Bar UK Official HP & Blog(酒とPianoとエトセトラ)since 2004.11.

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2018/08/01
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 聞いたことがある方も多いかもしれませんが、英語に「Let's go Dutch!(割り勘にしようよ)」という言い回しがあります。僕自身、なぜ「Dutch(オランダの、オランダ人)」なんだろう?とずっと疑問に思ってきました。調べてみると、この言い回し、「英国人がオランダ人がケチであることを皮肉って言い始めたこと」が由来といいます。


 しかし、当のオランダ人はこの言い方を嫌うそうです。「私たちはケチではない。質素倹約なだけだ」と(なので、オランダ人の前では決して使ってはいけない言い回しなんだとか)。実際はどうなんでしょうか、旅で出会ったオランダ人の行動を見たり、現地在住の日本人に聞いてみたりすると、彼らの本当の姿が見えてきました(写真は、アムステルダム中心部の裏通り)。

 オランダ人の「ケチ」については、いろんな逸話が伝わっています。「外食はしない」「ブランド物は買わない」「他人におごったりしない」(「ズボンは穴が空いてもパッチワークしてはき続ける」「靴下は穴が空いてもはき続ける」とも。後者はフランス人も同じらしいです)。これらはある意味本当なのですが、オランダ人にとっては、理由があっての行動様式なのです。

 オランダ人は基本、食事で贅沢しません。フランス人は「食べるために生きる」と言われますが、オランダ人にとっては「生きるために食べる」のであって、食事は「空腹を満たすためのもの」なのだそうです。連載初めの方の回でも書きましたが、彼らは、晩ご飯を外のレストランで食べるなんてことは、必要がない限りしません(ランチは外食もしますが、まず高級な店には行きません)。「晩ご飯は家で家族と」が原則です。

 ブランド物の服やバッグもあまり持ちません(実際、オランダ滞在中、ブランド物のバッグを持った地元の人はほとんど見かけませんでした。そういうバッグを持っているのは、我々のような観光でやって来た外国人ばかりです)。


 ファッションは基本質素で、地味です。パリやローマの街角では、目を引くようなおしゃれな格好の女性がたくさん歩いていますが、アムステルダムではほとんど見かけません。基本、H&MやGAPのような店で買ったような服装で通勤しています。オランダは自転車通勤する人がとても多いので、そういうカジュアルな格好の方が動きやすくていいのでしょう(写真=アムステルダム市内の橋の欄干にはフラワー・ポットが飾られている光景をよく目にします)。

 また、現地の人に聞くと、職場などの仲間と一緒に食事に行ったり、飲みに行っても、おごったり、おごられたりという習慣は、まずないそうです。上司や先輩、後輩の間でも、いわゆる完全「割り勘」にはしません。みんな、自分が食べた分だけを払います。これが彼らにとっての完全な「個人主義、平等主義」です。

 なので、オランダ人は自分たちの金銭感覚が「ケチ」と言われることを嫌います。「自分たちはケチではなく、金銭にフェアで、実質的で、合理的なだけ」「”節約は美徳”を実践しているだけ」と思っています。そして、彼らは「自分たちは金を使うべきところにはちゃんと使っている」と反論します。

 その実例としてよく示されますが、オランダ人は募金や寄付に熱心です。高齢の方が、長年ためたお金を全額寄付することはよくあるそうです。ギャラップ社の調査(2015年)によれば、世界寄付率ランキング(「見知らぬ人を寄付で助けた国民の割合」)で、オランダは世界第7位でした(日本はなんと102位。情けないなぁ…)。東日本大震災では、オランダからは約10億円もの寄付が届いたそうです。募金・寄付好きの国民性には宗教的背景(カルヴァン主義)もあるそうですが、この点については別の機会にまた触れたいと思います。


 さて、オランダ滞在も5日目になりました。本日は観光としては実質最終日です。きょうはアムステルダムに来たら、やはりこれは外せないという「運河クルーズ」に朝イチで行きます。
 「運河クルーズ」は何社かが運航していますが、僕らは中央駅前から出ている「ラバー・クルーズ」の1時間クルーズ(€16)に申し込みました(予約もできますが、キャパの大きい船が15分~30分おきくらいにたくさん出ているので、余程のことがない限り予約は不要です)。


 船内はこんな感じ(2枚目の写真)です。乗客はイヤホンを渡されます。席のそばにはイヤホン・ジャックがあり、日本語も含む約15カ国語でオーディオ・ガイド放送も聞けますが、船に同行するガイドさんも道中、英語でしばしば説明するので両方の説明が聞こえてきて、ややこしいです。


 船が出航するとすぐ右側に、丸みのある高層の建物が見えてきました。皆さん、これ何の建物だと思いますか? 聞いてびっくり!自転車置き場ビルなんです。ご承知のように、オランダは自転車通勤の人がめちゃくちゃ多いです。人口よりも自転車の数が多いとも言われているので、自転車置き場のスケールも半端じゃないですね。


 船はしばらくすると、道路橋の下をくぐり、いったん中央駅北側にある汽水湖に出ます。


 汽水湖をしばらく航行した後、再び橋の下をくぐり、中央駅よりも南側の運河に入ります。


 ゴッホの絵にもよく描かれる「跳ね橋」です! これは17世紀に造られたという木製の跳ね橋で、「マヘレ橋(Magerebrug)」と言うそうです。実に、オランダらしい風景ですね。


 大きな船が通る時は当然橋を跳ね上げます。今は電動ですが、昔は手動で開閉していたそうです。運河にかかる橋は現在、普通の石造りの橋がほとんどで、跳ね橋は数えるほどしかないそうです(ボートは天上が一部空いて見やすい構造。僕らは屋根のある船内に座っていますが、日焼けも苦にしない欧米系の外国人は、船尾のオープンデッキに集まっています)。



