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2011/10/18
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 グラナダ2日目。いよいよ世界遺産「アルハンブラ宮殿」(Palacio de la Alhambra)である。朝御飯を早めに済ませて、タクシーでアルハンブラへ向かう。ホテルからは車で15分くらいの距離。8時半頃に着いたが意外や意外、まだ100人程度が並んでいるだけだった( 写真左 )。s-IMG_9862.jpg

 列に並んでいると9時頃には先頭に来た。僕らの入場チケットには9時30分と書いてあるが、入り口のおばさんに見せると、なぜかすぐに入れてくれた。この辺りのスペインという国のアバウトさがよく分からない。

 さて、アルハンブラの敷地は広大だ(長さ約750m、幅約200mも)。入り口で地図をくれたが、日本人には見にくく、建物の位置関係がいまいちよく分からない。でも、まぁガイドがいる団体客に付いていけばと、後を追う。s-IMG_9878.jpg

 アルハンブラ宮殿内部を紹介する前に、この宮殿についての基礎知識について簡単に触れておきたい。宮殿は、グラナダ市南東部のなだらかな丘に位置していて、ひと言で言えばイベリア半島をかつて支配したイスラム王国の象徴だ。

 宮殿と呼ばれるが、行ってみると実際は城塞都市に近く、宮殿内に住宅や官庁、モスク、学校、浴場、庭園、田畑などが備わっていた。「アルハンブラ」という名もアラビア語で「赤い城塞」の意。s-IMG_9873.jpg

 この地に最初に入り、建物(砦)をつくったのは8世紀にこの地に入ったイスラム教徒のムーア人。その後9世紀末のウマイヤ朝末期には、規模の大きい軍事要塞がこの地に造られた。

 さらに13世紀半ば~15世紀末にかけて、イベリア半島最後の王朝でもあるグラナダ王国・ナスル朝の時代に、大規模な宮殿がこの地に造られた。現在残る数多くの宮殿やさまざまな建物は、長い歳月をかけて造営、増築されていったものだ。s-IMG_9884.jpg

 しかし、イスラム人からイベリア半島を取り戻そうと立ち上がったキリスト教徒軍の攻勢で、1492年、グラナダはついに陥落。アルハンブラ宮殿もスペインのカトリック教徒の支配下となった( 写真右 =カルロス五世宮殿)。

 その後18世紀にいくつか改修・改築の手が加えられ、現在の宮殿の形につながっていく。すなわち、アルハンブラはイスラム文化を基盤に造られ、その後キリスト教徒が手を加えた建造物の複合体である。s-IMG_9922.jpg

 さて宮殿に入ると、まず北東部にある西洋風の庭園に導かれる。しかしそこは、アルハンブラのごく一部で、本当の見所は敷地内の西部に集まっている。庭園からは直接、西の方へ行けないのでいったん宮殿入り口付近に戻って、石橋を渡る。しばらく歩くと、宮殿内の国営ホテル「パラドール」も見える( 写真左 =ナスル朝・コマレス宮)。

 敷地内には野菜畑が結構多いのも面白い(ナスやトマトなどを栽培している!)。また、人慣れした野良猫も多い。あまりやせている様子はないので、きっとスタッフからエサを貰っているのだろう。宮殿内なら車は来ないので交通事故の心配もない。雨露をしのげる場所もいっぱいある。猫たちにとっては天国だろう。s-IMG_9920.jpg

 ようやく、ガイドブックなどで有名な、お目当ての建物が目に飛び込んできた。まず、カルロス5世宮殿、そして、ナスル朝宮殿、メスアール宮、コマレス宮…。そのどれもが素晴らしく、どの建物も内・外装の装飾が緻密で繊細で華麗で、息をのむ美しさだ( 写真右 )。

 一足先にこの夏アルハンブラを訪れた友人は「アルハンブラの素晴らしさをたった一枚の写真で表現するのは難しい」と書いていたが、僕もまったく同感だ。日記という言葉で説明するのはさらに難しい。s-IMG_9946.jpg

 アルハンブラは一般的に、「イスラムとカトリックという2つの文明・文化の融合」と言われるが、やはりどうみても、この唯一無二の宮殿は、イスラムの職人の卓越したセンスと崇高かつ強固な意思の賜物だろう。

 そういう意味で、アルハンブラはあくまでイスラム芸術の極致である。ただし、イスラム人から奪い返したキリスト教徒が、異教徒の象徴でもあるこの宮殿を破壊せず、現在まで守り続けてきたことは賞賛されていい。s-IMG_9973.jpg

