ピカルディの三度。~T.H.の音楽日誌/映画日誌(米国発)

Jul 27, 2020
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カテゴリ: 映画、テレビ
「オペラ座の改新」(評価 ★★★☆☆ 三つ星)

 由緒ある劇場に就任した若い振付師/演出家バンジャマン・ミルピエさんを取材したドキュメンタリー。新作バレエを上演するにあたり、稽古から公演日までを追う。
 日本語のサイトは http://www.transformer.co.jp/m/millepied/
 ちなみに英語圏での題名は「Reset」。伝統に縛られた古くさい意識を切り替え、革新にどう直面していくのか。例えば、バレエを踊る人は(「白鳥」役とかに限らず)あくまで白人が望ましい、という業界の暗黙の了解を打ち破り、白人以外の舞踏家も起用するとか。

 個人的には、かのオペラ座の館内のあちこちが見られたのでご満悦。稽古場とか迷路のような内部構造とか。屋上に出て屋根沿いを歩くこともできるみたい。

 このドキュメンタリー、ちょっと気になったのは編集にかっこつけすぎてるとこ。肝心の公演本番の躍動的な舞踏場面なんて、ぼくら視聴者はあたかも生で見てるかのような臨場感を味わってみたいのに、いちいち低速編集になって、飛んだり跳ねたりをご丁寧にゆっくりねちねち魅せようとする。「マトリックス」ぢゃないんだから。意図はわからなくもないけどドキュメンタリーとしては逆効果。

 あと、ミルピエさんは決して怒鳴ったりなどしない紳士キャラなので、商業用映画的には弱い。やらせを肯定するつもりはないけれど、やっぱり誰かにキレていただいて多少の騒動とか修羅場がないと視聴者としてはつまらない。
 現代作品を公演するにあたってのさまざまな障害ももっと紹介してもらいたかった。保守的な演目(チャイコ胡桃割り人形とか)を上演すれば観客は必ず来てくれるけれど、新作の場合はそうはいかない。伴奏する音楽家たちや宣伝応報の人たちも、普段とは異なる方法での準備が必要。
 そんななか、舞踏家が怪我をしたり、さらには関係者のストライキにより予定を一部中止せざるを得なかったりもする。



 あと、余談ではあるけれど、彼の妻は有名な役者ナタリー・ポートマンさん。本作のなかでも英語でときどき誰かと電話して生活感あふれる会話をしてて、愛してるよとか言ってるのだけれど、お相手はナタリーさんだったのかも。←作品的にはどーでもいーけど





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最終更新日  Jul 29, 2020 09:00:40 PM
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Re:映画:ミルピエ パリ・オペラ座に挑んだ男 (2015年フランス)(07/27)  
ミルピエってABTにいたんですね~。へたすると、ソロイストになる前に観たことがあるかもしれません!

オペラ座のお稽古場っていいですよね~。あの曲線♪なかなかよそにはありませんから。

ドガの絵画の時代から変わってないかと思うと、わくわくします。

ところで、後任のAurelie Dupontって私は嫌いじゃないですね~。

以前ドキュメンタリーを観たのをよく覚えてます。
Etoiles:Dancers of the Paris Opera Ballet (2001) (Aug 1, 2020 01:29:13 AM)

Re:映画:ミルピエ パリ・オペラ座に挑んだ男  
T.H. さん
LimeGreen さん

をを、お詳しいんですねー。

パリのオペラ座は、外観しか観たことなく(空港からのバスがオペラ座の前に停まる)、中に入ったことはないので、楽しく見られました。

バレエのことはよく存じませんけど、今回の引きこもり時間をつかって、いろいろな舞台芸術を鑑賞しまくってます。
素人的には、むしろ現代もののほうが意外に入りやすいのかもというのが新たな発見。 (Aug 2, 2020 04:40:31 AM)

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