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2008.10.07
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カテゴリ: ばくばく冒険小説
恩田陸の作品の中でも文庫での6冊分冊刊行という,意欲的な発刊方式となった作品を読んだ。

○ストーリー
14才の錬,12才のチカは,それぞれ離婚した親に引き取られ,年に1回夏の海外旅行で家族として再会する関係だった。母親の千鶴子の爆弾発言により,恒例の旅行が今年で打ち切りとなる予感の中,勃発したクーデターのため,子どもたちはジャングルをさまよう状況,親たちは街で軍部の囚われの身となる。さまざまな試練が待ち受ける中,4人は再会し,家族としての絆を取り戻すことができるのか?

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スティーヴン・キングの「グリーンマイル」が6冊分冊で刊行され,分冊でアメリカのベストセラーランキングを長期に独占するという偉業を達成した。その後トム・ハンクス主演で映画化され,アカデミー賞さえ取ってしまうのではないかというほどの大ヒットとなったのは記憶に新しいところだ。

恩田陸の「上と外」も,6冊の分冊として刊行されたことと,「グリーンマイル」の日本での刊行時期を考えると,明らかにその存在を意識して企画されたと思われる。「月の裏側」や「劫尽童女」を考えるまでも無く,恩田陸がキングを強く意識していることは明らかなので,この企画にホイホイと乗ったことは理解できる。

だが惜しむらくは,現代の読者をひきつけるために,キングがたった1人で確立した,異常なまでのディテールの積み重ね,『フィード・フォワード』手法などに対抗するものが,恩田陸には欠けており,まだまだ対抗馬としてぶつけるにはチカラ不足の感が残る。

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6冊分冊となってためか,どうも導入部に当たる1冊目のテンポが悪い。たいして枚数がいるとは思えない部分が延々と続き,錬とチカのどちらに感情移入すべきかも悩む。



律儀にそこまでしなくても,読む人は読む,借りる人は借りる,そして読まない人は読まないので,もっとノビノビ書いてもらったほうが,恩田陸らしいのにと思った。

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キング作品での,ディテールの積み重ね,伏線の張らせ方には及ばないもの,心の動きを描写させたら日本一の作家だけあって,本家とは変わった形で,それ以上に緊迫感があふれ,かつ全体をフカンする作品として仕上げてある。

下巻にかけて,まだまだ巻毎に意表を付く展開が待っており,たかが文庫本としてあなどる人々への挑戦状ではないかと思ってしまう。

キングの新潮社文庫に対して,恩田陸の幻冬社というだけで,PRが弱かったような気がするが,もう少し独自性をだしても良かったのではないかと思う。

後半に向けて,錬とチカの冒険がどのように進んでいくか,大いに楽しみだ。







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Last updated  2008.10.08 00:17:50
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