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May 19, 2009
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カテゴリ: 教授の追悼記

 切り絵作家の滝平二郎(たきだいら・じろう)氏が亡くなりました。享年88歳。

 私にとって滝平さんと言えば、『モチモチの木』と、それから『ベロ出しチョンマ』ですかねえ。いずれも斎藤隆介さんが書いた新作童話に、滝平さんが挿絵を施したものですが、童話の内容と挿絵の魅力があいまって、とても印象深かった。

 『モチモチの木』というのは、祖父と暮らしている弱虫の少年の話で、あまり弱虫なので、夜一人でトイレに行けない。で、夜になると祖父を起こしてトイレまでついて行ってもらうのが常だったんですな。で、彼らの家の前には「モチモチの木」と名付けられた巨木があって、深夜、この木にある角度から月の光が照らすとものすごく美しいらしいのですが、弱虫少年にはそんなものとても見られるはずもない。

 ところがある晩、祖父が病気になってしまうんですな。で、少年は夜中、一人で医者を呼びに行くわけ。怖いなんて言ってる暇がなかったので。

 そして、その夜、大役を果たした少年は、月明かりに照らされた神々しいモチモチの木を見るわけですよ。まさに少年のイニシエーションです。

 で、少年の勇気ある行動により、祖父は回復。再び、二人の生活が始まるのですが、やっぱり少年は弱虫で、夜中にトイレに行く時は祖父を起こしました、とさ。

 ・・・ってな話です(たしか・・・)。

 輝くモチモチの木を見て、ワンランク成長を遂げた後も、彼はやっぱり弱虫でした、というところに、子供の頃の私は強く共感したのでしょう。それから、病気から回復した祖父が少年を褒めて、「弱虫だって、優しい心を持っていさえすれば、いざという時には立派な行動ができるんだ」というようなことを言うんですが、そのセリフにも非常に励まされた覚えがあります。私もまた、弱虫な少年でしたから。


 あと、『ベロ出しチョンマ』ね。大筋は忘れましたけど、江戸時代、ご法度のキリスト教を信仰していた村の話か何かではなかったかしら。



 で、その妹が、死ぬのを怖がって泣くんですな。すると、隣で磔になっているチョンマが妹に呼びかけるわけ。「怖くなんかないぞ。ほーれ、オラの顔を見ろ!」と。で、チョンマは思いきりベロを出し、「あっかんべー」みたいなヘンな顔をして、妹を笑わせようとする。

 そうしてチョンマと妹は死にましたとさ。そんな話。

 ま、危機的状況にあって、自分の命も危うい中、それでもなお妹を笑わそうとしたチョンマの行動が、子供時分の私に「ほ、ほう・・・」と思わせたのでしょう。

 ちなみに、私は四十半ばとなった今でもチョンマの英雄的行動の影響を受けておりまして、たとえば家内が悲しい映画か何かを見て泣いていたりすると、「悲しくなんかないぞ。ほーれ、オラの顔を見ろ!」とか言って、思いきりヘン顔をします。

 あんぽんたんでしょ? 

 ・・・それはさておき、斎藤隆二さんの童話の内容もさることながら、文に添えられた滝平二郎さんの切り絵がダイナミックでね。視覚的にもすごくインパクトがあった。これらの童話を今でもよく覚えているのも、半ば以上は滝平さんのおかげかも知れない。

 そんな強い印象を私に与えてくれた滝平さんがお亡くなりになったということで、私もある感慨を抱いております。

 ということで、読後何十年も忘れさせないほどの力を持った切り絵を作られた滝平二郎さんのご冥福をお祈りいたします。合掌。





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Last updated  May 20, 2009 12:02:49 AM
コメント(9) | コメントを書く
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Re:追悼・滝平二郎(05/19)  
りぃー子  さん
「ベロ出しチョンマ」題名と挿絵は目に浮かびます。印象的な本ですよね。
なのに何故か読んだことがありませんでした。
子供の頃の私の好みは英国ファンタジーだったからでしょうか。。。
そのような重い内容のお話とは知りませんでした。

「モチモチの木」は子供にとって確かに共感を感じられ、そして勇気というものを考え、かつ、(弱虫名)自己を受け入れることを肯定できる、一粒で何度も美味しいお話ですね。
ぜひ読んでみたいと思います^^
今ちょっと検索してみましたが、やはり良い挿絵ですね。

滝平二郎さんのご冥福をお祈りします。


(May 20, 2009 12:42:36 AM)

二つとも知らなかったです  
ゆうこりん さん
結構本は読んでるって思ってたんですが、その二つは知らなかったです・・・でも、二つともなんだかあらすじだけ聞いても、大人でも読みたい本ですね。

悲しい映画を見てベロ出しチョンマ精神で気分を盛り上げられたら・・・私「ちょっと~!やめてよ~!」って怒っちゃうかもですw

映画を見て感傷に浸りたい子なので・・・(@_@;)
うちは、ヨシヨシってしながら
「I know, baby. ヨシヨシ(なぜか日本語)」が決まり文句ですw (May 20, 2009 05:18:11 AM)

切り絵の額を飾っています。  
藍毘尼 さん
たしか、結婚するときに、姉が滝平二郎さんの切り絵の額をプレゼントしてくれたんだと思います。
今も階段を上がって2階のつきあたりの壁に飾ってあります。

滝平二郎さんの切り絵は日本のむかし話にぴったり合うんですよね。
曼珠沙華の切り絵なんてすごくインパクトがありますね!!

