★★ 『ブレイクスルー･トライアル』～伊園旬

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2007/06/05

セキュリティー会社が企画する賞金1億円の侵入ゲーム、
｢ブレイクスルー･トライアル｣
ターゲットは、難攻不落の同社技術研究所。

それぞれの思惑で侵入にいどむ3組の参加者たちと、
頑固一徹で職務に忠実なリタイヤ警官の管理人、
別件で調査に訪れた管理人の娘とその恋人。
それぞれが自己の目的遂行のため、

セキュリティー会社が、システムの堅牢さを宣伝するために、
金庫破りのような｢ブレイクスルー･トライアル｣を主催する
という奇抜な設定に惹かれた。

見れば、『チームバチスタの栄光』に続く
第5回｢このミステリーがすごい｣の大賞作品。
（私の住む町では）まだ火がつく前なのか、
図書館待ちが少なかったので、早速借りて読んでみた。

満足度は ★★

登場人物たちの入り乱れたバトルは
なるほどよく考えられていた。

ただ、幾重にもセキュリティーが張られた
難攻不落の研究所のはずが、
あまり難攻不落に感じられなかった。

参加者同士の鉢合わせ以外に、
ミッション遂行上の大きな障害が
あるようには感じられなかった。

建物内部にスマートに侵入する手段も、
元社員という｢ジョーカー｣を使っての
ややご都合主義な展開であったのに加え、
それほど大きくないであろう研究所で、
これ程の局所バトルが繰り広げられているとは、
ちょっと想像しにくい　．．．

そんなところが引っかかって、
緊迫感とか躍動感とかが感じられず、
何だか結末を読み急いでしまった　．．．

クライム･サスペンスには遠く及ばず、
コメディーや青春小説的要素もあるが、
何が良かったというインパクトがなかった。

感じ方は人それぞれなので、
｢このミス｣の大賞、まあ読んでみてください。

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