 運河には、実際に居住している「ハウスボート」が数多く浮かんでいます。見られることを意識しているのか、花や花壇で飾ったボートも目立ちます(維持費に結構カネがかかるでしょうね)。観光客に有料で公開されているハウスボート・ミュージアムもあります。


 運河沿いには、東インド会社を通じた貿易でしこたま儲けた豪商の館もたくさん残っているそうです(この写真に写っているのがそうかは未確認ですが…)。


 これはオランダを代表する画家レンブラントが埋葬されているという西教会。でも、教会内での埋葬場所がよく分かっていないんだとか。


 運河を往くツアー船を外から見たらこんな感じです(これは僕らが載った船そのものではありませんが、同じ会社の船)。


 これはオランダ海洋博物館。そばに係留されているのは、18世紀に東インド会社が運航していた「アムステルダム号」を復元した船なんだそうです。


 運河クルーズもそろそろ終盤。これは科学技術センター(NEMO)という建物。船の形をモチーフに造られたそうですが、どこか関西国際空港のターミナルビルに似たような雰囲気も。実は、設計者は同じレンゾ・ピアノ氏(イタリア人)なんだとか。なるほど!と納得。


 まもなく帰港です。なぜか水上中華レストランがこんなところに。ここで船のガイドさんが「アムステルダムには欧州最古のチャイナタウンが、このレストランから南の方のエリアにあるんだよ」と説明しました。『地球の歩き方』には載っていなかった貴重な情報です。
 ニューヨークやサンフランシスコ、ロンドンのチャイナ・タウンは有名で、いずれも行ったことがありますが、アムステルダムにもあるとは初めて知りました。「そうだ!まだきょうはお昼を何にするか決めてなかったから、チャイナタウンで中華にしようよ」と連れ合いと意見が一致。


 さて、1時間クルーズを終えましたが、まだ10時すぎです。お昼ご飯にするには少し早いので、3日目のガイドさんに教えてもらった、アムス市内に近年オープンした「風車のあるビール醸造所(風車のパブ)」にお邪魔しようかということに。
 醸造所のある場所へは路線バスで向かいます。アムスではトラムを乗り倒していますが、路線バスは初めてです(後で聞いたところでは、「10番」のトラムでも行けたそうです。ただしバスの方が所要時間は短いらしい)。


 中央駅から「22番」のバスに乗って、10分ほど東へ走るともう目的地のOostenburgerstraatです(早い!)。本当にこんなところに風車があるのかな?と思って、停留所から歩くこと数分、見えてきました!



 近く来て見上げると、さすがにでかいです。6~7階建てのビルくらいの高さです。聞けばアムス市内では一番高い風車なんだとか。


 風車の裏側に回ってみるとこんな感じ。右側の建物が醸造所です。この「風車のある醸造所&パブ」、元々は使われていなかった市営の公衆浴場だった歴史的な建物=風車付き=でした。アムステルダム市当局がこの建物の保存活用を目指したビジネスプランを公募。その結果、1985年、若手起業家の提案が受け入れられて実現したものなんだとか。


 その起業家とは、昨晩行ったビア・パブと同じ地ビール・メーカー「ブラウェライ・アイ(Brouwerij 't IJ)」の創業者でカスパー・ピーターソン(Kasper Peterson)。ピーターソンは「Drukwerk」という有名バンドのメンバーでしたが、とてもビール好きで、ベルギー・スタイルのビールをオランダでも造ることを目指して起業、その後も醸造実験と改良を重ねてきました。


 現在では「ブラウェライ・アイ」は、アムステルダム市内有数のクラフト醸造所に成長。会社はピーターソンから別のパートナーに引き継がれましたが、独自のスタイルのビールを醸造し続けて、高い評価を得ています。
 「風車のパブ」は近年、オランダ国内で「最も成功したベンチャー・ビジネス」にも選ばれました。現在では観光客だけでなく、アムステルダムの住民にとっても人気のスポットになっていて、連日多くのビール好きで賑わっているそうです(「ブラウェライ・アイ」は急成長したため今では、市内の別の場所により大規模な醸造所も持っているとか)。


 醸造所のパブは、残念ながらオープンが午後2時からということで、まだ開いてませんでしたが、隣にある直営(?)のカフェ・レストランでも醸造所直送(と言ってもすぐ隣へ運ぶだけですが)の生ビールが飲めるということで、ホッとして早速注文!



 頼んだのは「ij wit(アイ・ヴィット)」というタイプの生(メニュー中列の一番上)。原材料は小麦がメインで、コリアンダーと柑橘系果物のピールの香りが心地よい、フルーティなホワイトエール系のビールですが、これがめちゃ旨!(メニューの説明には「Delightfully fresh with hints of coriander and lemon and a rich aroma…」とありますが、まさにそんな感じの美味しさです)。
 このビール、アムスのスーパーでも売っていたので買って帰れば良かったと、帰国後、一番後悔しています(涙)。どなたかこれからオランダに行く方、ぜひ僕らへのお土産にお願いします(笑)。

<13回目に続く>

※過去の「旅報告」連載は、トップページ中ほどのリンク 「旅は楽しい」 からお読みになれます。


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kopn0822 @ 1929年当時のカポネの年収 (1929年当時) 1ドル=2.5円 10ドル=25円 10…
汪(ワン) @ Re:Bar UK写真日記(74)/3月16日(金)(03/16) お久しぶりです。 お身体は引き続き大切に…

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