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2008.05.02
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ユーモアミステリーという島田荘司としては異色の初期作品を読んだ。

○ストーリー
テレビ局TPSのいい加減な秘境探検番組を手伝っているサードADの僕は,東京湾の無人島・猿島を舞台にした探検番組のロケに出る。だが撮影のクルーは,季節外れの台風で連絡船が欠航となり,島で唯一の電話線も途絶えがちとなったことで,島の洋館に孤立してしまう。そして謎の警告文通り,嵐の中で連続殺人の幕が開ける。

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主人公を含め,テレビの番組制作会社の人々の軽さ,いい加減さが,この作品のユーモアたっぷりの語り口のもととなっている。世界各地の秘境映像を,高尾山ロケで代用してしまう,という逸話あたりは,なんだか今でも行っていそうだ。

無人島から帰れなくなっても,主人公の上司であるディレクター以外はのんびりとしている。最初に起きる事件は,それほど血なまぐさくないので,このままのんびりユーモアミステリーのままで終わるのかと思っていたら,連続殺人事件へと発展し,本格ミステリー風になってきたので驚いた。

この作品がスラップスティックコメディ風になっているのは,中盤から登場する神奈川県警の面々のおかげだろう。うつ病で奇怪なファッションの刑事,モデル顔負けの婦人警官,女好きの医者・・・まるでマンガだ。テレビ局の人々がヘンテコなのはそんなもんかなあ?と納得するのだけど,警察の人々がキテレツなのはやはり笑うしかない。

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神奈川県警からは3人が到着しただけで,台風が勢いを戻し,再度島は孤立してしまう。退屈を紛らわすために,登場人物たちは,即興のバンドセッションを行ったり,ファッションショーを開催したり,と相変わらずのんびりだ。



このように思いっ切り破天荒な展開を見せたと思うと,洋館の見取り図を出したり,探偵役が出てきたり,とドタバタと本格が交互に表に出てくる。だから一般的には,この作品は,『本格ミステリーでは作家として人気が出ないと感じた島田荘司が,ユーモア作品に手を出した』と言われている。

だが,2つのエッセンスはバラバラかと言うと,実は重要な部分で密接に関わっている。この作品の本格ミステリーの部分は,ユーモアミステリーゆえのある要素がないと成立しないのだ。本格ミステリーにユーモアの要素を加える,というのではなく,その2つが融合していないと成立しない作品を書いてしまう。島田荘司って,転んでもタダでは起きない作家なんだ,と感心した。









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Last updated  2008.05.03 09:21:06
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