 「キリスト教徒とイスラム教徒は相容れないので、宗教紛争やテロはなくならない」と主張する人もいるが、イスラムとキリスト両宗教間の「寛容と和解」を体現したアルハンブラを見れば、そんな悲観論はきっと霧散するに違いない。宗教テロは、人間の力で必ずなくせると僕は信じている( 写真右 =グラナダの中心・ヌエバ広場)。s-IMG_0026.jpg

 さて、午前中でアルハンブラ見学を終えた僕らは、再び小型路線バスで旧市街へ戻る。昼御飯は昨日下見しておいた 「ボデガ・ラ・マンチャ」(Bodega la Mancha) 写真左 =という立ち呑みバルへ。

 ここではガラスのショーケース内にいろんなタパス(40種類近くも)= 写真右 =を並べてくれてるので、「これをメディア(半人前)でください」と指差し注文できるのが嬉しい。s-IMG_9992.jpg

 昼飯にはまだ早い時間だが、すでに地元の人らしきお年寄が数人、カウンターで飲み食いしている。どれも一口食べてみたいものばかりで、選ぶのに困ってしまうほど。とりあえずビールを飲んで、考える(外国で昼間から飲むビールの旨いこと!)。s-IMG_9995.jpg

 迷った末にオリーブの盛り合わせと、またまたポテト・サラダ(どこで食べても実に旨い!)、イワシの酢漬け、そしてホウレンソウのトルティージャを頼んだ。これにパンが付く。もちろんメディアで頼んだが、やはり量的にはこれが限界かな。

 気が付けば僕らが帰る頃には、店はほぼ満員に( 写真左 )。スタッフのおにいさんはとても気さくで、メニューの綴りも教えてくれたりしたs-IMG_0002.jpg(なお、このバルではワインの量り売りもやっていて、地元の人がペットボトルを持って買いに来る。日本にもこんな店があってもいいのにと思う)。

 さて昼飯を終えた僕らは、グラナダのもう一つの世界遺産「アルバイシンン」へ。こちらはアルハンブラほど有名ではないが、「グラナダ最古のイスラム教徒居住区で、丘からはアルハンブラも一望できる」というのが売り文句。しかしその丘に登るには坂道を約30分ほど歩くので、結構いい運動になる。

 登る途中の坂道の両側はアラブ人街で、アラブ風の土産物店が軒を連ねる( 写真右 )。「あなたの名前をアラビア文字で書きます」という商売している人も。ここがスペインであるということを一瞬忘れてしまう。s-IMG_0016.jpg

 ようやく丘の上の展望台にたどり着いた(しっかり汗をかいた!)。丘の上から見るグラナダの街 そして、向こう側に見えるアルハンブラ宮殿の眺めは最高( 写真左 )。たどり着くまでのしんどさも吹っ飛ぶ。「登ってきて良かった」と素直に思った。

 「アルバイシン」見物を終えた僕らは、スペインに来て初めてデパートにお邪魔する。「エル・コルテス・イングレス」というスペインで最大手というデパートだ。一応、上の階から順番にさっと見て回ったが、日本のデパートと比べて、さほど違ったところはない。ただ最後に地下に降りて、食料品売り場に行ったら、やはり、「ここはスペインだ」と驚くことだらけ。s-IMG_0052.jpg

 魚介類(とくにエビの種類が多い!= 写真右 、貝)、ハム、缶詰、オリーブオイル、インスタント食品(タパス料理の)の豊富さ、充実度には、ただ目を見張るしかない。日本で見たこともない魚介系の缶詰も、s-IMG_0069.jpgもっと買って帰りたかったが、「重い荷物を増やすのは最終日に」と断腸の思いであきらめる。

 さて、僕らは今夜、空路バルセロナへ向かう。8時すぎにはホテルを出て空港へ向かわなければならない。で、晩御飯はホテルからそう遠くないバルにしようと探した。

 歩いていると、一軒のイタリアン・バールを見つけた。スペインでイタリアンっていうのもちょっと面白いかもしれないと思い、その 「Made In Italy」 という変な名前のバールに入った( 写真左 )。

 久しぶりのパスタ。トマトソース。ビールはもちろんモレッティ。バルとは少し気分が変わって楽しい。テレビではサッカーを放映している。セリエAかと思ったが、さすがにリーガ・エスパニョーラだった。短いグラナダ滞在を終えて夜9時すぎ、グラナダ空港へ移動。いよいよスペインの旅も大詰めに近づいてきた。


【バルセロナ編<上>へ続く】


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うらんかんろ

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汪(ワン) @ Re:Bar UK写真日記(74)/3月16日(金)(03/16) お久しぶりです。 お身体は引き続き大切に…

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