日本語はダメか2

日本語はダメか2

2015.01.19
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海の向こうで、カネをばら撒く人


 戦後のある時期、「新興成金」という言葉が盛んに言われたことがあった。ソニーやホンダなどがまだ産声を上げたかどうかの頃のことである。太宰治の小説・斜陽に描かれた没落貴族の逆で、戦後のドサクサ(闇経済)の中のから、一攫千金に成功した人たちを指す。財閥解体、農地改革、華族制度廃止などにより没落した戦前の富豪層に代わって新たに出現した階層であったが、その多くは既に消えている。

 安倍首相が17日エジプトの首都カイロで開かれた日本・エジプト経済合同委員会で演説し、中東安定に貢献するため、地域に人道支援、インフラ整備など非軍事分野で25億ドル(約2900億円)の支援を実施すると表明した。
 このニュースを新聞で読んで、またまた、海外に行って国民の税金を勝手にばら撒いていると思った時、何故か、新興成金という古い言葉を思い出したのである。

 ご存知のようにナイル川を母とするエジプトは、メソポタミア(チグリス・ユーフラテス川)、インダス(インダス川)、中国(黄河・長江)と並んで4大古代文明発祥の地と言われ、4000~6000年の歴史を持っている。文明は、あたかも水のように高いところから低いところへ流れて行く。

 その世界史の流れから言えば、今は、高度科学技術による物質文明時代で、米・独・日などがその中心の時代だと言える。

 戦後の廃墟の中で平和主義を掲げ、戦後70年の間、ひたすら世界の先端工業技術を追うという姿勢で、国力を蓄えたのが今の日本。これを長い人類の歴史から観ると、今の日本は、戦争の世紀と言われる20世紀で、戦争には敗れたが、その戦争を糧にして、のし上がった国ということになる。
 その国がエジプトやインドに経済支援するという姿が、日本の戦後の新興成金の姿と重なって見えるのである。

 社会保障に充てるという名目で増税をしながら、介護報酬の引き下げ、生活保護費の切り下げ、入院時の給食費のアップなど、社会保障に係わる予算を切り詰めている。その一方で、地球儀俯瞰外交などという訳の分からない造語で以って、毎月のように海外に出かけては、国民の税金を気前よくばら撒く。


 安倍首相は昨年1月にインドで2000億円の円借款を、9月にはシン首相が来日した時に5年間で官民合わせて3.5兆円の投融資(経済支援)を約束した。それだけではない。ミャンマーには5000億円の債務免除と910億円の円借款と無償支援を、バングラディッシュには6000億円の経済支援を、パプア・ニューギニアでは、3年間で200億円のODAを、等々これでもかと言わんばかりにばら撒いている。

 もちろんこれだけではない。昨年1年だけについて言えば、この他にラオス、ウクライナ、モザンビークなどへ円借款や無償供与などを約束した。さらにアフリカ諸国には、アフリカ開発会議で3兆円の支援を約束している。
 ODA支援もそうだが、日本からの「カネ」が、それらの国々で国民のために使われているかどうかは、ほとんど把握されていない。日本の政治家にキックバックされている可能性もあるのだ。

 安倍の脳構造では東南・西南アジア諸国への支援は中国包囲網のつもりなのだろう。アフリカ諸国への支援は、国連の常任理事国に日本が立候補した時

の1票を期待したものだろう。こういう考えは「カネの政治」の自民党的発想以外の何ものでもない。経済支援対象の国々には失礼に当たるが、新興成金が「カネ」の力に物言わせ、旧華族の子女を妻として迎えた話と重なってしまうのだ。
<徳山 勝> 転載禁止 ( 2015/01/19 18:15 )





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最終更新日  2015.01.20 04:32:44
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