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2010.08.28
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カテゴリ: 読書

本日の読書
ヴィークルエンド 電撃文庫 うえお久光著

「紫色のクオリア」 などシリーズでない作品に佳品もないわけではない。

というわけで、ひさしぶりにうえお作品が読みたくなったので買ってみたのが、これ。内容はまあはっきりいって、ヤバい。

近未来、先天的な障害によってほとんどの子供が内分泌異常で生まれてくる社会、という設定で、「サプリ」と呼ばれる医薬品もとい栄養助剤を子供たちだけが常用しているという設定で展開される、特殊な危険なスポーツに興じる主人公たちの物語である。ストーリーとしては「ボーイミーツアガール」系、新進アイドルが歌を忘れて、その子に歌を作ってもらうために、熱血主人公が一肌脱いじゃうよ、というのはある意味王道である。新進アイドルというかロックスターの彼女の音楽は、サプリを服用しない大人には理解されない、というあたり、アシッド系と呼ばれる現在すでにある非合法音楽文化を真っ向から肯定しているので、それってよくない。主人公達が愛用しているヴィークルという「サプリ」は、身体の反応速度をあげつつ、身体を第三者的に見ることができるようにするサプリという設定になっている。反応速度の向上、感覚の鋭敏化、希薄になる現実感、しかし感情はむしろ抑制される・・・これは「理想的な覚醒剤」であるなあ、とひとりごと。つまりこの小説、どこかでヒステリックな誰かの俎上にあがったら叩かれる要素満載であるといえる。わかっていて書いたのならば確信犯でチャレンジャーだが、そうでなくて書いたのならば、うえお氏はこの先どうなってしまうのであろう?

さて、小説の出来としては、うえお氏ならではの視点と語り口で、まあまあ楽しめる。「自分の将来のために、なにかやりたい、なにかやらねばという焦燥感、でもなにをしてよいのかわからない」というエネルギーを持て余した青少年の心理を、よく描いているような。少なくともPiyotaには、そういう焦燥感に身を焦がした時期がありました、はい。でも、「ゆとり世代」のいまどきの若者には、そういう焦燥感なんてあるのかなあ、とも。そんな基本的な疑問は、この小説についてのネットでの反響を探してみたらわかるのかもしれない。

なお、2010年8月16日のニュースで、須磨海水浴場の海の家で 麻薬所持使用などで若者が集団検挙 された。薬物の使用に対して危機意識、罪の意識が希薄な若者が増えていて、それを文化的に肯定するような背景があって、このような薬物汚染が連鎖するのだとしたら、困ったことである。

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最終更新日  2010.09.17 02:31:04
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