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2013/10/15
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 北京観光で誰もが必ず訪れるのが、故宮と万里の長城である。滞在2日目は、今回の旅のメーンイベントとも言える、この二大名所を訪れる。
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 ホテルで朝食を済ませた我々は、早速故宮へ。友人からの「見学ポイントを効率良く、無駄なく見て回るために、故宮だけはガイドを雇おう」という勧めもあり、我々は日本語に堪能な中国人ガイドさんを頼んだ。


 故宮の周辺には、中国政府の中枢機関が集まっていることもあって、警備が厳重だ。いたるところ公安(警察)だらけ。制服もいるが、明らかに私服の公安もうじゃうじゃいる。


 天安門から1km近く南へ離れた交差点で車を降り、そこから天安門の入り口まではだだっ広い広場をひたすら北へ向かって歩く( 写真左 =天安門前は中国人にとっても人気No1観光スポット)。
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 広場の後方には、今も遺体が保存・公開されているという毛沢東主席記念堂。左を見れば、中国の国会にあたる、有名な人民大会堂。右には中国国家博物館( 写真右 =あの溥儀も通った?「端門」下の通路)。


 天安門前の広場は無駄に広いという気もするが、あの文化大革命で紅衛兵の若者が100万人集まったというのだから、やはり広さは必要が生んだものなのかもしれない。いずれにしてもここは数々の歴史の舞台である。


 天安門の前は、長安街という広い幹線道路(10車線!くらいある)横切る。そこには横断歩道などはなく、地下道を渡って天安門の入り口ゲートまで行く。



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 金属探知機は問題なくクリアしたのだが、そこで警官に呼び止められた。ガイドが「観光でやって来た日本人だ」と説明しても、「パスポートを見せろ」と言う。


 北京では観光客だけでなく、ビジネス等で在住している日本人でも普段、路上や駅などで公安警官から突然、パスポート提示を求められることがあるという。


 持っていなければ、別の所へ連行されてややこしいことになるので、「外出の時は手放せない」と友人は言った( 写真左 =故宮入口の案内板。反日の空気が漂う中で、日本語での説明もあったのはやや意外だった)。


 僕らは当然「あやしい人間」でもないので、パスポートはすぐに返され、「行ってよし」と目で合図された。ただし、「すみません」の一言はなし。
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 まぁ、付近を歩く他の西洋人とかは一切調べられていないので、日本人への嫌がらせも半分はあるのかもしれない。でも、そんなことを気にしていては観光はしてられないので、前へ進む。


 毛沢東や周恩来も立った天安門の上を見上げながら、僕らは門の下をくぐる。しばらくまっすぐ歩くとまた門があり、さらに歩くとまた門のような建物がある。これが午門( 写真右 =故宮の中心は世界最大の木造建築・太和殿。映画「ラストエンペラー」の皇帝の即位式シーンもここで撮影された)。


 「ラスト・エンペラー」での有名なシーン、紫禁城から追放される溥儀が門を出ていく場面は、この「午門」で撮影されたのであろうか。そこをくぐると、ようやく故宮への入場券売り場がある。
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 そして、そこでまた手荷物検査と金属探知機。テロ警戒だというが、いささか過剰な気もする。ちなみに、友人の話だと、北京市内のすべての地下鉄の駅の改札口でも、乗る際に手荷物検査があるという。移動するにも、実に煩わしい国である。


 さてようやく、本来の故宮への入り口を越えた。広大な故宮は、丹念に見ていたら3時間も4時間もかかる。我々には2時間くらいしか余裕がない( 写真左


 ここでガイドさんがこう言った。「故宮の宝物が見たいのか、それとも建物や歴代皇帝や皇后の暮らしぶりが見たいのか、どちらかに重点を置いた方がいいと思います。宝物は実際、台北の故宮博物院の方が良いものを所蔵している」と。


 我々は「台北の故宮博物院へは以前行ったある」とを告げ、建物や暮らしぶりを重点にガイドしてもらっていいと言った。ガイドは「分かりました。じゃぁ、そうしましょう」と言って、ツアーはスタートした。
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 故宮にある現在の紫禁城は、明代に建てられ、幾度も増改築を繰り返してきた。漢民族の明から、次に王朝を奪い取ったのは満州民族の清だった。


 清朝の時代は、ここで十二代の皇帝が暮らした。現在の紫禁城は、おおむね清の時代の姿をとどめているが、明代の名残もあちこちに見られる。


写真右 。多民族、多言語の中国だが、王朝が変わるたびに政権の公用語も変わったのであろうから、宦官や一般の役人たちも大変だったに違いない。


 さて、紫禁城と言えば、やはり西太后(せいたいごう)である。清朝末期、幼い傀儡(かいらい)の皇帝を皇位に付けて、裏で政権を牛耳っていた事実上の女帝。


 我々を案内したガイドさんも、日本人にも馴染み深い西太后の居住エリアを詳しく説明してくれたが、土間にじゅうたんが敷かれただけの、意外に小さく質素な建物が多い。冬が厳しい北京でこれでは、室内も相当寒かったのではと思う。
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 洋風のベッドもシルクを使っているが、めちゃくちゃゴージャスという風ではない。かつて見たベルサイユ宮殿のマリーアントワネットの部屋の方がはるかに豪華だ。


 紫禁城の、いわゆる皇帝のプライベート・エリアは建物がやたら多くて、広い。小さな建物が幾棟も連なり、道は軍事上の理由からか、迷路のようになっている( 写真左 =西太后のプライベート・エリアは意外と質素だった)。


 唐の時代から、「後宮の佳麗三千人」としばしば言われる。一般庶民から選ばれ、あるいは指名されて宮廷に上がり、そしてここに住まわされて、皇帝の子供を生み、短い命を終えた女性も多いだろう。部屋の数だけ様々な人間ドラマがあったはずだ。自分の人生はまがりなりにも自分で決められる現代に生きる我々は、幸せに違いない。
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 さて、駆け足の故宮見物を終えた我々は、故宮のすぐ北側にある人口の山、「景山公園」へ。高さ43mの山(海抜は約100m)がまるまる公園になっていて、あちこちに東屋(あずまや)が建てられている。


 この公園は、故宮・紫禁城を上から見下ろして眺めたいという皇帝の命で造られた。皇帝に倣って山の頂上から紫禁城を見る。黄金の甍(いらか)が限りなく美しい。洋画家・梅原龍三郎が描いた「北京秋天」という名作があるが、それがまさしくこの光景である。


 我々が登ったのは正午すぎ。残念ながら逆光であった。夕陽を浴びた紫禁城の方がより綺麗に違いない( 写真右 =景山公園から見た故宮。逆光だったのでこの美しさは伝えきれないが、甍は黄色に輝く)。頂上へ行きつくには少々時間はかかるが、景山公園から眺める価値は、十分すぎるほどある。言いすぎかもしれないが、「ここ(景山)から紫禁城を見ずして北京を語るなかれ」と言いたい。


<次回へ続く>







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Last updated  2013/10/24 08:53:20 AM
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うらんかんろ

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汪(ワン) @ Re:Bar UK写真日記(74)/3月16日(金)(03/16) お久しぶりです。 お身体は引き続き大切に…

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