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万雑714_万葉集に載っている柿本人麻呂の歌_18
次は、讃岐の狭岑の島で、岩の間の死人を見て、人麻呂が作った
長歌(220)と短歌2首(221、222)です。
220_「玉藻よし 讃岐の国は 見れども飽かぬ 神からか ここだ貴き 天地 日月と共に 足り行かむ 神の御面と 継ぎ来たる 中の湊ゆ 船浮けて 我が漕ぎ来れば 時つ風 雲居に吹くに 沖見れば とゐ波立ち 辺見れば 白波さわく いさなとり 海を恐み 行く船の 梶引き折りて をちこちの 島は多けど 名ぐはし 狭岑の島の 荒磯面に 廬りて見れば 波の音の しげき浜辺を しきたへの 枕になして 荒床に ころ臥す君が 家知らば 行きても告げむ 妻知らば 来も問はましを 玉鉾の 道だに知らず おほほしく 待ちか恋ふらむ 愛しき妻らは」
※_
「(
玉藻よし)讃岐の国は、国がらのせいか見ても飽きることがなく、神の御心によってかこんなにも貴い。天地と日月と共に、満ち足りて栄えるであろうその神の御顔として、神代から続いてきた讃岐の国の那珂の湊から、船を浮かべて我々が漕いで来ると、時を定めて吹く強風が遠くから吹き付けるので、沖を見ると盛り上がるように波が立ち、岸辺を見ると白波がざわめいている、(いさなとり)その海を怖れて、行く船は櫂も折れるほど漕いで、あちこちに島は多いが、その名もうるわしい狭岑の島の、荒磯の上に仮庵を設けて見ると、波の音の絶えない浜辺を、(しきたへの)枕として、荒々しい床に一人倒れ伏しているあなたの、家が分かったら行って告げ知らせようものを、妻が知ったら尋ねて来もしようものを、(玉鉾の)道さえ分からず、心塞がる暗い思いで待ち焦がれいるだろう、そのいとしい妻は
」
と歌っています。
221_「妻もあらば摘みて食げまし沙弥の山野の上のうはぎ過ぎにけらずや」
※_「
妻がもしそばにいたら、一緒に摘んで食べもしようものを、沙弥の山の野の上の嫁菜は、盛りが過ぎたではないか
」と歌っています。
222_「沖つ波来寄る荒磯をしきたへの枕とまきて寝せる君かも」
※_「
沖の波の打ち寄せる荒磯を、(しきたへの)枕として伏せって居られる君よ
」と歌っています。
以上
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