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2017.01.18
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森博嗣の描く家族の伝記を読んだ。

〇ストーリー
相田家で育った紀彦は,最初は当たり前だと思っていた自分の家の常識が,世間の常識とは大きくずれているということをある時から気付き始める。父・秋雄は工務店を経営していたが,無口で趣味が多く,飽きっぽい性格。母・紗江子は,専業主婦だが驚異的な整理収納の情念を持ち,燃えるごみ以外を捨てず,キレイに伸ばして畳み,サイズや材質ごとにしまい込むのだった。それぞれに変わっていて,それぞれに理屈っぽい両親に紀彦と妹・英美子は育てられた。やがて彼らも学校を卒業し,就職,家を離れた。そして・・・

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「すべてがFになる」で鮮烈にデビューをし,その後の膨大な作品で大ベストセラー作家となった森博嗣。この人の一番の特徴は,ブームとなった「理系的」な登場人物たちが語り合う,論理的思考で構築された世界観だ。

常識からは外れているのに,論理的に説明されるとこちらの方が正しそうだ,真理に近そうだ,というものの見方が面白くて,世の中の平凡な小市民たちに熱狂的に愛された。

ミステリー作家としてデビューした森博嗣だが,いつの間にかそこからは離れ,SF,ファンタジーへとジャンルを変遷している。

この作品はある家族の伝記なので,森博嗣としても新しいジャンルだと思う。自伝かどうかは僕にはわからない。

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伝記小説風なのに,紀彦についてはあまり描写されない。あっという間に大学生になり,智紘という女性と結婚し,独立をする。紀彦の妹・英美子も5年後に結婚し家を出る。長々と描写されるのは両親2人の生活だ。

やがて両親も病気がちとなり,ついに2人とも亡くなってしまう。そこで紀彦たちのとった決断がまたかなり現代的だ。

ある場所に生まれた核家族「相田家」がやがて消えるまで,を描いた作品だ。

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森博嗣の作品としても,最近は老いが語られることがある。この作品はそれを中心に据えたものだ。

たださすがは森博嗣,老いや死についても,まったく臆することなくドライに割り切っている。相田家の両親が森博嗣の両親なのかどうかは分からないが,彼らは自分が生きたいように生き,そして淡々と死んでいく。

その割り切り具合には,ぞっとする孤独感もあるが,一方ですがすがしさも感じる。まあ聖書にもあったが,天国には現世の財を背負って持ち込むことは出来ないのだ。

平凡なようで,禅の心理のような,フレーズが続く。

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面白かったり,知的好奇心が満たされたりするワケではないが,かつて〈理系世界のかっこいい主人公たち〉に憧れを抱いた人は,その頃と同じように〈禅僧のように枯れた夫婦〉とでも称したものに似た感想を抱くと思う。











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Last updated  2017.01.19 21:59:38
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