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2009.08.31
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カテゴリ: びしびし本格推理
島田荘司の「御手洗潔シリーズ」の転換ポイントとなった「龍臥亭事件」の8年後を描く物語を読んだ。

○ストーリー
「龍臥亭事件」から8年,冬の龍臥亭に当時の事件の関係者が終結する。そこで語られたのはその土地・貝繁村の発祥までさかのぼる『森孝魔王』の怖ろしい伝説と,三ヶ月前に発生した巫女の女性の消失事件だった。そして雪で孤立する貝繁村で2つの死体が発見され,怖ろしい事件は幕を開ける。

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「龍臥亭事件」が,「御手洗潔シリーズ」の中では土着怪談めいた部分があったが,この作品はそれをさらに掘り下げており,貝繁村や犬坊家の発祥のことまで語られている。繰り返し起きる事件は,ほぼ同じ愚かさを原因にしており,歴史の重みは,それに悲しい人の業を感じさせる。

この作品は,「龍臥亭事件」の続編であるのと同時に,島田荘司ワールドの集大成,石岡和己の再生譚である,とのフレコミがあり,否が応でも期待を持ってしまう。もっと早く読みたかったのだが,それまでの島田作品を読破していないといけないのではないかと思っていて,今までガマンしていたのだ。

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上巻を読んだところで驚いたのは,そのリーダビリティだ。登場人物が多く,活発な会話で物語が進むためかも知れないが,驚くほどスイスイと読める。混沌としていて,周り中が怪しい人物に思えた「龍臥亭事件」と比べて,どこか安心感を持って読めるのも影響しているのかも知れない。

「石岡和己の再生」というところまでは感じないが,里美の発言にいちいち片思いの中学生男子のような反応を見せない,他人とフツーの応対が出来ている,若い男性に助けの手を差し伸べている,など,かつてのみっともないキャラクターとは大きく異なる石岡像が描かれている。



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果たしてこの作品が島田ワールド集大成と呼ぶに足る作品なのかどうか,下巻が楽しみだ。














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Last updated  2009.09.01 22:34:02
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