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2015/11/08
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 ザルツブルクと言えば、岩塩が有名ですが、その採掘は紀元前の鉄器時代から始まっていたと言われています。ザルツブルクの周辺では紀元前10世紀頃のケルト人の墓地や埋蔵品が発見され、高度な文明が築かれていた事が分かっています(この辺りの話は、畏友で、ケルト文化に通じている武部好伸氏が詳しいです)。

 ザルツブルクの歴史は、さまざまな国家や民族によって翻弄されてきた歴史でもあります。紀元前14年、ローマ軍がアルプスを越えて侵入し、ザルツブルクはローマ帝国の支配下におかれます。しかし、5世紀の後半、ローマ人は侵入したゲルマン系の東ゴート族に追われることになります。その後は長く神聖ローマ帝国内のオーストリア帝国、すなわちハプスブルク家の支配下に置かれます。こうした歴史や国民の心情は、(敗戦後の米軍占領下を除いて)異なる国家や民族から支配された経験がない日本人には、なかなか理解できない部分もあります。

 さて、ザルツブルク2日目。きょうは街のシンボル「ホーエンザルツブルク城」を訪れます。城は1077年、神聖ローマ皇帝ハインリヒ4世と教皇グレゴリウス7世の間に起こった聖職任命権を巡る闘争のさなか、当地の大司教が皇帝派に対抗するために建てたそうです。

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 ホテルで朝ご飯を食べた後、早速、歩いて駅のバス停へ。朝のザルツブルク駅前はこんな感じです。駅構内に滞留しているシリア難民のために、赤十字の職員が忙しく動き回っていましたが、昨日よりは少し静かな雰囲気です。 

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 トロリー・バスは、ザルツブルク駅から5系統もの路線が必ず旧市街を通ります。なので、5分間隔くらいで発車するのでとても便利です。2台連結で長~いバスは、とても運転しにくそうですが、運転手は交差点も上手に曲がります。

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 山の上にあるホーエンザルツブルク城へは、ケーブルカーで行くか、結構急な登山道を40分ほど歩いてゆくかのどちらかですが、もちろん僕らはケーブルカーにしました(笑)。ケーブルカーの駅は、写真の停まっている白いバンの左側の細い道を少し上ったところにあります。

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 この建物の中がケーブルカーの始発駅です。朝が早いので、人がまだ少ないです。僕らは、ザルツブルク・カードを持っているので無料です。

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 いつ出発するかわかりませんが、とりあえず、ホームにいたケーブルカーに乗ることに。

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 山頂駅まで10分弱。あっという間です。途中、窓からはザルツブルクの市街がよく見えます。

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 山頂駅から降りて歩くこと数分。城の展望台から見たザルツブルクの街です。絵葉書のように美しい景色です。

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 同じ場所から90度西の方角を見たら、こんな緑あふれる景色です。遠くには小高い山も見えます。眺めていると、ほんと癒されます。

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 城内の修復工事中のフェンスには、16世紀中頃の城が描かれたシートがかけられていました。城の地下牢では、迫害された新教徒が数多く閉じ込められたという暗い歴史もあります。当時の大司教は、地下牢が満杯になって収容場所が無くなると、国外へ追放しました。1731年からの2年間に新教徒約2万1千人が追放され、そのうち約1万人が新大陸アメリカへ移住したそうです。

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 城の中は博物館になっていて、中世から第一次世界大戦時までの大砲や武器や生活道具等が数多く展示されています。

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 中世の兵士の鎧や武器。おもちゃの兵隊みたいな展示法がユニークです。

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 当時の台所や食堂。ケーブルカーもない時代、山頂まで食材等を運ぶのは大変だったでしょうね。

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 城塞の地下からは、古代ローマ時代のこんな遺跡が見つかっています。そんな昔の頃から、この山頂に人が暮らしていたとは驚きです。

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 城内の建物は何世紀にも渡って増改築を繰り返してきたらしく、複雑に組み合わさっています。サルツブルクは、ナポレオン戦争(1803~1815年)の結果、一時期バイエルン王国に編入されたこともありましたが、1816年にオーストリアに併合されます。しかし1938年にはナチス・ドイツによるオーストリア併合で、ザルツブルクも第二次世界大戦に巻き込まれます。大戦中、市内各所が連合軍の爆撃を受けましたが幸い軽微な被害で済んで、美しい「世界遺産」の街は無事に守られました。


<ザルツブルク編(5)>へ続く。


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Last updated  2015/11/09 11:13:36 AM
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うらんかんろ

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Comments

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