Bar UK Official HP & Blog(酒とPianoとエトセトラ)since 2004.11.

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2016/11/15
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5. アラウンド・ザ・ワールド(Around the World)

【現代の標準的なレシピ】 ジン(40)、クレーム・ド・マント(ミント・リキュール)(15)、パイナップル・ジュース(15)、氷(ロックスタイルの時) 【スタイル】 シェイク

 クラシック・カクテルの中でもそこそこ知名度のあるカクテルで、日本で50年代以降に出版されたカクテルブックにもよく紹介されています。航空機時代を迎え、各国が世界一周飛行の実現を競っていた1920~30年代に登場したと伝わっていますが、考案者は不詳で、誕生の詳しい経緯・由来もほとんど伝わっていません。

 Wikipedia(日本語版)によれば、「旅客機の世界一周航路開設を記念して開催された創作カクテルコンクールの優勝作品で、作者は米国人バーテンダー」なのだそうですが、根拠となる出典などのデータは示されていません。そもそも世界一周航路が初めて開設されたのは1947年ですが、カクテルは遅くとも1930年代にはお目見えしているので、根本的な疑問がわきます。

 また、有名な映画「80日間世界一周」(1958年公開)の原題とカクテル名が同じということもあって、この「映画の公開を記念してつくられた」と紹介しているカクテルブックもありましたが、このカクテルの方が先に誕生しているので、映画とは直接関係ありません。

 一方、前述の映画の原作となった「フランスの作家、ジューヌ・ヴェルヌの同名小説(1873年発表)にヒントを得て、米国のバーテンダーが考案したらしい」と紹介する文献(橋口孝司著「ちょっと大人のカクテルストーリー」)もありました。可能性としてはこちらの方があり得るかなぁと思われますが、同書には裏付けとなるデータは書かれていませんでした。

 何よりも不思議なのは、欧米のカクテルブックでもなぜか、収録している本は極めて少ないということです。WEBの専門サイトでの紹介例はありますが、本では、(確認できた限りでは)米国の「ミスター・ボストン・バーテンダーズ・ガイド(Old Mr. Boston Official Bartender's Guide)」(1935年版&1940年版等)の他に、70年代の1冊のみです。ちなみに「ミスター・ボストン…」でのレシピは、ジン15ml、クレーム・ド・マント15ml、パイナップル・ジュース30ml(シェイク・スタイル)と、現代と比べてジンは少なめです。

 いずれにしても、現在の欧米ではほとんど忘れ去られたカクテルで、まだ日本国内の方が知名度があるという謎の多いカクテルとも言えるでしょう。なお、欧米のWEB専門サイトでは昨今、以下のような別レシピの「Around the world」も紹介されています。

 1.ダーク・ラム(25)、コニャック1.5tsp、オレンジ・ジュース(40)、シロップ(15)、クレーム・ド・ノワヨー1.5tsp、クラッシュド・アイス。すべての材料をブレンダーにかけてフローズン・スタイルで(出典:Drinkmixer.comほか)

 2.ドライベルモット(40)、パイナップル・ジュース(20)、クレーム・ド・マント2dash、シェイクしてカクテルグラスに。マラスキーノ・チェリーとパイナップル・スライスを飾る(出典:Absolutdrinks.com)。※冒頭のレシピのジンをベルモットに代えたものとも言えます。

【確認できる日本初出資料】 「カクテルの本」(間庭辰蔵著、1959年刊)。レシピは、ジン(15)、クレーム・ド・マント(15)、パイナップル・ジュース(30)(※「ミスター・ボストン…」のレシピとまったく同じです)。



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うらんかんろ

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Comments

汪(ワン) @ Re:Bar UK写真日記(74)/3月16日(金)(03/16) お久しぶりです。 お身体は引き続き大切に…

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