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2016.02.16
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女探偵・笹野里子が主人公の芦原すなおのハードボイルド短編集を読んだ。

○ストーリー
高い地位の官僚が,高級クラブで豪遊し,しかも麻薬密輸に手を染めているという。その男の調査を依頼された里子は,他の人物もこの男を尾行していることに気付く。この人物は里子の敵となるのか?

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短編集「雪のマズルカ」に続く,シリーズ第2作だ。1作目はかなり”固め”のハードボイルドな女性主人公というのが特徴的だった。なにしろ日本が舞台なのに,相手を射殺してしまって平然としているのだ。

他の女性と一緒に事故死した夫の探偵事務所を継いだ主人公という設定で,かなり殺伐とした空気が漂っていた。なんだか不幸な空気丸出しという主人公が魅力的だった。

若竹七海の〈女探偵・葉村晶シリーズ〉もかなりハードだが,ハードボイルドのロマンスとは反対に現実のとくに女性の怖さに唖然とするというタイプで方向性が異なると思った。やはり作者が男性だと,女性に夢を抱いてしまうのだろうか?

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さてこの作品は連作短編集だが,実質はほとんど長編だ。ストーリーに連続性があり,最初の短編で登場した謎の男が最後まで物語を引っ張る。



ただし里子が40才,男は20代なので,2人が抱き始めた感情は,恋愛というより母子のそれに近いのかも知れない。小説的に美化され過ぎているが,なかなか魅力的な2人だ。

この作品では女,ないし母の里子が描写されてしまっていて,今後のシリーズの展開が難しいのではないだろうか,と余計な心配をしてしまった。個人的には第1作の方が好みだ。

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「青蛇」:カジノでバイトをしていた女子大生が薬物過剰摂取で死んだ。探偵の笹野里子は,この事故の背景の調査を依頼される。里子はカジノに出入りしていたトップ官僚が,裏で薬物取引,株のインサイダー取引などに手を染めていることを聞き,尾行をする。その先で,彼女は青い蛇の刺青をした青年に出会う。・・・このシリーズで多いのは,気持ちの悪い依頼人で,事件そのものより依頼人の方が気になってしまう。この短編もそんなパターンだ。事件は裏技であっという間に片付いてしまう。ほとんどアームチェア・ハードボイルド探偵だ。

「クリスクロス・六本木」:出会って1週間の恋人が,六本木の交差点で自分の目の前で射殺された。事件の真相解明を依頼された笹野里子は,青年を射殺したと思われるヤクザの事務所に乗り込む羽目になる。・・・ヤクザ事務所の場面は,このシリーズにしては珍しくコミカルだ。謎の青年〈青蛇〉の恐ろしい能力が描かれる。

「猫とアリス」:夫の探偵事務所を継いだばかりの笹野里子に,行方不明になった従業員の捜索の依頼が舞い込む。一方で,内気な探偵・山浦歩に,5才の少女から飼い猫を探す依頼が来る。2つの依頼はある場所に2人の探偵を呼び寄せ,彼らは友人となる。そして事件の真相は?・・・里子と山浦ふーちゃんの出会いが語られるのがシリーズ読者にはうれしい。少し謎は残るが,構成も面白く,表題作だけのことはある。

「ディオニュソスの朝」:笹野里子は表参道の交差点で轢かれそうになった男を救う。彼は高級クラブのホステスに惚れ込み,財産を使い果たし,借金を重ね,会社の金を横領までしたのだが,その女は消えてしまったのだった。里子はそのクラブの経営母体が宗教団体で,その道場で怪しげな儀式が行われていることを突き止める。だが里子は囚われの身となり・・・さすがにあちこちリアリティが薄くて,ちょっと入っていけなかった。このシリーズらしい,容赦のないアクションは良かったけれど。

「無間奈落」:ある閣僚の代理人が笹野里子にある人物の捜索を依頼する。その人物には青い蛇の刺青があるという。里子は政治のトップと謎の青年の間の闘争に,エサとして利用されてしまった。彼女はなんとか〈青蛇〉を止めようとするのだが・・・ついに〈青蛇〉の半生が明らかになる。里子が調査したのではなく,依頼人から教えてもらうというのが肩透かしだ。自明のことをわざわざ表現しているし,感情的過ぎる。










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Last updated  2016.02.20 14:56:58
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