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2009.09.02
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カテゴリ: カテゴリ未分類
「龍臥亭事件」の続編であるこの作品の下巻を読んだ。

○ストーリー
吹雪で孤立した貝繁村に”森孝魔王”の鎧武者が復活した。徐々に怪談の世界に変貌していく世界の中で,石岡和己は青年の未来を守るために1人奮闘する。消えた巫女の謎,殺された住職の謎,そして鎧武者の謎,全ての謎は人の悲しい業の粛清で幕を閉じる。

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上巻同様に一気に読むことが出来る。真犯人についてはかなりヒントがあり,中盤から推測ができるのだけど,その人物には実行が不可能な状況が示されたり,別の怪しい人物が登場したりと,なかなか最後まで事件は一筋縄では行かない。

今回つくづく感じたのは,長編小説には明確なテーマやカラーが必要だということだ。多くの島田作品と同じように,この作品にも明確な色や空気があり,それが隅々までも行き渡っている。

「龍臥亭事件」と同じ貝繁村,龍臥亭を舞台にしているが,前作では琴と津山事件がテーマ,今作では過疎の村と”森孝魔王”がテーマであり,印象が大きく異なる。

この一作ごとに異なる濃厚な物語性,それが島田荘司の作家としての才能であり,長い期間一線で活躍が出来ている理由だろう。

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孤立した村に殺人鬼と居合わせている,という状況が理由なのかも知れないが,石岡は村の人々を守って率先して行動しているし,里美も司法修習生のタマゴとして冷静な意見を述べている。

最終的に「石岡和己の再生」というところまでは確認できなかったが,10年近く「御手洗潔シリーズ」を支えてきた2人が,それぞれ次のステップを見据えて成長していきそうな予感は感じられた。

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さて「龍臥亭幻想」のもう1つの楽しみは,前作で起きた「御手洗潔シリーズ」と「吉敷刑事シリーズ」の融合がさらに一歩進んだことだ。この2つが島田荘司のシリーズであるのだが,長い間2つは大きく方向性をたがえていた。

前作であの人物が登場したことは単純に驚きだったが,今作ではとうとう彼までが登場し,シリーズ世界の融合を決定付ける。

「吉敷刑事シリーズ」も好きだった僕としては,新しい形でシリーズが復活することを期待して止まない。

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多くの登場人物が,これまでの設定を引きずって現れるので,ある程度島田作品を読んでいないと楽しめない部分がある。そういう意味でも,これは島田荘司からファンに向けてのプレゼントなのかも知れない。







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Last updated  2009.09.05 22:53:48
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