出来ている場所があった。s-IMG_9758.jpg

 聞けば、「王立アンダルシア馬術学校」( 写真左 )という。ヘレスはカルトゥハーノという良馬の産地といい、ここでは騎手を養成しながら、観光客には馬術ショーを見せているという。馬にもさほど興味はないので、ここは前を通り過ぎるだけ。

 ホテルで預けていた荷物を受け取った僕らは、とても親切だったフロントのおじさんに「グラシアス ポル トド、ロエ パサード ムイ ビエン」(いろいろと有難う、とても楽しかったです)と最大級の御礼の言葉を伝えた。

 タクシーを呼んでもらい、昨日到着したRENFEのヘレス駅へ。長距離バスが発着するバスセンターは駅のすぐ隣にある(ちなみに、バスはスペイン語で「アウトブス(Autobus)」。日本ではちょっと言いにくい語感だ(笑))。午後1時発、セビージャ経由のバスで、いよいよアルハンブラの待つグラナダへ出発だ!


【グラナダ編<上>へ続く】

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うらんかんろ

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Comments

汪(ワン) @ Re:Bar UK写真日記(74)/3月16日(金)(03/16) お久しぶりです。 お身体は引き続き大切に…

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▼Bar UKでも愛用のBIRDYのグラスタオル。二度拭き不要でピカピカになる優れものです。値段は少々高めですが、値段に見合う価値有りです(Lサイズもありますが、ご家庭ではこのMサイズが使いやすいでしょう)。 ▼切り絵作家・成田一徹氏にとって「バー空間」と並び終生のテーマだったのは「故郷・神戸」。これはその集大成と言える本です(続編「新・神戸の残り香」もぜひ!)。
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