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2014.01.14
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映画化された三浦しをんの長編を読んだ。

○ストーリー
横浜で育った平野勇気は,高校卒業と同時に親と高校の先生にだまされて,駅も遊び場もケータイの基地局も無い三重県の山奥の村・神去(かむさり)に放り込まれてしまった。そこで始まった勇気の生活は,林業の見習いだった。ツライことも多いけど,のどかで美しい神去の1年間とは・・・?

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三浦しをんの初期作品は,コメディ風,純文学風,同人誌風と,作風が揺れ動いている。「風が強く吹いている」あたりから,上手く作品を語るテクニックをつかんだ,というカンジで安定感が出てきているように思う。

いくつか好みの作品をツマミ食いした後に,初期からおおむね時代順に読んできたが,たまたま図書館の都合で,少し発表時期を飛ばして今回の作品を借りた。

で,わずか1日で読み終えてしまったが,驚くばかりのリーダビリティ,後半に向けて一気に盛り上がる構成力,ほどよく散りばめられたユーモアとマジメの配分,そして適度な文体の崩し方・・・どこを取っても手馴れているなあ,と感心してしまった。

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これまでの三浦しをんの主人公は,どこか影があったと思うのだが,この作品の平野勇気にそれは無い。もちろん,半ばだまされたように横浜の実家から,三重県の山奥まで連れて来られた,という最初のショックはある。



正直,このシチュエーションコメディ的な環境で耽美的ムードなんてあり得ないし,当然,リアリティなんてものも期待していない。

読者は,主人公・勇気の視点を通じて,林業全般を知り,神去(かむさり)という山奥の村の生活を知る。本来であれば,不便不快なこと,理不尽なこともいっぱいあるはずだが,それについてはあまり語られない。主人公も,あっと言う間にこの村に順応して,ぬくぬくと暮らしている。

まあ,ファンタジーだもんなあ。

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ファンタジーと言えば,少しだけそうした部分がある。最初は唐突な気がしたが,何度も〈山の神〉の気配というものが描写されている。

個人的には主人公たちが山頂からの霧の吹き降ろしに巻き込まれて,それを「山から神様が降りてきた」とうなずき合っているところが好きだ。自然の気象現象なのか,超常現象なのか,どちらとも言えないバランスの方が,逆に怖い気がする。

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文章は,まったく勉強をしていなかったので,どこの大学にも行けなかった,という人が書く語彙ではなく,きちんと三浦しをんの達者なものだ。

ところどころ崩してあって,ちょっと〈池袋ウェストゲートパーク〉風でもあるけど,まあそれも軽い文体のトレースなのだと思う。

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林業と山の暮らしプロパガンダ,という以上には全く残るところがないが,最後の部分は大笑い出来るので,エンターテインメントとしては間違いなく満足の作品だと思う。

























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Last updated  2014.01.15 21:53:30
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