滝平二郎さんのご冥福をお祈りいたします。

ゆうこりんさんへ♪
>うちは、ヨシヨシってしながら
>「I know, baby. ヨシヨシ(なぜか日本語)」

いいですね~~微笑ましい新婚さんですね♪ (May 20, 2009 07:38:21 AM)

いえいえ  
ゆうこりん さん
藍毘尼さん
>いいですね~~微笑ましい新婚さんですね♪

ありがとうございます!アメリカなので、割とオープンに義母さんの前でもベタベタ(そんなひどくはないですけど)できてしまうので、助かっています。

日本で、義母さんの前でヨシヨシ、とかこっちにおいで~とか言って膝の上に座らせたりしたら、やっぱり常識ないって思われると思いますし、何よ!ってなりますよね。最初はすごく戸惑いました・・・

「義母さんと一緒のときは手つなぐのやめた方が・・・」とか恐る恐る言い出したりして。。。彼は「え?何で??」ってすごくキョトンとしてましたが。

そんなんなので、最近はテレビを見るときはソファーに横になって、彼にもたれて手を握りながら見るのが定位置です!新婚なので・・・! (May 20, 2009 10:26:43 AM)

Re:追悼・滝平二郎(05/19)  
釈迦楽さん;
滝平二郎といえば、直ぐに作品の絵柄が思い出せる人ですね。

原田泰治の絵も、昔の(僕の少年時代の…やはりムカシか、既に!)町並みや野山を思い出させてくれるもので大好きなのですが、彼は…未だご存命ですよね。

数日前に早稲田の漱石山房の跡地にある漱石公園に行きました。

作家も画家も後世に何がしかの足跡を作品として残してくれますね。
そういう点は、ありがたいと共に羨ましいと思います。

滝平さんの米寿の旅立ちに合掌!
(May 20, 2009 12:57:08 PM)

Re[1]:追悼・滝平二郎(05/19)  
釈迦楽  さん
りぃー子さん

あの挿絵、なかなかいいでしょう?

 もうひとつ、『八郎』という斎藤&滝平ペアの童話もあって、これは物語の内容は忘れましたが、八郎という名の巨人が出てくる。で、その巨人の姿が、滝平さんの切り絵だとすごく迫力があって、これまたいいんです。

 それにしてもりぃー子さんは英国ファンタジー・ファンなんですね! 英国ファンタジーって、『ナルニア国』とか、そういう奴ですか? 私はその辺が実に弱くて、なーんも知らないのですが・・・。 (May 20, 2009 01:06:33 PM)

Re:二つとも知らなかったです(05/19)  
釈迦楽  さん
ゆうこりんさん

 「ヨシヨシ」って、こらっ! 新婚さん! あんまり当てつけるでない!  アツイ、アツイ。ひゅー、ひゅーだぜ・・・。

 それにしても、ゆうこりん世代も含め、今の若い人たちは子供の時にどんなものを読んでいたのだろうか。我々の世代だと、日本の童話作家では新美南吉とか、坪田譲二とか、椋鳩十とか、松谷みよ子とか、その辺かなあ。『コロボックル』シリーズを書いた佐藤さとるが童話作家に入るかどうか、わからんけど。

 我々より上になると、鈴木三重吉とか、巌谷小波とか、小川未明とか、武井武雄とか、そういう世界になるんだろうけどね。

 でも、ある程度、いい作品が伝承されていかないと、日本人の価値観が揺らぐよね。グリムとかアンデルセンとか、ヨーロッパでは伝承されるわけでしょ? イソップになると、キリスト以前の話だしね。2000年以上前の童話がまだ伝承されている。

 その辺の伝統の継続性のなさが、日本人の軽薄さを助長しているような気がしてならないのだが・・・。




  (May 20, 2009 01:19:35 PM)

Re:切り絵の額を飾っています。(05/19)  
釈迦楽  さん
藍毘尼さん

 実作品をお持ちなんですか。それはすごいですね。

 影絵で有名な方で藤城清治という方がいらして、確かまだご存命だと思いますが、その方の影絵も滝平二郎の切り絵と同様、子供ごころに印象的でした。ああいう一種独特の世界を作り出す作風の方が、童話の挿絵などで腕をふるうというのは、素晴らしいことだと思いますね。

 子供の感性は馬鹿に出来ませんからね。 (May 20, 2009 01:26:04 PM)

Re[1]:追悼・滝平二郎(05/19)  
釈迦楽  さん
連帯を求めて孤立を恐れるノダ!さん

 原田さんは、信州のご出身で諏訪湖のほとりに美術館がありますね。岐阜に近いので、マックさんのご郷里の雰囲気とも通じるものがあるのでしょうか。

 原田さんの画風はちょっと「週刊新潮」の谷内六郎さんのそれに似ているような感じがしますが、こちらは横須賀美術館内に谷内六郎館があって、見に行ったことがあります。谷内さんの方も、独特の世界観がありますね。

 ああいう、「独自の味」というのを顕著に持っていて、一目で「ああ、誰それさんの作品だね」と言われるようなものを作り上げるというのは、素晴らしいというかうらやましい気がします。 (May 20, 2009 01:35:08 PM)

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