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2016.04.26
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カテゴリ: ばくばく冒険小説
最近話題の作家,月村了衛のデビュー作を読んだ。

○ストーリー
〈無限〉が仕掛けてきた戦により,浦路の国は滅んだ。死に瀕した君主の召還に応じた〈光牙の忍〉・零牙は,真名姫と鷹千代君を安住の土地に送り届けることを約する。〈無限〉に属する〈骸魔六機忍〉の攻撃を,零牙と〈光牙の忍〉たちは,いかにして凌ぐのか?そして〈光牙の忍〉たちの封じられた記憶とは?

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まるでゲームのような世界設定だ。基本的には日本の戦国時代をベースにして,そこに山田風太郎の〈忍法帖シリーズ〉や,日曜日の朝に放映している特撮番組の要素を加えた,という世界観の物語となっている。

正に〈忍法帖シリーズ〉風の時代がかった言葉遣いが最初のハードルだと思う。なんで,現代のSF作品で,べたべたの時代劇の文章を読まされるのか,という低くない試練が待ち受けている。

ここさえなんとかイキオイで乗り切ってしまえば,残りはイキオイで楽しめる。

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作品世界では,殿様,武士,足軽,忍という身分制度が存在している。それに対して,敵方は全てが忍ということで,忍者は卑しいという設定となっている。



ひじょうにラノベ的ではるが,身分制度のトップとボトムだけの旅,彼らのゆっくりとした和解が描かれることとなる。

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SF的要素として,〈光牙の忍〉は,かつて所属していた世界の記憶を持っていることになっている。それゆえに,多層世界を支配する〈無限〉に敵対しているらしい。

〈光牙の忍〉が夢で見る世界が,どうやら我々読者が知る現代の日本らしい。ただし,どうしてそれがそれほど美しく見える夢の世界なのか,そして世界の支配者〈無限〉に対抗すべき価値があるものなのかは,今ひとつよく分からない。

まあ,作品世界はキッチュで楽しめるから,細かいことはいいのかなあ?

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山田風太郎の〈忍法帖シリーズ〉の伝統を優等生的に守りつつ,大胆な展開を見せて,物語は終わる。終盤では,もうオープンエンドではないかと心配したが,きちんと複数の伏線をまとめて,きれいに終焉としたのには驚いた。

なんで現代にこの作品,なんでこの展開,このまま進む,これできちんと終わるの,と複数の疑問を投げかけつつ,のほほんと作品としてまとめて見せた月村了衛はただものではない。恐ろしい才能だと思う。

実に面白い作家の,面白い作品だった。今後も読んでみたい。














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Last updated  2016.04.26 21:28:50
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