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2017.02.01
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カテゴリ: わくわく児童文学
富安陽子のジュブナイル向けファンタジーの第1巻を読んだ。

〇ストーリー
中学2年になり,近くの新興住宅地に引っ越した田代家の長男・有礼(アレイ)は,転校先の新設校〈来栖の丘学園〉で,問題児〈Q〉と一緒に異世界に落ち込んでしまう。なんとか協力して,そこから脱出した2人は,街の公園で猿から自分たちが〈古事記〉の神に選ばれた7人の内の2人であることを知る。世界のバランスを元に戻すために,彼らは仲間を見つけて,黄泉の国の神と戦わなければならないらしいのだが?

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富安陽子は〈シノダシリーズ〉を読んでいるので,この新しいシリーズも〈都会のトムとソーヤ〉と同じような,ゆるい感じのライトミステリーだと思っていた。

ところが読み始めてみて驚いた。舞台こそ来栖の丘学園という小中一貫教育の新設校だが,そこで展開されるのは〈古事記〉にかすかに記されていた天ツ神と黄泉ツ神との争いだ。前の日に「禍記」を読み終えて,もうお腹一杯と思っていたのに,まさか富安陽子で同じモチーフのホラーファンタジーに出会ってしまうとは!

ゆるゆるのライトミステリーかと思って読んで,この作品というのは衝撃だった。そう言えば,表紙イラストは五十嵐大介だった。「海獣の子供」というより,これは「SARU」インスパイアだろう。

かなり怖いです。

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黄泉ツ神が主人公たちに迫る場面で,容赦のない不気味さ,怖さを表現している。

主人公・アレイと〈Q〉がファンタジックな状況に巻き込まれるが,その後の仲間探しという現実的な部分で苦労する姿を描いている。

中学2年生という年令相応の,家族との,女性クラスメートとの,教師との距離が描かれている。

第1巻を読んだだけだが,勝手に自分の中で作っていた富安陽子の作風をはるかに超越していて,正直ごめんなさいという気分になってしまった。

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天ツ神に選ばれた人々は,それぞれ異なる能力を持つ。主人公・アレイは体験した全てを記憶する能力,問題児〈Q〉は,圧倒的な数学的な能力。

そして他の選ばれし〈カンナギ〉も別々の能力を持つようだ。この辺りはアメリカのドラマ〈ヒーローズ〉を思い出させる。

どれだけ,それぞれの能力に意味と補完関係を持たせ,チームとして機能させるかが,今後の展開だと思うけれど,第1巻の終わり方からすると,ややその面で不安感がある。メンバー個々の能力がバラバラに見えるんだよね。

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とは言え,読んで驚いた第1巻からシリーズの先行きを心配していても仕方がない。充分な手応えがある第1巻だったので,このシリーズの発展を期待すべきだろう。

富安陽子の代表作となる要素もあると思う。頑張って,暴れてもらいたい。



















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Last updated  2017.02.01 20:58:19
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